現実世界とバーチャル世界という2つの世界が舞台のSFサイバー漫画。主人公・タオは、遺伝子情報を組み合わせることで誕生した完全なるデータ生命体。肉体を棄て、自らをデータ化した人類が作り出した、宙に浮かぶバーチャル世界「ZONE」で生まれた。一方、地上の現実世界には、肉体と共に生きていこうとする地上人もまだ残っていた。タオは、任務遂行のため初めて降りた地上で、生身の体を持つ1人の少女・ヒルダと出会い強く惹かれていく。
「ZONE」とは、地球からの移民で自ら肉体を棄ててデータ化される道を選んだ「第一世代」と、元より肉体を持たないタオのようなデータ生命体からなる「第二世代」によって構成されるバーチャルな世界。主人公・タオが担っているのは「救出」という重要な任務だ。しかし、その正体は、地上人の脳データのみを「ZONE」に転送し、その肉体を処分するという実質的な「抹殺」だった。それは、「より高次の知性体」へと人類が進化するために行われると言う。タオは、それまで何の躊躇もなく任務を遂行してきたが、肉体を持つ地上人の少女・ヒルダに出会ったことで、今までにない感情が芽生えるようになる。人が人であるために一番大切なものは何なのか、「人間」の本質を問う意欲作だ。
202X年の近未来を舞台に、電脳世界が日常生活に溶け込んだ世界を描いたSFファンタジー。小学6年生の小此木優子(おこのぎゆうこ)は、祖母が住む大黒市へ引っ越す。大黒市では、情報技術が発展を遂げているこの時代に、電脳世界にまつわるオカルトじみた事件が起きていた。そんな中、優子が、同じ時期に転校してきたもう1人の「ユウコ」こと天沢勇子(あまさわゆうこ)と出会い物語が動き出す。2007年に放送されたテレビアニメのコミカライズ。
本作に登場する電脳空間は、メガネ型コンピューター「電脳メガネ」を用いて人や情報がつながるバーチャル世界だ。大黒市は、神社などが多い古都である一方、最新の電脳設備も備えた特別行政区。優子は、電脳関係のトラブルを解決する「コイル電脳探偵局」に入局し、謎の生命体・イリーガルと遭遇するなど、さまざまな都市伝説と向き合ったりしていく。そして、市内で起こっている奇妙な現象に、自分と勇子、2人の「ユウコ」が関係していることが判明する。謎が解き明かされるに従い、大黒市が抱える大きな秘密や真実が明らかになっていく。謎解きや友情を主軸としつつ、電脳世界の「触れられないもの」に対する大人と子どもの間に生じる価値観の相違についても描かれているなど、その世界観は奥深い。
対戦ゲームを通じて育まれる高校生同士の恋、青春を描いたバーチャルメカアクション。主人公の高専生・仁村桐生(にむらきりお)は、バーチャル・パペット(VP)のロボットを使って戦うネット対戦ゲーム「デンジャープラネット」が流行る世界で、VPカスタマイズにおける天才的なセンスを誇っている。しかしある日、圧倒的な大きさと強さを持つ「ベンケイ」という名のVPに敗北。相手パイロット・高原彩理(たかはらさいり)に興味を抱くようになる。
本作では、VPを用いたネット対戦ゲーム「デンジャープラネット」で繰り広げられる電脳世界が描かれている。「デンジャープラネット」には、宇宙空間や市街地など多くのステージが用意されており、さまざまな電脳空間を楽しむことが可能だ。ゲームの勝敗を左右するのはVPの性能で、主人公・桐生は、プレイヤーとしても、VPのカスタマイズにおいてもトップレベル。ヒロイン・彩理もまたトップクラスの実力の持ち主だ。実は、彩理が「ベンケイ」で戦うのにはワケがあった。桐生は、彩理の兄が「デンジャープラネット」開発に携わっていたという事実を知ると共に、ゲームやVP開発の裏に隠された陰謀に巻き込まれていく。ゲームを通じたバトルや恋愛のみならず、ゲーム開発の光と闇が描かれている点も見どころだ。
政府の男女隔離政策により、日本人絶滅の危機に陥っている近未来のSFラブコメディ。主人公・廻狂四郎の唯一の楽しみは、バーチャルSEXマシンを使って仮想世界を楽しむこと。そこで出会った志乃に惚れ、閉ざされた仮想世界の中で4年もの間愛を育んでいた。狂四郎は、彼女をバーチャル世界の住人だと思っていたが、ある時、自分と同じ現実世界に生きる女性だと知る。そこで、実物の彼女に会うための冒険に飛び出していく。
男女隔離政策が徹底された世界では、男女の性行為が、肉体を通してではなくバーチャルマシンを通じて行われている。そんな世界に生きる主人公・狂四郎は、治安警察の平巡査だ。子ども時代に遺伝子異常が見つかり「将来必ず犯罪を犯す異常者」のレッテルを貼られたため、少年兵を育成する役割を隠し持つ関東厚生病院に隔離され、過酷な戦闘訓練を受けて育った暗い過去を持っていた。狂四郎は、愛しい志乃が、仮想世界を管理する「小松ユリカ」という公務員であることを知り、実際に会いに行くことを決意。彼女がいる北海道の中央政府電子管理センターへ向かおうとするが、それは国家反逆罪にあたる行為だった。そのため、行く先々で道を阻まれる。いたるところにギャグが組み込まれているが、遺伝子至上主義や、人間の尊厳をも踏みにじる徹底的な管理社会など、根底には人間社会のダークな部分が描かれている。
2040年代の日本を舞台にしたSF漫画。主人公・有田春雪(ありたはるゆき)は、容姿にコンプレックスを持つイジメられっ子で、スクールカーストの底辺にいる男子中学生。昼休みに仮想世界へフルダイブし、ゲームでハイスコアを取ることでストレスを発散していた。そのことがきっかけで、生徒会副会長・黒雪姫(くろゆきひめ)から声をかけられ、今まで知らなかった世界に身を投じるようになる。「ソードアート・オンライン」で知られる川原礫原作ライトノベルのコミカライズで、2012年にテレビアニメ化された。
本作は、脳と無線接続して五感をサポートする「ニューロリンカー」という端末が登場し、仮想世界と現実世界を半々の割合で過ごす近未来が舞台となっている。ゲームの腕を買われた主人公・春雪は、黒雪姫に「ブレイン・バースト」という謎のアプリをインストールされた。それは、思考を一千倍に加速することで1秒が1000秒に値するという、超高速のポイント制バトルゲームだった。春雪は、仮想世界で、黒雪姫を守る騎士として戦う内に、校内一の美人である彼女に特別な感情を抱くようになる。2つの世界でそれぞれに紡がれてきた友情や恋愛が、いつしか複雑に絡まっていく。