人間と獣人族(ワイルドハーフ)との絆とふれあいを描いたハートフルストーリー。「タケト」こと岩瀬健人は、早くに両親を亡くし刑事の兄・寿文(としふみ)と二人暮らしだ。心優しい少年だが、野良犬に持っていた弁当を食べられてしまうなどドジな一面がある。ある日、寿文が勤務中に何者かに襲撃され怪我をし、銃を奪われるという事件が起こる。タケトは兄を助けたい一心で、どんな事件も100%解決するという謎の探偵「ワイルドハーフ」の存在を思い出す。
動揺するタケトの前に突如現れたのは、いつか弁当を食べられた野良犬だった。サルサと名乗る野良犬は自分がワイルドハーフであり、寿文を助けると豪語する。半信半疑のタケトを尻目に、サルサは人間の「心の匂い」を嗅ぎ取ることで真犯人の居場所を突き止め、獣人の姿となり強靭な力で犯人を撃退する。無事に事件を解決したサルサは、心優しきタケトの家に探偵兼飼い犬として居候することに。二人はかけがえのないバディとなり、さまざまな事件を解決に導いてゆく。サルサの他にも、言葉を話す動物が仲間としてたくさん登場するのが本作の特徴だ。彼らの正体は「獣人族」であり、時に人の姿となって学校に通ったり、人々の助けになったりと、種族を超えた絆に心温まるだろう。
祖母の形見である「友人帳」を持つ少年を取り巻く騒動を描いた、ふれあい妖怪奇譚。主人公・夏目貴志(たかし)は幼い頃から妖怪が見える特殊能力を持ち合わせている。そのせいで両親亡き後親戚中をたらい回しにされてきたが、遠縁である藤原夫妻に引き取られ、平穏な生活を送っていた。しかし、妖怪に追われる毎日は相変わらずで、ある日貴志は逃げ惑う最中、招き猫が祀られる祠の結界を破ってしまう。2008年テレビアニメ化、2018年にアニメ映画化された。
祠の主は「斑(まだら)」と名乗る妖怪だった。斑曰く、貴志の祖母・夏目レイコの持つ「友人帳」を妖怪たちは狙っているとのこと。実は、レイコは強力な妖力の持ち主であり、妖怪たちを次々と負かしその名前を勝負に勝った証として「友人帳」に記していたのだ。貴志は友人帳に書かれた妖怪たちに名前を返すことを決意。斑を用心棒にし、さまざまな妖怪たちとふれあってゆく。本作に登場する動物は斑の化身である「ニャンコ先生」だ。本来は白い獣の姿だが、永らく招き猫を依代にしてきたため丸々とした三毛猫風の風貌になってしまったのが面白い。藤原夫妻には飼い猫のふりをしているが、中身はオヤジそのもので人間の食べ物が大好きという愛らしいキャラクターにも注目だ。
巫女の少女と言葉を話す熊のふれあいと田舎暮らしを描いた、ほのぼのスローライフ漫画。東北地方のどこかにある熊出村。アスファルトもなく電波も届かない限界集落に暮らす主人公・雨宿(あまやどり)まちは中学生でありながら巫女の仕事をしている。都会に憧れるまちは、町の高校に行きたいとパンフレットを後見人に見せるが猛反対を受けてしまう。その後見人の正体は、村の守り神であるヒグマ・クマ井ナツであった。2016年にテレビアニメ化。
まちは長きにわたる山育ちの結果、田舎コンプレックスを抱えていた。そんな彼女にナツは「都会っ子クイズ」を出題する。全問正解すれば都会行きを許可するとの言葉にまちは張り切るも、撃沈してしまう。それでも諦めない彼女に、ナツは次々と試練を与えてゆくのであった。本作は、長閑な東北の田舎の四季がまち達を通してほのぼのと描かれている。ナツの風貌は迫力満点だが、人間の血を引いているため村人を襲わず、おまけに去勢済みというユニークさだ。言葉を話すどころか、タブレットを使いこなしたり料理を振る舞ったりと人間くささも満載である。それに反して世間知らずで炊飯器さえ壊してしまう機械音痴なまちがいじらしく、その対比も面白い。
猫の言葉が理解できる男子高校生の受難を描いたラブコメディ。主人公・高坂(こうさか)潤平は猫アレルギーのある高校生だ。ある日突然、飼い猫のニャムサスや道ゆく野良猫たちの言葉を理解していることに気付き、愕然とする。実は、その前日、潤平は道端の空き缶を蹴飛ばした際に、近所の寺の祠に祀られていた「猫地蔵」に空き缶が直撃し頭が取れてしまうという悪行を犯していたのだ。恐怖の余り寺を訪れた潤平は、寺の猫・タマから衝撃の事実を聞かされる。2009年にテレビアニメ化。
タマ曰く、潤平は猫地蔵の怒りを買い呪われたため、このままだと猫になってしまうとのこと。呪いを解くには100匹の猫に善行を施すことだという。潤平はさっそく、野良猫が虐待されているとの訴えを聞き犯人探しをする。しかしその犯人とは、潤平が片思いする同級生・水野楓だった。楓は大の猫好きで、野良猫達に過度なスキンシップをしていたことが判明。諭そうとするがニャムサスたちのせいで思わず大声を出してしまい、彼女を驚かせてしまう。翌日無事に誤解が解けご機嫌な潤平だったが、更なる受難が待ち受けていた。猫アレルギーなのに、猫たちの言うことを聞けば聞くほど不幸が訪れる潤平にクスリとさせられる。そんな彼に少しずつ惹かれてゆく楓との恋の行方にも注目したい。
マイペース男子と女王様気質の猫が織りなす、種族を超えた真実の愛の物語。主人公・橘春樹はちょっぴりマイペースなごく普通の大学生だ。ある日、同級生たちは彼女欲しさに合コンの話に興じていたが、春樹は一週間前に彼女ができたと告げ誘いを断る。興味津々な彼らにどんな女性かと尋ねられ、「わがままで独占欲が強く、ヒステリックで自分勝手」だと答える春樹。心配する同級生たちをよそに春樹は彼女が待つ家で朝を迎えるが、なんとその正体はメス猫の「ルル」であった。
ルルは土曜の朝にもかかわらず、春樹の上に飛び乗りデートに連れて行けと強引に迫る。渋々近所の公園に連れて行くが、子供たちを威嚇したりとルルはわがまま放題だ。そんな彼らの前に、偶然飼い犬のハチを連れた同級生・椎名由香が現れる。春樹はなぜかハチの言葉を理解し、由香とも意気投合するのであった。犬嫌いの上に由香への嫉妬に狂ったルルは、帰宅後彼に浮気を責め立てる。そんな彼女に辟易しながらも春樹は優しく受け止めて、彼女の要求に応える。本作は、秘密を抱えたルルが春樹を通じ真実の愛を求めるピュアなラブストーリーだ。どんなに由香たちに怒っても「にゃーにゃー」と言っているように聞こえてしまい、可愛がられてしまう彼女がキュートでいじらしい。