ベイマックス

ベイマックス

劇場用アニメ『ベイマックス』のコミカライズ。発明家の兄であるタダシ・ハマダを目標にしていた天才少年のヒロ・ハマダが、とある大事件に巻き込まれ、タダシが作ったケア・ロボットのベイマックスや大学の友人達と、事件の真相に迫っていく姿を描くSFアドベンチャーファンタジー。オリジナル作品とは若干ストーリーの展開が異なる。「マガジンSPECIAL」2014年No.9から2015年No.4まで掲載された。

正式名称
ベイマックス
ふりがな
べいまっくす
作者
ジャンル
ロボット
関連商品
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あらすじ

第1巻

機械工作が大好きな天才少年として知られていたヒロ・ハマダは、飛び級で兄のタダシ・ハマダが在籍する大学へと進学し、兄の背中を見ながら世界一の発明家を目指して日々学んでいた。そんなある日、学生が教授や企業の前で研究プロジェクトを発表する発表会(ショーケース)に、自身の発明品であるマイクロボットをエントリーしていたヒロは、発表会の前日にマイクロボットが突然暴走するというトラブルに見舞われてしまう。タダシの助けで事なきを得たヒロは、事態の重大さを鑑みたアキノ教授によって停学を宣告されるが、現場に居合わせたキャラハン博士の仲裁により、停学を撤回される。そして発表会の当日、タダシは人々の健康を維持するケア・ロボット「ベイマックス」を出展。それを見たヒロは、タダシにしか作れない志の高い発明品に心を揺さぶられる。マイクロボットの出展で金賞を取ったヒロは、キャラハンの研究室に招かれるも、タダシといっしょの大学で学びたかったためこれを固辞。ところが、タダシが別の大学に編入し、ヒロとは別の道を歩む事を知ったヒロは、大きなショックを受け、タダシと喧嘩をしてしまう。その夜、慌てて大学へと出かけたタダシを不審に思ったヒロは、彼を追って封鎖された建物へと潜入し、そこで別空間へとつながっている謎の施設を発見する。現場にいた仮面の怪人に見つかり、動揺から足を滑らせたヒロは、異空間へと吸い込まれそうになるが、駆けつけたタダシによって間一髪で救われる。しかし、身代わりにタダシが異空間へ吸い込まれ、この世から姿を消してしまう。タダシを失ったショックでふさぎ込んでいたヒロは、彼の健康を気遣うベイマックスに対し、タダシを探すように命令。すると、ベイマックスはヒロを伴い、例の大学の施設まで移動。そこでタダシの帽子を拾ったヒロは、帽子に付いたマイクロボットに導かれ、人気のないあばら家を訪れる。そこには大量のマイクロボットが隠されており、さらにタダシが消えた夜に大学で遭遇したであの仮面の怪人もいた。マイクロボットを自在にあやつり、ヒロを攻撃する仮面の怪人だったが、ベイマックスの機転により、ヒロは逆に仮面の怪人を追いつめる事に成功。しかし、あと一歩のところで仮面の怪人を取り逃してしまう。帰宅したヒロはベイマックスの助言を聞き入れ、タダシの大学の友達にこれまでの経緯を打ち明けて助けを請う。仮面の怪人に対抗するために全員分の特殊スーツを作ったヒロは、フレッドの提案でビッグ・ヒーロー6というチーム名を付け、みんなでタダシの事件の手がかりを探すのだった。

第2巻

仲間を引き連れ、事件現場にいた仮面の怪人と対峙したヒロ・ハマダマイクロボットをあやつってサンフランソウキョウの街を襲撃する仮面の怪人と戦っていたヒロは、戦いの最中に、彼の正体がキャラハン博士である事を知ってしまう。怒りと復讐心にまかせてキャラハンを叩きのめしたヒロは、とどめを刺そうとするも、ベイマックスに止められ、その隙を突いたキャラハンの逃亡を許してしまう。帰宅後、復讐心で自分を見失いかけていたヒロは、命令を聞き入れないベイマックスの不具合を強引に直そうとするが、ベイマックスの胸元のスクリーンに映し出されたタダシ・ハマダによるベイマックスの開発記録映像と、タダシのヒロに対する思いに触れ、彼が目指していた人々が楽しく暮らせる、優しい未来の世界を垣間見る。落ち着きを取り戻したヒロは、キャラハンの行動パターンを読み、サンフランソウキョウのはずれにある大学の古いラボに、キャラハンの拠点があると推察。仲間といっしょに現地の探索に向かったヒロは、施設内に残された記録映像から、キャラハンの娘であるアビゲイルが、2年前に行われたワームホールを利用した瞬間移動の実験中に、異空間へ取り残されてしまった事を知る。再びワームホールを開くため、サンフランソウキョウのほとんどの電力を使って装置の起動を画策していたキャラハンの意を汲んだヒロは、落雷を装置を落として再起動に必要な莫大なエネルギーを確保。ワームホールを開いたヒロは、ベイマックスと共に異空間へ突入する。そこでアビゲイルの救出に成功したヒロだったが、漂う隕石からヒロをかばったベイマックスがボディを大きく損傷。ベイマックスは残された最後の力を使い、ヒロとアビゲイルをワームホールの外まで押し出すのだった。無事に帰還したヒロは、ベイマックスとタダシの遺志を継ぎ、誰かを救える発明家になる事を心に誓い、ビッグ・ヒーロー6として平和を守る戦いへ身を投じる事になる。

登場人物・キャラクター

ヒロ・ハマダ (ひろはまだ)

飛び級でSF(サンフランソウキョウ)工科大学に進学した機械工作が大好きな少年。年齢は14歳。優れた頭脳の持ち主で、多くの数学者が解けなかった定理を解き明かすなど、幼少の頃から天才少年として知られていた。発想力もずば抜けており、これまでにもさまざまな発明品を生み出している生粋の発明家。兄であるタダシ・ハマダを強く尊敬しており、いつか世界一の発明家になる事を夢見ている。 まごうことなき天才だが、発明以外の面では、まだあどけない雰囲気を色濃く残しており、いたずら好きな子供っぽい性格をしている。食べ物はお菓子全般が好きでニンジンが嫌い。口は達者だが、協調性にやや難があり、授業中であってもお構いなしに自分の発明に没頭し、タダシやアキノを呆れさせていた。 幼少の頃に頭のよさを妬まれていじめられた経験があり、引きこもりがちになって人間との交流を好まなくなった過去を持つ。謎の施設を訪れた際の事故でタダシが異空間に吸い込まれたあとは、タダシが作ったベイマックスのアドバイスを受け、タダシの大学の友人と戦隊チーム「ビッグ・ヒーロー6」を結成し、事故の現場にいた仮面の怪人の正体を暴き、事故の真相に迫ろうとする。

ベイマックス

人々の健康を見守り続ける心優しきケア・ロボット。タダシ・ハマダによって開発された。弾力性のある風船に似た、真っ白いボディをしているのが特徴。体に異変を持った人を感知すると、自動診断を開始し、原因を突き止めて治療を施す事ができる。タダシが事故で異空間へと吸い込まれたあとは、傷心のヒロ・ハマダに付き添い、彼の心の傷を癒そうとしていた。 のちに仮面の怪人に対抗するため、ヒロによって着脱可能なスーツを装着され、飛行可能な戦闘モードも追加される。ヒロが戦意を失ったキャラハンを叩きのめそうとした際に命令を無視して止めるなど、人の心を慮った判断をする事ができる。その行動原理は、他人のためになる発明をしたいと願う、タダシの設計思想が反映されたものだった。

タダシ・ハマダ (ただしはまだ)

SF(サンフランソウキョウ)工科大学に在籍する大学生にして発明家の青年。ヒロ・ハマダの兄で、ヒロと同じ大学に通い、主にロボットの研究をしている。社交的で心優しい性格をしており、人々のためになる発明をしたいと常々考えている理想家。なにかと孤立しがちなヒロのよき理解者でもある。ケア・ロボット「ベイマックス」を苦心の末完成させるなど、優れた発明家でもあるが、ヒロの方が発明家としての才能は遥かに上である事を認めている。 福祉ロボットを深く研究するためと、自分に頼りすぎるきらいのあるヒロを広い世界で活躍させるために、ほかの大学への編入を決める。その裏で、異空間へつながるワームホールを開く実験を、キャラハン博士と二人で密かに行っていた。 ある夜、誤ってワームホールに落ちそうになったヒロをかばい、自分が異空間へと吸い込まれてしまう。

キャラハン

世界的に高名な科学者の男性。主宰する研究室には有名企業がスポンサーについており、多くの優秀な人材が集まっている。ヒロ・ハマダの通うSF(サンフランソウキョウ)工科大学で行われた発表会(ショーケース)の主宰者も務めており、マイクロボットを出展したヒロの発想力を高く評価し、金賞に推したうえで、自分の研究室にスカウトしていた。 2年前に、一人娘のアビゲイルが、瞬間移動装置の実験中のトラブルで異空間に取り残されてしまうという悲劇に見舞われている。それ以来、仮面の怪人という裏の顔を持つようになり、タダシ・ハマダの協力を得て、ワームホールの再起動とアビゲイルの救出を目的として秘密裏に行動している。ヒロのマイクロボットを回収し、自分の手足のようにあやつっていた。

仮面の怪人 (かめんのかいじん)

奇怪な仮面とコートで正体を隠した謎の怪人。ヒロ・ハマダが発明した大量のマイクロボットをあやつり、大学内にある施設でワームホールを開いて異空間を出現させようとしている。ワームホールの出現に必要な莫大な電力を確保するため、サンフランソウキョウ中の電力をかき集めようとしていた。その正体はキャラハン博士で、異空間に吸い込まれてしまった一人娘のアビゲイルを助けるために、タダシ・ハマダと共に秘密裏に活動していた。

アビゲイル

キャラハンの一人娘。幼少の頃に交通事故で母親を亡くしている。2年前に軍主導で行われた、キャラハンによる瞬間移動の実験の被験者となるが、実験中のトラブルで異空間に取り残されてしまった。のちにワームホールを開いたヒロ・ハマダとベイマックスによって救出される。

ゴー・ゴー (ごーごー)

SF(サンフランソウキョウ)工科大学に通う大学生。タダシ・ハマダの友人で、メッシュの入った髪型で、スカした雰囲気を漂わせている女性。クールかつぶっきらぼうな性格をしており、言葉よりも先に手が出るタイプ。そのため、ヒロ・ハマダからは暴力女呼ばわりされていた。のちに異空間に消えたタダシの事故の真相を探るため、ビッグ・ヒーロー6の一員となる。

フレッド

SF(サンフランソウキョウ)工科大学に通う大学生。タダシ・ハマダの友人で、キャップをかぶった長髪の男性。実家が大金持ちで、広大な敷地内に建てられた豪邸に住んでいる。かなりの戦隊ヒーローオタク。のちに異空間に消えたタダシの事故の真相を探るため、ビッグ・ヒーロー6の一員となる。その際、ヒロ・ハマダが仮面の怪人に対抗するために作成したスーツを見た事でインスピレーションとオタク心を刺激され、チーム名にビッグ・ヒーロー6と名付ける事を提案した。

ワサビ

SF(サンフランソウキョウ)工科大学に通う大学生。タダシ・ハマダの友人で、バンダナで後方にドレッドヘアをまとめた青年。優しく気遣いができる好青年で、他人とうまく接する事ができないヒロ・ハマダの心情を慮っていた。のちに異空間に消えたタダシの事故の真相を探るため、ビッグ・ヒーロー6の一員となる。

ハニー・レモン (はにーれもん)

SF(サンフランソウキョウ)工科大学に通う大学生。眼鏡をかけたおとなしい性格の女性。タダシ・ハマダが発表会(ショーケース)でベイマックスをプレゼンテーションする時に相手役として協力していた。のちに異空間に消えたタダシの事故の真相を探るため、ビッグ・ヒーロー6の一員となる。

ヒロの母親 (ひろのははおや)

風光明媚な都市サンフランソウキョウに住んでいる女性で、ヒロ・ハマダとタダシ・ハマダの母親。夫を10年以上前に交通事故で亡くしており、女手一つで二人の息子を育てた。温厚で子供思いな性格。ヒロのずば抜けた天才性をそれほど重要な事であるとは考えておらず、ただ健康で人の気持ちがわかる優しい子なってくれればいいと願っている。

アキノ

SF(サンフランソウキョウ)工科大学で教授をしている男性。陰湿な性格をしており、授業中の質問に誤答をした生徒をネチネチと責める嫌味なタイプ。自由奔放に振る舞い、自分に従わないヒロ・ハマダを嫌っている。ヒロが発表会(ショーケース)へ出展する予定だったマイクロボットに細工をして暴走させ、懲戒処分を受けてしまった。 ロングヘアのカツラをかぶっているが、本当はつるっぱげ。

サラ

キャラハンの妻。故人。学生時代にキャラハンと出会い、結婚後に一人娘のアビゲイルを授かった。しかし、その1年後に交通事故によって命を落とす。サラの死に目に会えなかった事が、キャラハンが瞬間移動装置の開発に傾倒する強い動機となる。

集団・組織

ビッグ・ヒーロー6

仮面の怪人に対抗するため、ヒロ・ハマダがSF(サンフランソウキョウ)工科大学の友人を引き込んで作った戦隊チーム。ヒロが作成した特製スーツを着込む事で、それぞれが高い戦闘力を発揮するようになる。メンバーはヒロ、ベイマックス、ゴー・ゴー、フレッド、ワサビ、ハニー・レモンの五人と1体。 命名は戦隊ヒーローオタクのフレッドによるもの。

その他キーワード

マイクロボット

手のひらに収まるサイズのブロックのようなロボット。ヒロ・タダシが大学の発表会(ショーケース)に出展した発明品。大量のマイクロボットを一つのコアによってコントロールする事で、自由自在に変形させられる。その発想力と実用性の高さをキャラハンに認められ、金賞を受賞するが、のちに仮面の怪人にコアごと盗まれ、武器として利用されてしまう。

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