寿 乱子は目高学園に通う高校生。中学生の頃は太っていたが、ボディービルでシェイプアップしたことにより、魅力的でセクシーな肉体美と、筋肉がつき過ぎた事により、怪力も手に入れた。
毎日ボディービルで体をシェイプアップしているが、浪人生で変態下宿人の原 宗一郎が乱子にスケベないたずらをしてくる。その度にボディービルで培った腕力で懲らしめる。
樋口 左京というクラスメイトが乱子に恋をし、告白しようと毎朝待ち伏せをするが、寝坊・遅刻常習犯の乱子は猛スピードで走り去ってしまう。次の日は自転車を準備して、乱子を待ち伏せするが、怪力の持ち主乱子には追いつけず、ついに告白することはできなかった……。左京は告白することができるのか!?
また、変態下宿人から乱子は身を守ることはできるのか……??
週刊少年ジャンプにて連載、コミックは全14巻まで発売。完結。
80年代に連載が始まったこの作品は、徳弘正也の初連載マンガで、「自分の最高傑作」と言われているほど、現在も色褪せずに面白いマンガである。
高知県から上京してきた徳弘正也は、大学で拳法を始め、格闘技が大好きであった。その後、ボディビルディングにハマったそうで、若かりし頃の作者の好きなものが凝縮されたマンガと言える。
その為、作画にもその味が色濃く出ており、男性・女性の肉体から臭い立つような汗や生々しさが伝わってくる。
顔の描写も顎の面積が広い少し変わった絵だが、なぜか見るごとにきれいにかわいく、かっこ良く見えてくるから不思議である。
その場の雰囲気でキャラクターの顔まで大幅に変わるのがものすごい。
乱子はきれいでかわいい顔立ちのはずだが、ギャグやふざけているときの作画などでは、歯が一本になったり、三白眼になって鼻水が出ていたり、おもしろい表情になるのには、振り切れている感がある。
また、下ネタの擬音「もっこり」という言葉はこの作品で発明されたものであり、徳弘正也が発明者と自身も語っている。
下ネタ連発で絵も癖があり女性は苦手な作品ではあるが、実際は女性のファンが多い。下ネタを書いている時の描写に「作者の照れ」というものが隠れているからだろう。
下ネタだけに限らず、意外と人情味のある話もたくさん盛り込まれており、感動し泣けるストーリーがある。
当時の週刊ジャンプはも強烈な作品ばかり連載されていたため、ここまで強烈な作品であるにもかかわらず、当時は他の作品の相乗効果により薄い印象だったと言う。主な連載作品は『北斗の拳』や『キン肉マン』などだ。
たくさんの振り切った作品のある中で、『シェイプアップ乱』は下品で振り切り連載できた作品と言えるだろう。
目高学園高等学校に通う女学生。中学生の頃は太っていてダサかったが、ボディビルに目覚めシェイプアップをするようになり、豊満な肉体美を手に入れた。高校では体操部に所属し、これでもか!! というほどの美ボディラインを見せつける。
読者サービスがものすごく多く、入浴シーン、筋トレシーン、寝起きシーン、体操部練習シーン、遅刻すれすれで走るシーン、どれもこれも裸に近いファンサービスを悪気無くしている。ファンどころか、男性キャラもその魅力にやられ、宗一郎も変態に変わってしまうほど!
性格は明るく豪快で人情たっぷりだが、どこか抜けている。肉体美の持ち主、樋口 宗一郎のことが気になっている。
乱子の家に下宿している遠い親戚。東京大学を受験するために岡山から上京してきた。
始めは爽やかだった宗一郎が、乱子の魅力のせいなのか、元々の性格なのかどんどん変態、変質者化してきた。
現在はあけっぴろげに、乱子に変態的な行動をぶつけているが、その度に乱子の腕力にて成敗される。
乱子のクラスメイト。よく見るとイケメンで、すごい肉体美の持ち主。母と妹の3人家族で貧乏。
高校では拳法部に所属。頭脳明晰でスポーツも万能だが、カナヅチで浮き輪を使って泳ぐ。乱子のことが好き。
乱子のクラスメイトで中学からの親友。超美人で財閥令嬢。冷静な性格だが、なぜか宗一郎のことが好き。
そのため、宗一郎がひろみにいたずらをしないか乱子は心配している。
左京の妹。兄の左京が、乱子のことを考えて浮かれている時に冷静に状況を観察し、学校に提出する日記にしたためている。
『シェイプアップ乱』は最終回間際でも、新しいキャラクターがどんどん登場してきていた。
爆発的な大ヒットを記録している『ONE PIECE』の作者、尾田 栄一郎が、徳弘正也のアシスタントをしていたときに、シリアスとギャグと緩急の付け方や、作画の巨乳と極端なくびれなどを伝授されたのかもしれない。
ぜひ、読んでみてほしい。