大学生男子とポニーテール男子が織りなす、ひと夏の日常を描いたBL風コメディ。主人公・市橋航平(いちはしこうへい)はどこにでもいる普通の大学生だ。毎年夏になると、父方の実家がある田舎町へ遊びに行くのが恒例である。今年の夏もいつものように田舎に赴いた航平は、バス停まで迎えに来た従弟・市橋圭(けい)の姿を見て戸惑いをおぼえる。去年まで普通の男の子だと思っていた圭は、日焼けした褐色の肌に長く伸びた髪をなびかせた「ポニーテール男子」になっていたからだ。
航平は、サラサラの黒髪をなびかせ、タンクトップから日焼けしていない胸元が覗く圭の姿に色っぽさを感じドギマギしていた。そんな航平の心情を知ってか知らずか、圭は歳が離れていることもあり兄のように彼を慕っている。おまけに髪の毛を航平に結ばせたり、一緒にお風呂に入ったりと無邪気な誘惑が止まらない。抱いてはいけない感情を持て余す航平だが、圭もまた彼に従弟以上の感情を抱いていた。不思議な気持ちのまま、二人は一緒に遊んだり料理をしたりと交流を深め日常を過ごしてゆく。BL要素もふんだんに盛り込まれているが、一見美少女と見まごうほど圭がかわいらしく、田舎の夏休みの描写も相まってノスタルジックな気分に浸れるだろう。
突如ヤンキー少年に懐かれたオタク女子の悲哀を描いたシュールラブコメディ。主人公・佐伯(さえき)かづ子は生身の男性とヤンキーが大の苦手なオタク腐女子だ。おまけに大のショタ好きで、BL同人誌を密かに作っているほどである。ある日かづ子はBL系の同人イベントに向かっていたが、隣に住む金髪ヤンキー風の少年・愛川龍桜(あいかわりゅうおう)が何故か同行することに。追い返そうとするも、龍桜のヤンキー口調と鋭い目つきに怯んでしまい、結局会場までついて来られてしまう。
龍桜はBLイベントが何のことか分からないため失礼な発言を連発し、かづ子を困惑させる。悪びれる様子もなく帰りの電車で眠る彼に、ショタ好きの欲望が抑えられずかづ子は思わず頬を撫でてしまう。それに気づいた龍桜は密かに照れと喜びを噛み締めるのであった。実は、龍桜は3年前にかづ子と会っており、一人ぼっちで遊んでいる時に声をかけてくれた彼女に思いを寄せていたのだ。しかし、当時の彼は坊主頭で、風貌が一変した今、かづ子は気づく素振りもない。振り向いて欲しい一心で龍桜はアプローチをかけるが、却ってビビらせてしまうばかりで空回りを繰り返す。見た目も性格も全く正反対の二人は果たして距離を縮めることができるか、今後の展開から目が離せない。
ひょんなことからメイドとして雇われた少年の日常を描いたほのぼのコメディ。主人公・小宮千尋(こみやちひろ)は小学5年生ながら多忙な母・小宮千代に代わって家事を完璧にこなす少年だ。父を早くに亡くし長らく千代と二人暮らしだったが、突然の病気で彼女はこの世を去ってしまう。思いがけず天涯孤独となってしまった千尋の前に、千代の弟である叔父・鷹取円(たかとりまどか)が現れる。なりゆきで鷹取家に連行される千尋だったが、そこは豪華な屋敷であった。2016年テレビアニメ化。
千代と暮らしていた頃、貧乏暮らしを余儀なくされていた千尋は、なぜ彼女を助けなかったのかと円に反発し屋敷の台所に身を寄せる。しかし、ゴキブリが這い、鍋や食器が散乱する光景を見た千尋は、居てもたってもいられず掃除をし始めた。綺麗になった台所を見て満足する彼に、円は住居の提供と学費免除の代わりに鷹取家の家事を行うよう持ちかける。背に腹は代えられず承諾するも、何と円から渡されたのはフリフリのメイド服だった。奇しくも少年メイドになってしまった千尋は、円に振り回されながらも少しずつ鷹取家に馴染んでゆく。天真爛漫な愛されキャラの千尋と、自堕落で大雑把な円のコントラストが面白い。家族の絆が描かれる後半のハートフルな展開にもほっこりさせられるだろう。
恋愛ができない女子大生と、彼女に惚れる美少年が織りなすほのぼのラブストーリー。主人公・能登栞(のとしおり)は長身美女の大学生だ。彼女に告白する男性も多いが、にべもなく断り続けている。実は、栞は小学生の時以降恋をしたことがなく、試しに付き合っても相手を傷つけてしまうため「付き合うなんて絶対無理」と常々思っていた。そんなある日、栞は道を歩いていたところ、綾瀬はじめと名乗る絶世の美少年から「付き合って欲しい」と愛の告白を受ける。
全く彼と面識がなく戸惑う栞だが、過去に中学生に絡まれていたはじめを救ったことが判明。突然の展開に久しぶりのときめきをおぼえるが、年齢差から理性で断ってしまう。しかし、諦めようとしないはじめの猛プッシュに気後れした栞は、「保留」というかたちで彼と交流を持ち始める。はじめの両親に贈るプレゼントを一緒に選んだり、花火大会に行ったりとデートを重ねるうちに、自分の内なる感情に気づく栞であった。小学生男子にときめく自分がありえないと否定する一方で、自然と彼に惹かれていく栞の心の機微が繊細に描かれている。タイトルの「21cm」は二人の身長差だが、いつか彼女と気兼ねなく並びたいというはじめの思いが込められているようにも思え、胸キュン間違いなしだ。
一軒家を舞台に、少年と美女妖怪たちとのちょっぴりHな同居生活を描いたほのぼのコメディ。主人公・桑原由貴(くわはらゆき)は、家庭の事情で高校入学を機に富山にある父の実家に住むことになった。富山には幼少時一緒に遊んでくれた憧れの「お姉ちゃん」がおり、再会を期待していた由貴は胸を高鳴らせる。引っ越し初日、由貴は今は空き家となっている父の実家に到着するが誰もいないはずの風呂場から水音がするのに気づく。恐る恐る扉を開けると、なんと全裸のろくろ首がシャワーを浴びていた。
貴は父の本がある部屋に逃げ込むが、そこでも美少女妖怪に襲われ気絶してしまう。彼が目覚めると何故かそこは「お姉ちゃん」の膝の上だった。二人は念願の再会を果たすが、昨日から妖怪たちの洗礼を浴び腑に落ちない様子の由貴に、彼女は自分が妖怪・文車妖妃(ふぐるまようひ)の「玉梓(たまずさ)」であることを告げる。そして、ろくろ首の「ろくろ」、目目連(もくもくれん)の「れんげ」、砂かけ婆の「砂緒(すなお)」が現れ4人は由貴の父の計らいでこの家に住んでいることを告白した。妖怪との同居に当初戸惑う由貴だったが、少しずつ絆を深めると同時に彼女たちのHなハプニングに巻き込まれてゆく。由貴と玉梓の微妙な恋模様もさることながら、ラッキースケベ満載の描写も見ごたえたっぷりで、色々な視点から楽しむことができるだろう。