タイトルに「さま」がつく漫画52 Pt.

「さま」付けで呼ばれることは、基本的には周囲から敬意を抱かれている証。社会的に高い地位の人物、あるいは尊敬に足る能力・実績の持ち主だ。中でもわざわざタイトルで「さま」付けされれば、よほどの大物が登場するに違いない。今回はそんなタイトルに「さま」がつく漫画を紹介しよう。

本作の主人公・四宮かぐやは、「様」付けで呼ばれるのに相応しい特別な少女だ。彼女は、総資産200兆円、千を超える子会社を抱える大財閥・四宮グループ総帥の長女である。それに加え、芸事、音楽、武芸ほか、様々な分野で華々しい功績を残している天才だ。さらに容姿端麗、品行方正と、まさに非の打ち所のないパーフェクトガール。一方、彼女と共に生徒会を切り盛りする会長・白銀御行は、平凡な庶民の家柄だが、頭脳に関しては全国トップクラス。定期試験では不動の1位を誇る秀才である。完璧の名を欲しいままにしているかぐやと白銀だが、恋愛に関しては2人とも初心者。両想いなのに、自尊心の高さ故に、一歩が踏み出せないでいる。互いに煮詰まった2人は、どうにか相手から告白させようと、その優れた頭脳を無駄に駆使していく。

勇者といえば、ファンタジー世界の中でも選ばれし存在。「様」付けされるのは至極当然だ。しかし、本作での勇者は、数ある冒険職の1つに過ぎない。つまり主人公・ロキの他にも、複数の勇者がいるのだ。魔族との戦争で魔王を倒したのは別の勇者であり、ロキはその他大勢の1人。殊勲を挙げた「真の勇者」は、王都で大貴族並の生活。一方、目立つ功績のないロキは、左遷のような形で、魔族の温泉施設に配属されたのだ。ちなみにこの温泉は、魔族にとって唯一の回復手段である。そのため、終戦直後は大勢の客で賑わっていた。ところが、平和な現在では閑古鳥が鳴いている。そんな状況を打破すべく、ロキは、施設の女将である魔王軍四天王・ガイアベルとともに、努力していくこととなる。

「魔王」といえば、魔族の頂点に君臨する者のことだ。絶大な力を持つラスボスであり、「様」付けされるのも当然である。本来なら「ちょっとそれとって」といった軽々しい言葉を掛けようものなら、即処刑されてもおかしくない。しかし、発言者が魔王を倒した勇者一行となると、話は別だ。魔王という恐るべき存在が、ごく普通の人間のように、ぞんざいに扱われる。このギャップこそが本作の面白さだ。ちなみに本作の魔王は、うら若き美女。魔王としての力量は凄まじいが、単純な性格の上に厨二病気質。可愛い物好きという、乙女な一面も持つ。一緒に封印されてしまった勇者は、熱血系だが意外と家庭的。魔法使いはオープンスケベな変態で、サドっ気あり。武闘家は、毒舌家で大人のレディを夢見る怪力幼女。アクの強すぎる面々が揃った呉越同舟は、毎日がハプニングの連続だ。

王子は、言うまでもなく「さま」付けで呼ばれる存在だ。タイトルの「星の王子さま」は、アントワーヌ・ド・サン＝テグジュペリの代表作である小説と同じである。冒頭の設定も、ほぼ同じ。さらに第1話には、原作者「サン☆テグジュペリ」と記されている。ただし、その後の展開は、かの名作小説とは大きく異なる。砂漠に不時着したパヤオの前に現れた少年は、靴とマフラー以外は素っ裸。右肩に巨大な斧をかつぎ、左手には何者かの生首をぶる下げているという、不審すぎる出で立ちだ。少年の笑顔は純真そうだが、少しでも気に入らないことがあれば、表情は一変。憤怒の形相で斧を振り回す危険人物である。まさに漫☆画太郎節全開の物語は、小説の読者だけでなく、ギャグ好きにもオススメだ。

タイトルに「さま」がつくといっても、何も地位の高い人物や特別な人が登場する物語とは限らない。本作のように単語の一部に「さま」が入っている漫画も該当する。もっとも、タイトルに「サマー」がつく作品はかなり多い。突然、憧れの先輩・篠原夏希の婚約者を演じることとなった主人公・小磯健二。夏希の親戚への対応にてんてこ舞い。そんな健二の元に、差出人不明の奇妙な電子メールが届く。それは、一見すると無意味な数字の羅列。だが、高度な数学の知識を持つ健二には、数字の意味が理解できた。彼は気分転換に問題に取り組み、答えを返信。ところがそれは、「OZ」のセキュリティを守る暗号キーだったのだ。その結果「OZ」は何者かに侵入され、世界は大混乱。健二は、侵入の犯人に仕立てられしまう。果たして、犯人の正体と目的や如何に。