女子中学生が復讐のため、クラスメイトたちを次々と手にかけてゆくスクールサスペンス。舞台は白咲中学校3年3組。主人公・藤沢彩菜はクラスメイトほぼ全員からいじめられていた。無視や暴力・恐喝だけに留まらず、レイプなどの犯罪行為さえいじめに含まれていたが、耐え忍ぶ日々を送っていた。そんななか、彼女はある日歩道で何者かに突き飛ばされ、車にひかれてしまう。このままでは殺されると感じた彩菜は、クラス全員に復讐することを決意する。
彩菜の復讐計画は用意周到なものだった。その対象には、かつて友人関係であった滝嶋結子と窪田恵美もいた。彩菜は二人の関係に亀裂を生じさせることに成功し、結子は自殺し恵美も彼女を追って転落死する。だが、実は彼女たちは彩菜の味方だったことが判明する。彩菜は強いショックを受けるが、復讐の手を緩めることはなかった。クラスで浮いた存在であった吉永翔太らを手懐け、直接自分の手を汚すことなく手を下してゆく。しかし、協力者であったはずの翔太によって徐々に計画に綻びが生じる中、いじめの「黒幕」なる人物と対決することになる。クラス全体を巻き込んだ復讐劇はまさに「負の連鎖」であり悲惨な結末に胸が痛む。また、二転三転するストーリーと意外な黒幕の正体にも要注目だ。
家族を惨殺された少年が、双子の兄の記憶と共に真犯人に挑むヒューマンサスペンス。18歳の高校生・中條千里(せんり)は、13年前両親を惨殺された過去を持つ。犯行現場に居合わせた双子の兄・中條一登(かずと)は行方不明となる。千里は犯人への復讐のためだけに生きてきた。ある日千里は、不良仲間がたむろする酒場のテレビに映った光景を見て愕然とする。そこに映っていたのは、彼の家族を殺した犯人と思しき男の姿だった。
千里は、離れたところにいても一登が感じた痛みと情景を共有することができるという特殊能力を持っていた。両親が殺された日、一登の記憶の中にあった犯人の腕にあった「火」の文字の傷を覚えていた千里は、テレビに映った男に同じ傷があることを確認する。千里は犯人を「火の男」と呼び、彼の行方を追うも取り逃してしまう。その後も時折現れる一登との記憶の共有を頼りに、千里は幼なじみの琴川恵南(えなん)や事件を追う刑事・若園の助けを得ながら真相に踏み込んでゆく。本作は衝撃の殺人事件から始まるなど、ミステリー要素が盛りだくさんで一気に引き込まれる。正体の見えない犯人に復讐心を抱く千里がどう行動してゆくのか、今後の展開が楽しみな作品だ。
寒村を舞台に、いじめの果てに両親を殺害された女子中学生が引き起こす惨劇を描いたサイコホラー。主人公・野咲(のざき)春花は父親の転勤で、半年前に東京から大津馬村(おおつまむら)に移住する。しかし、大津馬中学校の生徒たちは閉鎖的であり、春花は陰湿ないじめを受けていた。唯一彼女を庇っていたのは、カメラ好きの同級生・相場晄(みつる)だけだった。晄と少しずつ打ち解けてゆく春花であったが、彼女を待ち受けていたのは凄惨な運命であった。
病気で学校を休んだ春花の元を訪れたのは、いじめの首謀者・小黒妙子の手下で自らもいじめられていた佐山流美だ。妙子の差し金で、流美は春花に学校に来るよう説得するも、彼女は不登校になると告げる。説得に失敗し再びいじめの標的となることを恐れた流美は、春花と家族を恨み始める。妙子の後押しもあり、流美は同級生数人と春花の留守中家に火をつけ彼女の両親を殺害、妹は意識不明の重体となる。犯人が流美たちだと知った春花はその瞬間から復讐の鬼となり、実行犯を次々と手にかけてゆく。閉鎖的な田舎のムラ社会といじめがいじめを呼ぶ負の連鎖、止まらぬ復讐劇に暗澹たる気持ちになるだろう。彼女の味方であるはずの晄の意外な一面にも戦慄が走る。
チーマーに兄を殺された少年が、復讐のため彼らに闘いを挑むバイオレンスアクション。小学6年生の新庄トキオは、兄と共に訪れた渋谷で偶然アベックがチーマーに絡まれているところに遭遇する。仲裁に駆けつけた兄に、チーマーたちは激しく暴力を振るう。凄惨なリンチの末兄は亡くなり、アベックも名乗り出なかったことから暴行を加えた4人組は保護観察処分となってしまう。その後、兄を失ったショックから母も亡くなってしまい、天涯孤独となったトキオは復讐を決意する。
悲惨な事件から5年が経過した渋谷は、凶悪なチーマー軍団「シャーク隊」によって牛耳られていた。時を同じくして17歳になったトキオは、母の死をきっかけに兄を殺した犯人に復讐を誓い渋谷に降り立った。犯人がシャーク隊の幹部になっていると知り、トキオは一人乗り込むが捕まってしまいリンチに遭う。すんでのところで一匹狼の謎の不良少女・ミーコに助けられ、彼女の協力を経て再びシャーク隊へと闘いを挑む。兄への復讐とシャーク隊の殲滅に燃えるトキオの強さがとにかく規格外だ。特筆すべきは、本作が描かれた頃に社会問題となったチーマーである。シャーク隊の凶悪さは当時を知るものにとってリアルであり、世相をよく反映しているといえるだろう。
いじめの復讐のため、アイドルが次々と仲間を闇に葬るバイオレンス&スプラッタ。カレンダーになぞらえて結成された、31人組のアイドルグループ「カランドリエ」。主人公「31」は文字通り31人目に加入したメンバーだ。憧れていたアイドル生活とは裏腹に、31はメンバーの一人である「27(ニーナ)」に壮絶ないじめを受けていた。プロデューサーに訴えるが取り付く島もなく、更に27に密告がバレたことから更なる暴力を受け、31はとある行動に出る。
27のいじめは身体的な暴力はもとより、カミソリで脅して失禁した31の尿を顔面で掃除させるなど常軌を逸していた。31はいじめ動画をチラつかせ新聞社に持っていくと訴えるが、激昂した27は金槌で彼女の頭を殴打。薄れゆく意識の中で31は「死にたくない」との思いから手にした釘抜きで反撃に打って出る。劣勢に立った27は命乞いをするが、31は頭部に怒りの鉄槌を下す。その後いじめに首謀者がいると知った彼女は、更なる復讐に身を投じてゆく。芸能界の隠蔽体質と、女性アイドルグループのギスギスした関係の中で描かれる復讐劇は陰惨そのものだ。その中でも「4(フィア)」など味方となるメンバーも現れ、目が離せない展開となっている。