究極のメニューを作れ！バトル料理漫画５選79 Pt.

東西新聞文化部社員・山岡士郎と栗田ゆう子のコンビが、「究極のメニュー」を選定すべく世界中の美味に挑む。その行く手にたちはだかる士郎の父、海原雄山率いる美食倶楽部。雄山は「究極のメニュー」に対抗して「至高のメニュー」を作ろうとしていたのだ。果たして士郎は、「究極のメニュー」を完成させられるのか？　といったストーリー。それまでの料理漫画が基本的に「料理人の世界」を描いていたのに対して、主人公もライバルも（調理技術はあるものの）基本的に他人が作った料理を「味わって評価する」ことを目的とする。ここから「グルメ漫画」という新ジャンルが誕生した。それ以前の料理漫画も、調理に関する情報は重要だったが、本作ではとにかく細かいうんちくのオンパレード。読者は新たな料理知識を得ることを目的に読んでいるといっても過言ではない。

世は「美食」が世界的流行となっているグルメ時代。IGO（国際グルメ機構）直属ホテルの料理長・小松は、局長から幻の食材「ガララワニ」捕獲の命を受ける。任務に抜擢されたのは、自分の「人生のフルコース」の完成を夢とする「美食屋」（食材ハンター）トリコ。二人は最高の食材を求め、命を懸けた旅へ出発する。食材調達の段階から漫画にするセンスも凄いが、「美食會」「グルメヤクザ」「グルメ細胞」、果ては「グルメ・テレイグジスタンス・ロボ」まで登場するなど、アニメやゲームに影響を受けたと思われる設定の貪欲さが物凄い。グルメバトル少年漫画の一つの到達点といえよう。

下町の定食屋の息子・幸平創真は、名門料理学校「遠月学園」を舞台に、今日も「食戟」と呼ばれる決闘ルールにのっとった激しい料理バトルを繰り広げる。料理を食べたときの審査員役の大仰すぎるリアクション芸は『ミスター味っ子』直系だが、特筆すべきは主人公をとりまくヒロインたちとのラブコメあり、ちょっとエッチな展開ありの学園ドラマをきっちり描ききっているところだ。料理だけじゃない。もちろんエロだけでもない。それが本作の魅力といえる。料理漫画ジャンルに新境地を拓いた、エロコメ学園グルメバトル漫画。

和食の達人を父にもつ塩見味平は、「もっと大衆に喜んでもらえる料理を」との理想を掲げ、洋食店に住み込み修行をはじめる。やがて味兵は、次々と立ちはだかる奇想天外な料理人と料理バトルを繰り広げることになる。食材と調理法のうんちく、猛特訓、判定と解説の流れなど、その後の料理バトル漫画のフォーマットはすべて『味兵』が作ったといっても過言ではないだろう。特筆すべきは、もはや漫画界では伝説となった「カレー戦争編」である。ブラックカレーをひっさげ、みずから「カレー将軍」と名乗る強敵・鼻田香作とのバトルの衝撃の結末は、とてもここでは詳細をお伝えできないレベル。

本作は料理バトル漫画ではない。お笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」のメンバー、あらゆる食に通じた「ネイチャー」こと寺門ジモン本人と、『ヤングマガジン』の新人編集者コマツの凸凹コンビを主人公にした体験ルポ漫画なのだ。登場するネタは料理だけとは限らないが、料理店編では毎回、ジモンが実際に食べ歩いたステーキ店やもんじゃ焼き店など、極上の料理を出す名店の数々を紹介していく。いちいち、そのうまそうなことといったらない。最初は少々ウザッたく感じる暑苦しいジモンのキャラが、だんだん頼もしいアニキに見えてくるから不思議だ。「最高の味」とはバトルで決めるものではない、ジモンに教えてもらうものなのだ！