中学生が宇宙人の子どもを育てるSFラブコメディ。両親が海外赴任することになったため、主人公の光月未夢は西園寺に預けられる。しかし、西園寺の住職もインド修行へ出てしまい、未夢は住職の息子・彷徨と2人暮らしを余儀なくされる。そんななか、オット星からやってきた赤ちゃんのルゥ、ベビーシッターのワンニャーが突然現れて、3人と1匹の不思議な共同生活がはじまる。
子どもを育てるのは、なにも両親だけとは限らない。さらに漫画なら、地球人だけとも限らない。本作は、ひょんなことから一緒に暮らすことになった中学2年生の光月未夢と西園寺彷徨が、オット星からUFOに乗ってやってきた不思議な赤ちゃんのルゥを育てるドタバタラブコメディだ。つぶらな瞳でキャッキャと笑う純真無垢なルゥ。最初は、口が悪くて無愛想な彷徨に反発していた未夢だったが、ルゥの正体が周囲にバレないように協力し、共に子育てをしていくなかで徐々に愛が芽生えていく。子どもを通じて純粋な愛が育まれる、子育て少女漫画の傑作だ。
軽度の知的障害を持つ主人公、福原柚子の子育てを描いたヒューマンホームドラマ。「ワークセンターたんぽぽ」で、同じ作業所に通う沢田草介とのあいだに子どもができた柚子。突然の草介の死を乗り越え、家族に支えられながら、愛娘の子育てに奮闘する。
本作では2人の「子ども」が登場する。1人は福原柚子が生んだ愛娘のひまわり。もう1人は、軽度の知的障害で日常生活の支援が必要なために、いつまでも「子ども」扱いされる柚子本人だ。子どものような柚子に子育てなどできるわけがないと、柚子の母親は彼女の妊娠がわかったときに猛反対。だが、頑張って自立しようとする柚子を見た母親は、柚子の可能性を信じて、彼女の子育てをサポートしていくことを決意する。知的障害を持つ母親の子育てというシリアスなテーマを、真正面から優しいタッチで描き出す。二世代にわたる母と子の絆を感じられる作品だ。
「小学生の子育て」をコメディタッチで描いたホームドラマ漫画。突然の交通事故で母親を亡くした小学5年生の榎木拓也。彼は母を失った悲しみを癒す間もなく、多忙な父親に代わって、わがままいっぱいで泣いてばかりの幼い弟の世話をすることになる。第40回小学館漫画賞受賞。
主人公の拓也は、母親を亡くし、働く父親に代わって保育園に通う実の世話をしている。そうはいっても、拓也もまだ小学生の男の子。母親に甘えたいざかりの年頃なのに、自分だけ実の世話に毎日を支配されてしまうことに不満を抱く。ご近所さんからは、ちゃんと面倒を見ていないから実がこんなに泣くんだと言われ、追い詰められる。しかし、拓也のことを「にーちゃ」と呼び、「あい」と返事する実は、あまりにもかわいらしい。母・父・子」の三角関係とはまた違う、幸せな家族のかたちを彼は読者に教えてくれる。
高校生2人による期間限定の育児が描かれるラブコメディ。高校生の芽依は、クラスメイトの萩原塔吾が預かる姪っ子に懐かれ、母親役として彼と一緒に子守をすることに。ひとつ屋根の下、萩原と芽依の心は急接近。ドキドキの子育て体験がはじまる。
本作に登場する子どもは、イケメン男子高校生の萩原塔吾の姪っ子にあたる瑠生だ。ワイルドな王子様系男子の彼には、姪っ子に「とーちゃん」と呼ばれる家庭的な一面が隠されていた。主人公の芽依は、そんな彼の意外な一面に惹かれる女の子だ。瑠生に「ママ」と呼ばれて懐かれた彼女は、荻原から子守の手伝いをしてほしいと頼まれ、瑠生の部屋で絵本を読んで聞かせる。そうして遊んでいるうちに、萩原が本当に瑠生を大切にしていることを実感するのだ。一方、瑠生をすぐに寝付かせた芽依に、萩原は満面の笑みで感謝し、次第に惹かれていく。子どもを通じて、互いの新しい一面を発見していく姿に胸が高鳴る恋愛漫画だ。
育児ノイローゼに悩む母親をかわいらしい絵柄でシリアスに描いた育児漫画。主人公の沖浦あゆみは10代のシングルマザー。双子の妹かなめに子育てをサポートしてもらいながら、生後まもない娘、ゆめの育児に精を出すが、夜泣きや排泄物の処理といった育児の過酷さに直面し、あゆみは疲れ果てていく。
本作は昼も夜も泣き止まない新生児の世話をすることの過酷さにスポットを当てた育児漫画だ。本作のユニークなところは、主人公の沖浦あゆみをはじめ、登場人物はかわいらしい萌え絵系のタッチで描かれるのに、生後まもないゆめだけは猿のような赤ん坊の姿で写実的に描いていることだ。その落差は、子どもがかわいいだけの存在ではないことを表現している。実際、あゆみは責任感の強さから、育児を頑張ろうとすればするほど、娘に殺意を抱くほどの育児ノイローゼに陥っていく。育児に対する光と闇を克明に描きだす作品だ。