『今日から俺は!!』テレビドラマ化！40 Pt.

2018年10月に、傑作ヤンキー漫画『今日から俺は！』を原作とするテレビドラマが放送。そこで今回は、『今日から俺は！』を含む人気ヤンキー漫画の数々を紹介！

本作はヤンキー漫画の体裁をとっているものの、一般的なヤンキー作品の枠に収まらない型破りなところが魅力だ。まず第一に、主人公たちが生粋のヤンキーではなく、高校デビューならぬ、転校デビューであること。通常この類は、外見だけで腕っ節はからっきしなのがほとんど。ところが三橋、伊藤はいずれもかなりの実力の持ち主で、転校から程なくして私立軟葉高校の番長格を撃破してしまう。もうひとつ型破りなのが、主人公であるにも関わらず、三橋がかなりのヒキョー者だということ。もちろん弱い者いじめや、女に手を上げたりはしないが、ヤンキー相手にはどんな手段を使っても悪びれない。理不尽な八つ当たりなども平気でやる。でも、どこか憎めない愛嬌がある。主人公が明るく飄々としているため、男性だけでなく、女性も気軽に読める雰囲気の作品となっている。

1980年代を代表するヤンキー漫画といえば、この作品が真っ先に挙がるだろう。漫画はもちろんだが、中山美穂、仲村トオルなど、本作を元にした映像作品からブレイクした役者も多い。リーゼントヘアにドカン、ボンタンなどと呼ばれる幅広のズボン、そして丈の長い学生服のチョーランなどのスタイルが時代を感じさせる。もっとも連載期間が20年もの長期にわたっているせいもあり、後半になるとファッションは大分マイルドに。そしてストーリーも、ヤンキー同士の抗争よりも、恋愛絡みのコミカルな展開や、ギャグ的な要素の強いものが中心となっていく。

1990年代のヤンキー漫画の代表格と言えば、やはりこの『ろくでなしブルース』。本作の大きな特徴は、その濃すぎるキャラクター性。怒るとろれつが回らなくなり、完全に切れると関西弁になる主人公の前田太尊を筆頭に、個性豊かなキャラが目白押し。登場人物の多くは、当時の有名プロボクサーや、格闘家にちなんだ名前が付いているのも見逃せない。名前どころか、どう見てもトーマス・ハーンズそのもののボクシングジムトレーナーや、マサ斉藤に瓜二つの教師など、高い画力を持つ筆者ならではのくすぐりを随所に散りばめている。ヤンキー漫画ながら殺伐とした方向に偏りすぎず、笑いながら楽しめるのがこの作品の持ち味だ。

本作の面白いところは、主人公がヤンキーとは程遠い、暴力を嫌う優しい心の持ち主であること。そんな彼が、周囲の誤解と彼自身がかなりの天然であるが故の勘違い、そして何よりその凶暴すぎる悪魔顔によって、ヤンキーたちの頂点へと登りつめていく。彼に対して悪意を向ける者は、それがヤンキーであれ、教師であれ、あるいは腹黒い生徒会長であれ、己の悪意によって身を滅ぼす。ヤンキー漫画というよりは、学園ギャグ漫画といったテイストの作品だ。そのため、むしろヤンキーものが苦手な人にこそお薦めしたい。

最後に紹介する作品は『エンジェル伝説』とは違った意味での変わり種。すっかり流行のジャンルとして定着した観のあるタイムリープものだが、ヤンキー漫画としては珍しい設定だ。主人公の花垣武道は、ふとしたきっかけでタイムリープ能力を手に入れ、ヤンキーだった12年前と現在を行き来していくこととなる。目的はもちろん、当時付き合っていた彼女である橘日向を死の運命から救うこと。そして、そのために必要なのが、ヤンキーの世界でのし上がること。なぜなら、彼女を死なせた犯罪組織ができた原因が、12年前のとあるヤンキーグループにあるからだ。12年前の行動に応じて、フリーターだった主人公の現在の立場も変化していく。その変りようも見所のひとつだ。