とある下町。丸子商店街に住む嵐山歩鳥(あらしやまほとり)は今年から高校に通う女子高生だ。
歩鳥がアルバイトをしているのは、メイド喫茶「シーサイド」。メイドカフェではなく、メイド喫茶なのだ。
シーサイドは歩鳥の祖母である磯端ウキが経営しているのだが、ウキもメイドの格好をしているようなちょっと変わったメイド喫茶だった。
そんなメイド喫茶の常連が魚屋の息子である真田広章。幼馴染の彼は歩鳥の事が好きなのだが、歩鳥はそんな事には気付いていない。クラスメイトの辰野俊子は、憧れている真田が「シーサイド」の常連だと知り、おしかけアルバイトとして歩鳥と一緒にメイド喫茶で働き始める。
女子高生歩鳥の毎日は、とにかく騒がしくハチャメチャ。今日も商店街のみんなを巻き込んで、てんやわんやの大騒ぎが始まるのであった。
本作の魅力は、歩鳥を筆頭とするキャラクターたちがイキイキと描かれている事。歩鳥は何をしても、失敗したり、ややこしい事になったりと、様々なトラブルを招くトラブルメーカーだが、趣味が探偵なのである。ゆくゆくは女子高生探偵になって、様々な難事件を解決するのが夢のようだが、数学の成績はからっきし。
しかし、女子高生探偵を目指すだけあって、「日常とは異質なモノ」に対する観察眼はとても鋭いのだ。
捧腹絶倒メイドコメディなので、歩鳥が面白いのはもちろん、下町のみなさんや、学校の先生たちも歩鳥につられて騒がしい日常に引き込まれていってしまう。それがまた楽しい。
お気に入りは、警察官の松田旬作巡査。法律無視で、しょっちゅうやらかす歩鳥を、あたたかく指導しているのだが、いい加減イラついて、腰の拳銃を抜きかける事も多々……。メガネキャラですが、実は結構格好良かったりするのは、警察官だからだろうか。
ただでさえ騒がしい歩鳥たちの日常だが、たまにおかしな現象が起こる。
目が覚めると、おかしな時代へとタイムスリップしていたり、そういった偶発する不思議時空での展開も「それ町」の魅力である。
笑いあり、涙あり? そして不思議時空あり。
ぜひとも「それ町」の世界を堪能してみてほしい、きっとハマるはずだ。