藤田和日郎の「黒博物館」シリーズの第二作目にあたる作品。ドルーリー・レーン王立劇場に住まう幽霊グレイは、あるときナイチンゲールと、彼女が絶望したときに取り殺すという契約を交わす。しかしナイチンゲールはどんなときもめげることなく難局にあたり、またグレイはそんな彼女に惹かれていく。やがてナイチンゲールは、当時のイギリスが直面していたクリミア戦争で負傷した兵士たちを救うため戦地へと赴き、劣悪な治療環境を徐々に改善。しかしそうしたナイチンゲールを快く思わない者がおり、その者の傍らにはかつて生前のグレイを殺害した仇敵が侍っていた。クリミア戦争の戦場で見つかった、銃の弾丸と弾丸が正面衝突しひとつの塊となった実在の遺物をモチーフに、なぜその遺物が生まれたかが描かれる。またマザーグースの歌が由来とされるサムシング・フォーも物語の重要なキーワードとなる。講談社「モーニング」2014年52号から2015年30号まで連載。