「鬼」がヒロインの漫画5選61 Pt.

『鬼滅の刃』が2019年にテレビアニメ化。食人鬼、殺人鬼、吸血鬼……人に害を為す存在として描かれることが多い「鬼」だが、それだけに昔から人々には身近な存在。鬼としての姿や能力を持ちながらも、人の心や誰かを想う心を持ち続けるヒロインが登場する物語を紹介する。

主人公・炭治郎の妹・禰豆子は、「鬼舞辻無惨」の襲撃を受けた際、体内に鬼の血が入り込んだことで、自我を持たない「人喰い鬼」へと変貌してしまう。しかし、炭次郎の呼びかけで彼女は自我を取り戻し、鬼殺隊に入った炭治郎と共に"同族殺し"の鬼として、戦いに身を投じていく。鬼化した禰豆子は日光を浴びると灰になってしまうため、昼間は出歩くことができない。そのため、普段は木製の箱に入り、炭次郎に背負われている。悲劇的な身の上の少女だが、戦いのないときには兄に甘えるなど、妹らしい一面を見せることもある。禰豆子は人に戻れるのか、完全な鬼となるのか、今後の展開から目が離せない。

本作に登場する「鬼」は宇宙から来訪した鬼族の面々。ヒロイン・ラムを筆頭に、その父従弟・テン、ラムの元婚約者・レイなど、作中には様々な鬼族が登場する。ラムは、虎縞模様のビキニというインパクトのある外見、方言のような独特のしゃべり方、ちょっとわがままな面もある鬼族の少女。主人公・あたるに一途に好意を寄せる姿など、様々な魅力を備えた彼女は、読者の間で大きな人気を獲得。魅力的な女性キャラクターが数多く登場する本作の中でも、圧倒的な人気を誇るメインヒロインとなっている。浮気性のダーリン・あたるに対して、愛情たっぷり(?)のおしおきの電撃が放たれるシーンも、作中ではおなじみの光景だ。

吸血鬼のような存在の「屍鬼」により小さな村が壊滅していく様を描いた、ホラーサスペンス。本作は複数の主人公の視点から描かれており、その1人、桐敷沙子（きりしき　すなこ）は、同じく主人公の1人である小説家・室井静信（むろい　せいしん）のファン。彼女が村に引っ越してきて以来、2人は人知れず交流を重ねていくが、桐敷こそが村に「屍鬼」をもたらした元凶であった。一方、村にただ1つの診療所の医師・尾崎敏夫は、次々と死亡する村人と向き合ううちに、その現象に違和感を覚え、「屍鬼」の存在に気づく。閉鎖的な村の中で、死亡後に“起き上がった”人間である「屍鬼」が徐々に増えていく様が、恐ろしい。「屍鬼」の存在を認識し、対抗すべく手を尽くす村人側も、徐々に狂気に染まっていく。山あいの小さな村が、まるで腐り落ちていくように壊滅する様子が生々しく描かれている作品。

本作における鬼は「欲鬼」である。これは、欲望が強すぎるあまり”欲”に囚われ、異能の力を持つに至った人間の総称である。主人公・正人は「正義欲」の欲鬼であり、自身の「身勝手な正義」に基づいて戦う。一方で、義妹・新菜は、「殺されたい」という欲を持つ「被殺人欲」の欲鬼であり、「殺されても死なない体」を持つ。また、新菜のクラスメイトである椿は「殺人欲」の欲鬼である。「正義欲」「被殺人欲」「殺人欲」という相反する欲に囚われた者たち。欲鬼の起こす事件と向き合う中で、彼ら3人の関係がどう変化していくのかも見どころだ。