女性騎手が男性社会である競馬界の中で奮闘する様子を描いた競馬漫画。主人公は神奈川競馬所属の女性騎手・黒崎アスミ。騎手になって5年目で、通算戦績は270戦30勝だ。競馬界は男性社会。少数派の女性であるアスミは、いじめやセクハラを受ける日々を過ごしながら、それでもめげずに勝利を目指している。アスミは競馬界で成功することができるのか。人気競馬漫画『優駿の門』を原点に、数少ない女性騎手にスポットを当てた漫画作品となっている。
男性社会である競馬界で奮闘する女性騎手・アスミ。彼女の日常は過酷だ。女だからという理由でなかなか馬に乗せてもらえず、男性騎手からの理不尽な暴力で怪我を負うこともある。尻を触られるなどのセクハラはまだマシなほうだ。そんな環境に置かれながらも、アスミは勝利を目指して前を向き続ける。そんな彼女の姿に、読者は勇気をもらえるだろう。本作の原作者は、元女性騎手の赤見千尋。物語は彼女自身が経験したことに30パーセントほどの妄想を織り交ぜて作ってあるのだとか。また、登場する馬も全て赤見が出会った馬たちがモデル。本作を読めば、女性騎手のリアル・競走馬のリアルを理解することができるはずだ。
中央競馬(JRA)と地方競馬の両方を舞台に、主人公の復讐劇を描いた競馬漫画。主人公の二階堂駿は、北海道・日高にある3代続く競走馬生産牧場に生まれた。彼の父親は優秀な牧場経営者だったが、アイルランドの牧場「ウイニング・スタッド」に騙されて多額の借金を背負うことになり、それを苦に自殺。二階堂は父を亡くし土地も奪われたトラウマを抱えたまま大人になり、現在は馬商として働いている。そんな彼の前に、父を死に追いやった張本人ジョン・ランドルフが現れた。
「馬商」とは本作のみで使われている架空の呼称で、競走馬の目利きをし、馬主や調教師にアドバイスをする仕事のことを指す。二階堂は人並み外れた相馬眼を活かし、優秀な馬商として活躍していた。そんな彼の前に現れた、父の仇ジョン・ランドルフ。彼がウイニング・スタッドの代表エドワード・マクラーレンとともに日本競馬界を牛耳ろうとしていることを知った二階堂は、彼らの野望を阻止するために、競走馬生産牧場を始める。本作は、経営者目線の競馬のリアルが描かれた作品だ。レースだけでなく生産の現場や育成・調教などについて詳しく触れられており、初心者はもちろん競馬マニアも学びを得ることができるだろう。主人公の復讐は達成されるのかという点にも注目したい。
元会社員の女性が馬主として競走馬と関わっていく様を描いた、異色競馬漫画。主人公は28歳の女性・西村明希子。会社で上手くいかず落ち込んでいた彼女は、気晴らしに出かけた競馬場で新たな夢を得た。それは馬主になり、馬と関わって生きていくこと。そのために明希子は会社を辞め、競走馬を生産する実家の牧場に帰ってきた。弟からは甘いと反発されながらも、明希子は会社勤めで培ったスキルと金銭感覚を活かして、強い決意を胸に夢を追いかけていく。
実家の牧場に戻り、馬とともに生きていくことを決めた明希子。しかしそんな明希子に、弟の仁は不快感を示した。元々、明希子は田舎を嫌って家を出て行った身。ずっと家業を手伝ってきた仁からしてみれば、姉は馬の育成や牧場経営を舐めているとしか思えなかったのだ。明希子の父も娘が牧場の仕事をすることに難色を示し、彼女にある試験を課す。それは、売れ残った3頭の馬を1人の力で何とかしてみろというものだった。売れ残った馬を売るというのは非常に難しい。また馬は生き物であるため、万が一売れたとしても別の問題が浮上する場合がある。本作は明希子を通して、競走馬を売る牧場の大変さや、馬をレースに出すだけが競馬ではないことを実感できる作品となっている。
三流ジョッキーがある馬との出会いをきっかけに成長していく競馬ドラマ漫画。主人公の氷室翔は、騎手として働いている。しかし彼はちゃらんぽらんな性格で博打好きのどうしようもない三流騎手。デビュー以来10年間、まともな成績を残せていない。結婚して子どもが生まれても、だらしない生活態度は改善されないままだ。ある日、氷室は八百長疑惑に巻き込まれ、競馬界から干されてしまう。彼は調教師の勧めで北海道に行き、そこでシンケンという馬に出会った。
本作は1巻から4巻までと5巻以降とで作風が大きく変わる。序盤は、だらしのない氷室を中心としたギャグ漫画となっており、騎手のあるあるネタ・競馬のあるあるネタが多く描かれている。5巻から描かれるのは、打って変わって骨太な競馬ドラマだ。競馬界から干された氷室は、北海道の牧場で元騎手・土川永造と若駒・シンケンに出会う。この出会いが、どうしようもない三流騎手であった氷室を変えた。土川のしごきによって、氷室の騎手としての才能が開花。復帰した氷室は、シンケンとともに高みを目指す。ダメダメだった主人公が立ち直り、一流ジョッキーへと成長していく姿が本作の魅力。氷室とシンケンがどこまで高みに行けるのか、彼らの活躍に注目しよう。
競馬漫画『みどりのマキバオー』の続編作品。「白い奇跡」と呼ばれた競走馬・ミドリマキバオー。彼の活躍から10年の月日が流れた。ミドリマキバオーとそのライバルたちの人気も、もはや過去のこと。現在、日本競馬界では無敗の2冠馬・フィールオーライが人気を独占している。そんな中、地方の高知競馬場には、アイドルホースとして人気を集めている1頭の馬がいた。その馬の名はヒノデマキバオー。かの有名な競走馬・ミドリマキバオーの甥っ子だった。
ミドリマキバオーにそっくりの容姿を持つ馬・ヒノデマキバオー。彼は中央競馬(JRA)デビューを目指していたが、残念ながらミドリマキバオーと違って、生まれつき脚が弱かった。そのため、高知の福留厩舎に転厩。走りではなく容姿で人気を集めるアイドルホースとして活躍することになる。しかしその実態は、地方競馬場の運営資金を集めるための客寄せパンダだ。本気で走ることは許されておらず、客足を絶やさぬためにどんなに体調が悪くても毎週レースに出される日々。そんなある日、ヒノデマキバオーはあることがきっかけで、初めて本気の走りをした。代償として全治3ヶ月の怪我を負うものの、その出来事がきっかけで騎手の福留隼人とともに勝利を目指した走りをしていくことになる。