人間性は最悪だが、実力は一級品という型破りな弁護士の活躍を描く法律漫画。主人公の九頭元人(くずもとひと)は、空気を読まず相手の神経を逆撫でするような言葉を平気で口にする弁護士である。依頼人との衝突も珍しくなく、周囲から「人間のくず」呼ばわりされる変わり者だ。しかし、九頭は独自の視点と悪知恵を駆使し、予想外の成果を上げていく。2006年にテレビドラマ化。
九頭は、一般的な弁護士とはかなりかけ離れた存在だ。弁護士は一流大卒が多いが、九頭は高校中退でヒモ暮しの後に弁護士となった変わり種。しかも根っからのスケベな九頭は、セクハラまがいの言動も日常茶飯事。口の悪さから、依頼人の機嫌を損ねることもしばしばだ。表向きにはどうしようもない九頭だが、彼の一見無軌道な行動の裏には、したたかな計算が隠されている。九頭は依頼人や訴訟相手の人間性を鋭く洞察し、弁護士らしからぬ態度で本音を引き出す。違法スレスレの手段を使うこともあるが、単なる勝訴以上の結果を残すことも多い。乱暴者のようでいて、意外と人情味もある彼の活躍は、実にドラマティックだ。
熱意に満ちた新人女性弁護士の成長を描く、ヒューマニティ溢れる弁護ドラマ漫画。主人公の山崎水穂(やまざきみずほ)は、小泉八雲に憧れて彼に縁のある島根県松江市で働くことを決めた、少々変わり者な新人女性弁護士。経験不足で不器用な彼女だが、仕事に対する情熱は人一倍だ。水穂は依頼人に体当たりでぶつかり、弁護を行っていく。2007年7月にテレビドラマ化。
弁護士は地域に根ざした活動をするため、各都道府県にある弁護士会の何れかに所属する決まりがある。本作の連載が開始された2004年当時、島根県弁護士会の所属人数は26名。主人公の山崎水穂は、そこに27人目の弁護士として着任してくる。小泉八雲が好きだからというその理由だったが、弁護士不足という現状も見逃せない使命感を抱いていた。人手不足のため、新人の水穂も着任早々から様々な案件を抱えることとなる。法律家として駆け出しの彼女は、青臭いながらも依頼人の心を汲み取る弁護を目指し、誠心誠意仕事に向き合う。島根の牧歌的な風景の中で展開される、人情味豊かな法律ドラマだ。
アウトロー出身の若き天才弁護士の規格外な活躍を描く、ユニークな法律漫画。主人公の知立護(ちりゅうまもる)は、かつてルーという通り名で渋谷の悪ガキたちの頂点に君臨したギャングキング。しかし、護は史上最年少の16歳で司法試験に合格し、18歳で弁護士となった天才でもある。そんな護は、ギャング時代の人脈と法律を武器に、拳では解決できない大物相手の派手なケンカに挑んでいく。
司法試験には受験資格があり、法科大学院の修了者、もしくは予備試験の合格者しか受験できない。ただし、予備試験には年齢制限がないため、護のように18歳で弁護士になることも不可能ではない。ともあれ、護がずば抜けた天才であることは間違いない。その上、護は渋谷のアウトローを束ねた元ギャングキングという傑物だ。そんな彼が相手にするのは、渋谷の裏に蔓延る悪党たち。立場を利用して患者を欲望のハケ口にする悪徳医師、金の力で弱者を虐げゲスな遊びに興じるIT社長などだ。護は法律知識と鋭い知略、そして裏の人脈を駆使しながら巨悪に立ち向かう。毒をもって毒を制するかのような護の活躍は、実に痛快だ。
弁護士氷河期時代を逞しく生きる、新米女性弁護士の成長をコミカルに描く法律漫画。主人公の「らっこ」こと改世楽子(かいせらくこ)は、キャバクラでアルバイトをしながら法科大学院に通い、司法試験に合格した。多くの新人が就職難に喘ぐ中、楽子はバイト先の客だった菅原耕太郎が営む弁護士事務所に転がり込み、どうにか弁護士として歩み始める。2012年10月にテレビドラマ化。
楽子は、幼い頃から弁護士になることを夢に見て、猛勉強の末に司法試験に合格した苦労人だ。ところが、喜んだのも束の間、2007年は司法制度改革によって弁護士が急増。弁護士業界は就職氷河期に突入していた。そんな彼女を受け入れたのは、菅原弁護士事務所。所長の菅原耕太郎と、東海林弘明という2人の弁護士が営む零細事務所である。所長は金にならない国選弁護ばかり引き受ける人情派。一方の東海林は、有能で抜け目のない曲者タイプ。凸凹コンビの指導の下、楽子は離婚訴訟から刑事事件まで、様々な案件を手掛けていく。天真爛漫な楽子の奮闘を通じ、弁護士の内情を赤裸々に描くユニークなコメディ作品だ。
正義のためなら採算を度外視してでも弁護を行う、破天荒な弁護士の活躍を描くコミカルでハートフルな法律漫画。主人公の正義乃味方(まさよしのみかた)は、幼い頃に父が連帯保証人として負った借金で極貧暮しだった。そのせいでイジメなどの辛い経験をした乃味方は、正義の弁護士となることを決意する。後に父は大富豪となるが、乃味方は幼い頃の思いを忘れず、弱者のため法律を武器に悪と戦う。1999年5月にテレビドラマ化。
弁護にかかる費用は、かなり高額だ。相談料は1時間1万円が相場で、実際に訴訟となれば着手金や成功報酬など、訴訟内容にもよるが数十~数百万円もの費用がかかる。ところが、主人公の正義乃味方は、そんな採算など一顧だにしない。彼が第一に考えるのは、依頼人が正しいかどうか。そして、依頼人が不当に虐げられる状況を救うためなら、あらゆる手段に打って出る。大富豪の父を持つ乃味方は、金の力を使うことも珍しくない。タイトル通り、道楽者という表現が相応しい弁護士だ。ただし、道楽といっても決して遊び気分ではない。乃味方は己の信念のためなら、法曹界の重鎮を敵に回すことも辞さない。筋金入りの正義の味方だ。