卓球をテーマに描かれた友情とスポーツの物語。幼なじみの星野裕(ペコ)と月本誠(スマイル)は、片瀬高校卓球部に所属している。2人は幼少期から町の卓球場に通う仲間で、そこで誰よりも卓球が上手かったペコは、スマイルたちの憧れだった。だが成長するにつれて、彼らの関係は昔のままではいられなくなる。2002年実写映画化、2014年TVアニメ化。
松本大洋の代表作のひとつ。スピード感のある試合のシーンや卓球の奥深さだけでなく、卓球を通じて描かれる人間ドラマが見どころの作品。主人公のペコは、自他共に認める天才肌で、独自のセンスが周囲にも受け入れられている。もう1人の主人公のスマイルは、感情を表に出すのが苦手な性格。ペコに憧れるあまり、実力をセーブした卓球をしてしまっていた。だが、コーチの小泉丈に見いだされ、インターハイ予選でペコよりも実力が上であることが判明する。一方のペコは、かつての幼なじみの佐久間学にも負け、スマイルにも追い抜かされて卓球から離れる。しかし、スマイルも佐久間も、ペコが本当の天才であると信じ、彼が卓球の世界に戻ってくることを待っていた。
ヤクザが蔓延る街「宝町」を舞台に2人の少年が駆け巡るアクション作品。親のいない子どものクロとシロは、ヤクザが幅を利かせている宝町で暮らしている。彼らはずば抜けた身体能力を活かし、強盗やスリなどで生活費を稼いでいた。そんなある日、宝町に実態不明のプロジェクトが立ち上がり不穏な空気が流れ始める。2006年劇場アニメ化。
どこか懐かしい、雑多な街並みと不思議な世界観で描かれる本作。主人公のクロとシロは、ホームグランドの宝町を自由に「飛ぶ」ことのできる少年で、街の人々は彼らを「ネコ」と呼んで恐れていた。不良相手にも恐れず強盗をし、日々の生活費を稼いでいた。クロはケンカも強く、自分がシロを護ると自負している。シロもクロほどではないが身体能力に優れているものの、言動は純粋で幼稚。街を自由に生きていたが、ヤクザたちの間では宝町にレジャー施設「こどもの城」を建設する計画が持ち上がっていた。やがて、2人は殺し屋や「蛇」と呼ばれる謎の男に命を狙われるようになる。
最強なのに引退を求められる主人公を描いた異色のボクシング漫画。統一世界ミドル級チャンピオンの五島雅は、「ゼロ」という異名を持つ無敗の男だった。まもなく30歳をむかえる五島は、ボクサーとしては高齢で引退を噂されるも、同じく無敗を誇る若きボクサー「トラビス・バル」の存在を知り、トラビスとの対決を望む。
ボクシング漫画に限らずスポーツ漫画では、強敵の出現や特訓などによって、主人公が強くなっていくことが醍醐味の作品が多い。そういった意味で本作は、異色のボクシング漫画だ。本作の主人公・五島雅は、強過ぎるために人気のないボクサー。どんな試合を組んでも負けないため盛り上がらず、興業的に頭打ちとなっていた。年齢的に引退を考える時期なのに、衰えることのない強さを誇っている。そんな五島に周囲が期待するのは、「いつ負けて、引退するのか」というものだった。五島自身も自分が引退するなら、同じようなボクサーに引き継いでもらいたいという願いがあった。そして彼は、自分と同じ狂気を感じる若きボクサー・トラビスにその願いを託そうとする。
荒廃した世界を舞台に描かれるアクション作品。世界の七割が砂漠と化してしまった地球で、世界秩序のために組織された「国際平和隊」は、虹組という特殊能力をもった9人によって統率されていた。だが、その内の1人「No.吾(ナンバーファイブ)」が、マトリョーシカという女性を連れて逃亡をする。他の8人は苦慮の結果、一騎討ちでNo.吾を倒す決意を固める。
本作の主人公No.吾は、射撃の能力に特化した人物。彼を含めた9人の虹組は、創造主であるPAPAが生み出した人工生命体だ。PAPAは、彼らの他にマトリョーシカという女性を生み出していた。そんな彼女を連れてNo.吾は逃亡をする。物語の冒頭で他の虹組のメンバー「No.苦」が刺客として送り込まれるが、狙撃で討ち取る。さらに他のメンバーも虹組の掟に従い、1人ずつNo.吾の元へやって来る。だが、彼は戦闘力において他のメンバーの中でも抜きん出ており、他の仲間に好意を抱いていても無慈悲に倒していかなくてはならなかった。かつての仲間たちと死闘を繰り返しながら、マトリョーシカと共に砂漠を行く。
竹光を帯刀している浪人の瀬能宗一郎が政争に巻き込まれる時代劇。信濃の国から江戸にやってきた瀬能宗一郎はかたぎ長屋で暮らすことに。変わった性格の宗一郎に最初は警戒していた長屋の住人たちも、徐々に打ち解けていく。だが宗一郎には秘密があった。第11回文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞、第15回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。
独特のタッチとコマ割で描かれる永福一成原作の時代劇。主人公の宗一郎は信濃の国から江戸に移り住んだ侍である。飄々としていて穏やかだが、剣の腕は凶悪としか言いようがなく、その姿を見た者から「獣」や「狐」と呼ばれていた。また彼は紋無しの羽織を着ており、周囲からは身分の低い浪人だと思われている。甘いモノを好み、子どもたちに手習いを教えて糊口をしのぐ穏やかな日々を送る宗一郎。だがその穏やかな日々も長くは続かない。彼の正体は信濃の大名家の血を引く者だったのだ。やんごとなき身の上ではあるが、剣術に生きると決めた宗一郎の父は妻と子を連れて出奔し、その生活の中で宗一郎は己の中に眠る剣の「鬼」を自覚する。その鬼を抑えるために竹光を持っているのであった。