藤田和日郎の『黒博物館』シリーズ第2作となるファンタジーアクション。イギリス警視庁内の犯罪資料館「黒博物館」には、クリミア戦争時に銃弾同士がぶつかりあった遺物が押収されていた。ある日、その遺物に関わりがある幽霊「灰色の服の男」が現れ、フローレンス・ナイチンゲールとの思い出やクリミア戦争で何が起こったかを語りだす。
本作に登場する看護師は、フローレンス・ナイチンゲール本人だ。作中ではフローの愛称で呼ばれる彼女は、人の悪意が形をなす「生霊」が見えるという不思議な力を持っている。フローは神の啓示を受け看護師になる夢を持つも、両親の霊にそれを阻まれ、人生に絶望していた。そこで、幽霊の「灰色の服の男(グレイ)」を訪ね、自分を取り殺すようにと頼みこむ。その状況を演劇のように感じたグレイは、「彼女の絶望が最高潮に達したとき」に彼女を取り殺すと誓う。グレイの協力によってふっきれたフローは看護師となり、立ちはだかる様々な困難に絶望することなく立ち向かっていく。謎の幽霊「グレイ」を通して、後に「ランプの淑女」、「近代看護教育の母」と言われるナイチンゲールの偉業と魅力を見事に描きだす、壮大な伝奇ラブロマンス作品だ。
「週刊少年マガジン」にて全62巻と長期連載され、作者の代表作となった医療漫画。舞台の安田記念病院は、名医が集い、誠実な医療を施すことから「ヴァルハラ(神々の座す処)」と呼ばれている。主人公の真東輝は類まれな天運を持つ新人外科医で、ゴッドハンドと呼ばれた名医を父に持つ。患者と医師たちが織り成すドラマだけでなく、最新医療の描写や病院の経営面などにも踏み込んだストーリーが人気を博した。2009年にTVドラマ化。
本作の舞台は数々の名医が集い、「ヴァルハラ」の異名を持つ総合病院だ。ヒロインの佐倉綾乃も、そんな「ヴァルハラ」に務める看護師のひとり。性格は穏やかで世話好き、患者たちにも優しく接するまさに白衣の天使と呼ぶに相応しい看護師だ。主人公の真東輝とは相思相愛の関係だが、周囲がじれったく思うほ2人の仲はなかなか進展しない。この関係をはじめとするキャラクターたちの多彩な人間ドラマも、本作が人気を博し長期連載となった理由の一つだ。
江戸時代にタイムスリップした外科医の活躍を描いた医療漫画。医師の南方仁は、ある手術をきっかけに突如江戸時代末期にタイムスリップしてしまう。そこで重症を負った武士の青年を助けたことから、江戸の街で医師として暮らすことになる。仁は、未来の医療技術を駆使することで歴史を変えてしまうことに悩みながらも、目の前にある生命を見捨てることができず人々を救っていく。2009年、2011年にTVドラマ化。
本作に登場する看護師は、江戸時代末期の旗本の娘・橘咲。兄の恭太郎を救い、さらに風疹にかかった自分を救った仁に恩義を感じ、彼の助手として働き始める。その中で未来の医療知識や技術を身に着け、看護師のような存在に育っていく。やがて医療への道を志す咲は、縁談を破り実家から勘当され、仁のもとに身を寄せる。彼女は看護師としての技術はもちろん、性格も優しく献身的で、仁にとっても大きな支えとなっている。2人はお互いに好意を寄せ合っているが、咲の方は江戸末期の社会的な観点から、自らの恋を叶わぬものと考えている。仁と出会ったことで大きく変わってしまった彼女の人生も、本作の見どころのひとつだ。
看護師を主役として病院で起こる様々な人間ドラマを描いたホスピタル・ヒューマンドラマ。西里大学病院の外科に勤める中山桂子は、患者や同僚たちの信頼も厚いベテラン看護師。彼女を筆頭とした看護師たちが、生と死の交差する病院で、思い悩みながらも日々成長していく。桂子たち看護師や、患者の恋愛模様にも注目だ。
タイトルの示す通り、本作はナース(看護師)たちを中心に病院での様々な出来事が描かれている。重病と戦う患者と向き合い続けるナース・ステーションでは、過酷な業務の中、看護師たちが衝突してしまうこともある。特に主人公の桂子は優秀なため、周囲からの信頼が厚い反面、嫉妬されきつく当たられることもしばしばだ。やるせないことも多い職場だが、それでも看護師たちは精一杯、仕事に恋にと前向きに生きる。人間の生と死に正面から向き合ったヒューマンドラマだ。
新米看護師を主人公とした医療漫画。基本的にコメディタッチで描かれているが、病気や死をテーマとしたシリアスな展開のストーリーも多い。東京K病院の内科に勤務し始めた新人ナースの似鳥ユキエは、思い込みと早とちり、気の強さから失敗を繰り返しながらも、有能なナースになるべく成長していく。
本作の主人公・似鳥ユキエは新人看護師で、熱意は人一倍あるが新人ゆえに空回りしてしまいがちだ。また、気が強く患者ともぶつかりやすい。鼻で笑われた患者から見直してもらうために変な努力をするなど、トラブルメーカーで先輩ナースに叱られることもしばしばだ。先輩たちや医師、さらには患者たちにも見守られながら、ユキエはナースとしての経験を徐々に積み成長していく。笑いあり、涙ありのナースコメディ作品だ。