その圧倒的な人気で瞬く間にアニメ化、映画化とメディアの幅を広げるとともに、「福本伸行」の名前を一般的に普及させるきっかけとなった作品である『逆境無頼カイジ』。その魅力にスポットを当てて紹介する。
人間の本質を見抜き、圧倒的な心理描写に独特のタッチ、逸脱した発想が魅力の作品である『逆境無頼カイジ』は、今までのギャンブルアニメとは一線を描く作品と言える。また本作は、現実社会にも置き換えられるような言動や心理描写が多々あり、人生観を変える、見直すといった自己啓発としても人気となっている。
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その圧倒的な人気で瞬く間にアニメ化、映画化とメディアの幅を広げるとともに、「福本伸行」の名前を一般的に普及させるきっかけとなった作品である『逆境無頼カイジ』。その魅力にスポットを当てて紹介する。
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日々怠惰で自堕落な生活を送っていた「伊藤開司」(通称「カイジ」)の元に突如降りかかる借金「385万円」。友人の保証人になったばかりに背負うこととなったこの借金がのちに「カイジ」を社会に巣くう悪鬼羅刹たちとの対面、果てには己を賭けた狂気のギャンブルへ誘うこととなる。今までのギャンブルマンガやアニメと違い「カイジ」は卓越した技能や能力はなく、平凡かそれ以下の人間で辛酸をなめさせられる事も多々あり、かっこいい主人公とは言いがたい物でもある。
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平穏な環境下にあるとただのダメ人間である。アニメ第1話では働きもせず家でだらだらと過ごしている描写からはじまるという体たらく。挙句の果てに自分のダメな人生のうっぷん・ストレスを解消するために高級車を傷だらけにするという屑を通り越して犯罪を犯すという、アニメの主人公にあるまじき人間である。ちなみに好物の獲物はベンツ。上記のようにどうしようもない人間ながら、情に脆く土壇場で非情になれない、絶対に仲間は裏切らないという優しさとタイトルにあるように逆境、追い詰められた時の発想と粘り強さ、不屈の精神力は並々ならぬものがあり、その心理描写と根性・精神論は自己啓発本として発刊されるほどである。
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本作を視聴するうえで欠かせないのは物語で登場する奇抜なゲームの数々である。「グー」、「チョキ」、「パー」が描かれたカードを4枚ずつを使用し3つの星を奪い合う「限定じゃんけん」や「皇帝」、「市民」、「奴隷」の3種類のカードを使った社会の仕組みを体現した「Eカード」といった心理戦、頭脳を駆使するゲームから高層ビルの間に用意された鉄骨を渡るという身体能力が求めらるゲーム「鉄骨渡り」等のカイジオリジナルのゲームから、一般的に普及されている「チンチロリン」や「パチンコ」といったギャンブルまでさまざまな勝負が作中で繰り広げられている。どのシーンも緊張と恐怖が入り乱れた白熱する描写ばかりであり本作の一番の見どころである。
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「カイジ」が作中相対するキャラクターたち。
その誰もが圧倒的な存在感を放ち「カイジ」を地獄の底へ叩き落としてきた。自分では何もできず「カイジ」に頼りっきりであるにもかかわらず、大金に目がくらみ裏切った「安藤守」や、大手企業「帝愛グループ」の総帥にして人が苦しむさまを楽しみ、カイジ最大の宿敵にして裏社会の帝王「兵藤和尊」、地下労働施設にて言葉巧みに「カイジ」を誘導し、なけなしの仮想賃金「ペリカ」を貪る班長「大槻」、人間の心理や社会の仕組みを誰よりも理解、うまく利用し債務者たちを地獄へ誘う「利根川」、物腰の柔らかい紳士を装いながらも弱者を見下し、搾取する「一条」と誰もが「カイジ」と白熱のバトルを繰り広げネットスラング用語になるほどの名セリフを残している。作中彼らの視聴者に語りかけるような言葉運びは秀逸である。その圧倒的な人気は、2017年にスピンオフのマンガが連載されるほどである。特に「利根川」のサラリーマンとしての生活を描いた「中間管理録トネガワ」は連載と同時に爆発的なヒットを生みだした。
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作中にて生まれた圧倒的な名言の数々は視聴者の心の奥にグサリと突き刺さる物ばかりである。「勝ったらいいな…じゃない……! 勝たなきゃダメなんだ……!」「勝ちもせず生きようとすることがそもそも論外なのだ」これは作中登場人物「利根川幸雄」が集められた債務者に放った一言である。「利根川」の説明に対して、不満や文句ばかりの債務者たちに喝を入れるために放ったこの名言は競争化社会の日本、ひいては生物としての本質を思い出させる一言である。
他にも「明日からがんばるんじゃない…… 今日…… 今日だけがんばるんだっ…………!」「今日をがんばった者……… 今日もがんばり始めた者にのみ…… 明日が来るんだよ……!」こちらはビールを我慢できず、散財してしまう「カイジ」の様を見て仲間に話しかける班長「大槻」のセリフである。ぐうの音も出ない正論であり聞いていて耳が痛くなるこのセリフ、ダイエットの格言として定着するほどである。
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