バーチャル都市を舞台に、肉体を持たない生命体と生身の人類の闘いを描いたSFアクション。肉体を捨て、データ生命体となった「エーテル人」が地上を離れ暮らすバーチャル空間「ZONE」。主人公・タオはデータ化された遺伝子情報の組み合わせから生まれた第二世代の完全なるデータ生命体として大きな期待を背負っていた。ある日彼は地上に赴き、抵抗を続ける人間たちを「救出」する任務を担うことに。意気揚々と地上に降り立った彼を待ち受けていたのは、思いもよらぬ出会いだった。
タオは「救出」の名目のもと、地上の人間たちを捕獲してはデータを吸い取り肉体を破壊する虐殺を行っていた。しかし、生まれながらにして身体を持たない彼はその行動が正義と信じて疑わない。そんな中、タオは人間の少女・ヒルダと偶然出会う。ヒルダは彼に攻撃を加え、これはエーテル人と地上人のどちらが本当の人類を名乗るかの戦争だと言い放つ。今までデータ生命体として育ってきた概念を壊されたショックから、タオは彼女に触れたいと強く願うようになるのだった。元は同じ人類であってもエーテル人と地上人には肉体の有無や育った環境による大きな隔たりがあり、考えさせられる。地上で活動すべく地上で活動できる「身体」を手に入れたタオが、ヒルダと行動を共にする後半も必見だ。
仮想空間に閉じ込められた人々を救うべく、少女がダンスバトルに挑むファンタジー。時は20XX年、電脳空間にあるもうひとつの世界「BOX」は電脳化された12の宝石によって管理されていた。人々はそれぞれ与えられている誕生石をIDとしてログインし、「ロジステ」なるダンスプログラムを踊り楽しんでいる。そんな中、主人公の中学生・古詠(こよみ)こころは親からBOXの使用を止められていたが、BOX内のアイドル的存在・カゲツに会いたいがあまり内緒でログインしてしまう。
こころは、幼なじみの限野(かぎりの)ハルトと共にBOXの世界を堪能する。憧れのカゲツに遭遇し、初めて経験する煌びやかな世界に酔いしれていたがウィルスのせいで元の世界に戻れなくなってしまう。こころとハルトは乱れた世界をダンスバトルで乗り切るが、閉じ込められた人々を救うにはBOXを初期化する必要があった。そんな中、彼女の持つ宝石に初期化する力があることが判明。発動条件としてBOXを統べる12の英雄(ブリリアント)たちと対決せねばならず、こころは奮闘する。本作は、電脳空間という難解な世界観に、宝石とダンスという要素が見事にマッチしており少女たちの人気を呼んだ。運動が苦手なこころが懸命にロジステに挑むさまも微笑ましい。
少年たちに絶大な人気を誇ったマネーバトルゲームのコミカライズ。ありとあらゆるものが電脳化された近未来。主人公・豪勝(ごうしょう)カイトは、仮想空間でコスチュームの「ヒーロー着(ぎ)」を着て闘う「ヒーローバトル」に夢中になっていた。ある日カイトは、学校の教師とバトルになりピンチを迎えるが謎の男・銭念(せんねん)から黄金のヒーロー着を渡され快勝する。しかし、その契約料金が100億円と判明し、一気に借金地獄に陥るのだった。
銭念に半ば騙されるような形で借金を背負うことになったカイトは、連帯保証人となった友人たちと共に優勝賞金100億円のバトル「がっぽりヒーローウォーズ」に参戦する。彼らは奮闘するが、いちばんの親友である天野ナガレは劣等感からカイトを憎むようになる。ついにナガレは彼らと決別し、バトル界の裏ボス的存在・マネーゴーストと手を組むことに。借金返済とナガレを連れもどすため、カイトは更なる激しいバトルに身を投じる。本作は、勝てば賞金、負ければ借金というわかりやすいバトルシステムに、ヒーロー着を装着し闘う少年たちが躍動感溢れる描写で描かれている。カイトがヒーローバトルを始めるきっかけとなった人物との思わぬ再会もあり、最後まで目が離せない。
細田守の大ヒットSFアニメ映画のコミカライズ。主人公・小磯健二(こいそけんじ)は、数億の人々が暮らす実世界さながらのコミュニティ空間「OZ(オズ)」 の点検バイトに勤しむ高校生だ。ある日健二は、密かに思いを寄せる先輩・篠原夏希(しのはらなつき)に夏休みに田舎で「バイト」をしないかと誘われる。二つ返事で引き受ける健二だったが、夏希から「曽祖母のために婚約者のふりをして欲しい」と懇願される。それは壮大なひと夏の「戦争」の序章に過ぎなかった。
健二は夏希の曽祖母・陣内栄(じんのうちさかえ)をはじめとした親戚一同に好意的に迎えられる。バイトとはいえ、親戚付き合いに疲れた健二はその晩、OZから謎の数列メールを受信する。それを数学の問題として考えた健二が答えを返信したことがきっかけで、OZは謎の人工知能「ラブマシーン」に乗っ取られてしまう。世界中が大パニックに陥る中、ラブマシーンの開発者が夏希の親戚・陣内侘助(わびすけ)だったことが判明。栄の死も相まって、健二は夏希や侘助をはじめとした陣内家の一族でラブマシーンと対決することを決意する。本作は、平凡な高校生が世界を救うべく人工知能に勝負を挑むさまが小気味良いテンポで描かれている。のどかな田舎の風景と近未来的な電脳空間のギャップも話題を呼んだ。
人気トレーディングカードゲーム「サイバーワン」をモチーフにした、バトルアクションストーリー。2030年の近未来、インターネット上の仮想世界「D.C」内に突如誕生したカードゲーム「サイバーワン」。人々は手に入れたカードで「クリーチャー」なる生命体を召喚し、オンライン上で闘わせることができるという斬新さから、誰もが夢中になっていた。そんな折、現実世界にクリーチャーを携えた少年・祟莉氷太(ひょうた)がとある病院を見下ろしていた。
時を同じくして、街に住む少女・神藤ヒメノは病院で、入院中の母親から奇妙な噂を聞く。母親曰く、最近街に現れた謎の「球体」の出現と同時期に、奇妙な生き物がうろついているとのこと。ヒメノは信じられないでいたが、見舞いの帰りにクリーチャーを連れた氷太と出会う。氷太は彼女の目の前で、「プレイヤー」として現れた病院の看護婦とバトルを繰り広げ撃破する。仮想と現実の境界が無くなりプレイヤー同士の闘いが本格化してゆく中、二人はその謎に迫るべく行動を共にする。本作は、実際にカードゲームが発売されたのと同時期に連載され人気を博した。ゲームの世界観はそのままに、かつて幼なじみだった氷太とヒメノの出会いを絡めたバトルアクションとして楽しめる。