『天は赤い河のほとり』は、時空を超越してふたつの世界に存在するひとりの少女の視点で物語が描かれている。舞台である紀元前14世紀の古代ヒッタイト帝国を中心としたオリエント地域はエジプト、ミタンニ王国、そしてヒッタイト帝国の3国により覇権を争っている最中であり、そのパワーバランスはとても微妙で気を抜けば治世が脅かされる緊迫した状態にある。現代日本から古代ヒッタイト帝国へ皇妃ナキアの呪術によりタイムスリップさせられた女子中学生ユーリが、命を狙われ続ける中、皇位継承最有力の皇子と出逢い行動を共にしてゆく__。この世界では皇妃ナキアや皇太子カイルのように高位の神官位を持つ者は強力な魔術が使える世界であり、皇妃ナキアは水を、皇太子カイルは風を操ることが出来る。
現代日本で平和に暮らす鈴木夕梨(すずきゆうり/ユーリ)は何ひとつ不自由のない恵まれた幸せな毎日を送っていた。しかしある日、水溜まりから突然現れた手により紀元前14世紀の古代ヒッタイト帝国へと連れ去られてしまう。ユーリの首から流れる血により成される呪術により、ヒッタイト帝国の皇位継承権上位の者たちを亡き者にしようとする皇妃ナキアの謀計によるものだった。
ナキアが邪魔者を呪い殺すための生贄として、ユーリを呼び寄せたことを知った第3皇子のカイル・ムルシリは、ユーリを側室として自らの宮に匿い行動を共にするようになる。ユーリが現代日本に戻るためには
①召喚した神官と同等の魔力の力
②ヒッタイトにある7つの泉の水が満ちる
③ユーリが着た現代の服
という3つの条件を満たす必要があるが、ユーリの洋服はナキアが握っており、ユーリは罠だとわかっていながらカイルの小姓のティトと共にナキアの邸宅へと乗り込む……。