世界人口の約八割が超常能力を持つ世界で、ヒーローに憧れながら超常能力を持たない主人公の少年が、様々なヒーローや仲間たちと出会い夢を追いかけていく青春学園ヒーローアクション。緑谷出久(みどりやいずく)はヒーローに憧れている中学生。進学は偉大なヒーローを多く輩出してきた国立雄英高校を志望していた。しかし、出久は超常能力を持たない「無個性」。入学は絶望的だと言われていたある日、出久は平和の象徴と呼ばれるヒーロー、オールマイトと出会う。2016年から複数回テレビアニメ化されたほか、メディアミクス多数。
多くの人が「個性」と呼ばれる超常能力を持っている世界。メカオタクで天才肌なメカニックでもある発目明(はつめめい)は、ピンク色のドレッドヘアーのような特徴的な髪型をしている少女である。額にごついデザインのゴーグル、タンクトップに汚れた作業着と、格好もいかにもそれっぽい。どこからどう見ても発明に特化していそうな明であるが、個性が発明に関しているというわけではない。明は「ズーム」という、5㎞ほど先のものでも見ることができる視力の持ち主で、発明は完全に趣味なのである。持って生まれた特殊な能力じゃないというところは、とても天才発明家っぽいエピソードだ。自身の発明品を「ドッ可愛いベイビー」と評し、日ごろから工房に入り浸り、様々なサポートグッズを製作しているが、その多くは失敗作であるらしい。失敗を恐れない精神から生まれた成功作は、自分だけでなく仲間たちのピンチを救ってきた。失敗の中からしか成功は生まれないのである。
憧れていた兄を亡くした天才的な科学の才能を持つ十四歳の主人公が、兄の残したロボットとともに、ロボットに関わる事件と陰謀に巻き込まれていくSFヒューマンストーリー。ヒロ・ハマダは十四歳にして工科大学に入学した天才科学少年。日々授業そっちのけで発明に勤しんでいるが、学内でトラブルを起こしてしまう。そんな時助けてくれるのは兄のタダシだった。兄のような発明家を目指していたヒロだったが、タダシは事件に巻き込まれ、命を落としてしまうのだった。2014年、同名アニメ映画が公開された。
本作は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで製作されたアニメ映画のコミカライズ作品。原作とは設定の一部が変更されているが、ヒロが天才発明家であることに変わりはない。十四歳ながら飛び級し、大学に通っているヒロは間違いなく天才少年である。作る物はロケットを使用したり、巨大な恐竜を模したりするなど、勢いと迫力があるものが多い。暴走した時に人が害される危険性があるところが課題だろうか。モチーフになっているものが年齢相応な趣味でほっこりとする。ヒロには同じようにロボット開発に携わる大学生の兄、タダシがいるが常に発明品が高く評価されるのはヒロだ。しかし、ヒロが目標にしているのはタダシである。誰かを笑顔にするための発明ができる兄をとても尊敬しているのだ。互いを尊重できる関係だったからこそ失われたものは大きい。ヒロがどんな発明をしていくのか、残されたマシュマロボディのロボット、ベイマックスとともに見守りたい。
遊具を研究する部活動に所属する女生徒二人が、日々新しい遊具と遊びを発明し、遊びに新たなる可能性を見出していく学園発明コメディ。「ゆーけん部」こと遊具研究部には二名の部員が在籍している。天真爛漫な部長と、クールな部員千夏は日々新しい遊具の発明に余念がない。ある日千夏は、中にお菓子を詰められるように改造した拳銃のおもちゃを持ってくる。撃てばお菓子が飛び出すが、何が出てくるのかはわからない。「菓子アンルーレット」と名付けられたおもちゃで遊ぶ二人は、新たな遊びを思いつくのだった。
発明というと、何か人のためになる物を作らなければいけないような気がしてしまう。しかし、発明とは新しい物や方法を考え出すことである。美味しい調理方法や、効率の良い掃除方法なんていうのも発明の一つなのだ。そういった意味では、日々新しい遊びの開発をしている二人も発明家だと言えるだろう。遊具研究部は文字通り様々な遊具を研究する部活動である。扱っているのはコンピューターゲームなどの高価なものを使用するわけではなく、駄菓子屋や夜店で売っているような遊具やソフビの人形など、どこか懐かしさを感じるものばかりだ。ゆーけん部では部長と部員の千夏、双方がアイディアを出し合い、よりよい遊びに改良していく。創意工夫でただの遊具が斬新なゲームになる様子が興味深い。たかが遊びと侮ることなかれ、楽しむからこそ育まれる精神は確かにある。
クリニックの院長と校医を務める主人公が、趣味の発明で騒動を巻き起こすマッドドクターエロコメディ。錦小路はるかはフランケンシュタインのような厳つい顔をした二十五歳の医師。白ばらクリニックという医院の院長を務めるほか、近所にある七星中学校の校医も務めていた。はるかは子どもの頃から発明が趣味で、怪しい薬や機械を作っては幼馴染で婚約者兼看護師の小泉みゆきを困らせていた。ある日七星中学校の生徒が誤って、はるかの作った薬を飲んでしまう。1998年テレビアニメ化。
錦小路はるかはマッドサイエンティストならぬ、マッドドクターである。外見はフランケンシュタインのようだが愛嬌があり、親しみやすいのだろう。校医を務める中学校は近くにあるせいで、生徒が保健室代わりに訪れる。はるかにはノーベル賞を取るという明確な目標があるが、それは純粋な研究の成果としてではない。幼馴染のみゆきと結婚するためだ。そう、はるかはすけべなドクターなのである。時折真面目な研究も行っているが、物語冒頭では、みゆきに頼まれ胸が大きくなる薬を開発していた。事あるごとに覗き、お触りしようというのだから立派なすけべ男子である。婚約者のみゆきだから許される行いだが、世間的にはだいぶアウトだ。アクシデントによりみゆきの希望通りにはいかなかったが、実は豊胸には成功している。胸のサイズに悩む女子待望の研究結果と言えるだろう。すけべ心は時に人の能力を凌駕する。みゆきの心労は絶えないが、実用化に向けて頑張ってほしい。
漂流していた潜水艦から救出された、元海軍少佐で天才的な頭脳を持つ主人公が、親族の家で発明に没頭しマッドな発明品で騒動を巻き起こしていく発明コメディ。2006年、南極探査中の船が巨大な流氷の中から旧日本海軍籍の潜水艦を発見した。生存者は当然いないと思われたが、驚くべきことに一人の青年が生きた状態で発見される。その青年・市奥一真(いちおくいっしん)は日本に帰還後、孫にあたる市奥壮忠竜(そうちゅうりゅう)の家で暮らすことになった。困惑する家族の前で、一真は次々と自身の発明品を披露していくのだった。
船が流氷に閉じ込められていたとはいえ、60年以上もの長い間人間が生きていられるわけがない。まして、一真は一切老化しておらず、眠りについた十代の頃のままだった。なぜ長い間、命だけでなく外見の時間も止めることができたのか。それは発明品のおかげである。科学が現代ほど発達していなかった戦時下において、一真はコールドスリープするための薬を開発し、使用していたのだ。実際のところ、一口飲めば一か月は生きることができる、超高密度の栄養剤のつもりだったらしいのだが、結果的にコールドスリープしてしまった。天才とは時として意図しない発明をするものなのである。ちなみにこの薬、曾孫にあたる飛野玉(ひのたま)が飼育しているハムスターにのませたところ、人の言葉を話し始めた。本当に何が入っているのか、興味は尽きない。一真は天才だが、眠っている間に技術は飛躍的に進歩した。現代の知識を得た一真がどんな発明をしていったのかも楽しみである。