ラップランドからやってきた天真爛漫な少女が織りなす、ちょっぴり切ないラブストーリー。主人公・いちごは、北欧スウェーデンのラップランドで生まれ育った17歳だ。父の死をきっかけに、現地で偶然知り合った日本人の青年・生田林太郎(りんたろう)と結婚したい一心で、単身来日した。生まれて初めての東京で、いちごは偶然出会った林太郎の幼なじみ・然子(ぜんこ)の案内で生田家にたどり着く。お嫁さんにして欲しいと本気でせがむいちごに、林太郎は戸惑いを隠しきれないのだった。
生田家には、売れない作家の父・木太郎(きたろう)、美男子だが病弱な兄・森太郎(しんたろう)がいた。いちごに対して林太郎は、結婚の話をしていないと主張する。そんな林太郎にショックを受けたいちごは、帰ろうとするも旅費もなく途方に暮れてしまう。それを見た然子がいちごに協力を申し出、生田家を巻き込んで彼女のためにお金を稼ごうとする。しかし、森太郎が過労で倒れてしまったり、木太郎の連載作品を載せている会社が倒産したりで、林太郎は家計を助けるために高校を中退することに。いちごに振り回される彼らであったが、木太郎の書いた本が売れ窮地を脱する。いちごの恋も上昇気流に乗ると思われたが、更なる過酷な運命が彼女を待ち受けていた。天真爛漫で世間知らずのいちごが、恋を知り日本で大人になるさまは儚く美しい。切ないラストに青春の煌めきを感じさせる。
静岡県浜松市を舞台に、少女たちが繰り広げるシュール系日常コメディ。伊藤伸恵は16歳の高校生にもかかわらず、大のタバコ好き。伸恵はタバコ代目当てに、小学6年生の妹である千佳の財布を奪おうとするが失敗し、千佳の友人・松岡美羽(みう)からも借金を断られる。最後の望みで千佳たちの後輩・桜木茉莉(まつり)の家に向かうが、茉莉は父にプリンを食べられたと大号泣していた。伸恵はタバコを諦め、茉莉のためにプリンを買ってあげるのであった。2005年にテレビアニメ化。
本作に登場する少女たちは皆個性的だ。伸恵はタバコだけでなく、ノーヘルでスクーターを乗り回したり乗用車まで運転したりするワイルド系女子である。妹の千佳は見た目の特徴はないがしっかり者で、美羽は突飛な言動で周囲を振り回すが実は寂しがり屋だ。5年生の茉莉は、気が弱く些細なことでいつも泣いている。そんな4人のもとに、ある日イギリス人の少女、アナ・コッポラが転校生としてやってくる。日本通でユニークな一面を持つ彼女もまた、4人と意気投合し一緒に行動を共にしてゆく。少女たちの何気ない日常が終始のんびりとしたタッチで描かれており、心の底から癒される。また、作者の故郷である浜松市の風景も緻密に描かれており、「聖地巡礼」ブームの先駆けとして人気を博した。
「いちごパンツ」をきっかけに出会った平凡な男子と二人の美少女の青春ラブストーリー。主人公・真中淳平は、映画好きな中学3年生だ。ある日、学校の屋上へ向かうと女子生徒が目の前に落ちてきた。真中は、いちご柄のパンツを穿いていた超絶美少女に心を奪われる。現場に残された「東城(とうじょう)綾」と書かれたノートを頼りに真中は彼女を探すが、その正体は地味なメガネ女子であった。2005年にテレビアニメ化。
ノートの持ち主の東城が同じクラスの地味な女子だと知り、謎の美少女の手掛りをなくす真中。だが、友人曰く、その美少女は別のクラスの西野つかさではないかとのこと。真中は確信を得ぬまま思い切って西野に告白し、なんと付き合うことに成功する。彼女のことをよく知らぬまま交際を始める一方で、東城とも意気投合しお互いの夢を語り合う仲になる。真中と東城は同じ高校に進学し映像研究部を立ち上げ、西野は別の高校へ進学しパティシエを目指す。西野と疎遠になり、今度は東城との距離が縮まるかと思われたが、同じクラスの北大路さつきから告白され、彼の恋模様は混乱を極めていく。ストーリー自体は王道の青春群像劇だが、いちごパンツの正体・東城をはじめ女性キャラがとにかく魅力的だ。また、平凡男子である真中の立ち位置も、多くの男性読者の羨望を集めた。
タイプの異なるイケメン二人に挟まれた女子高校生の、三角関係を描いたラブコメディ。主人公・若月苺は、ごく普通の高校1年生だ。入学式で受付をしていた先輩・遠野樹(いつき)の笑顔に一目惚れしたものの、以降なかなか話しかけられずにいた。ある日、苺は両親の海外赴任が原因で、祖母の住むマンションに引っ越すことになる。隣の301号室に挨拶に向かうが、苺がドアを開けるとイケメン男子が倒れていた。その出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。
苺が倒れている男性に駆け寄ると、いきなり顔を近づけられてキスをされそうになる。思わず彼を平手打ちする苺だったが、なんと彼は同じ高校に通う先輩、神代千架(ちか)だった。しかも、騒ぎを聞きつけ303号室から出てきたのは、なんと遠野であった。図らずも遠野とご近所になった苺は、彼と急接近する。しかし、事あるごとに千架の邪魔が入り、やきもきする苺であるが、少しずつ千架にも惹かれていく。妹思いで優しい遠野とドSのチャラ男全開な千架という正反対な二人に対し、純情な苺が振り回される三角関係がとにかく胸キュンだ。頭ポンポンや突然のキスなど、まるで乙女ゲームの世界に入り込んだ気分にさせられる。
女子高生とイケメン学園理事長の、秘密で甘い同棲生活を描いたラブストーリー。主人公・五十嵐市子(いちこ)は、格安の寮費にひかれて木園(きその)学園に入学する。だが寮は改装中のため、いきなり市子は行き場を失ってしまう。しかし、管理人のはからいで隣の社員用マンションの空き部屋を格安で借りられることに。さっそく入居しようとマンションの一室に向かうが、そこには既に学園長の息子であり理事長の滝元蘭(らん)が住み着いていた。
市子は蘭にストーカーと間違えられ、追い出されそうになる。必死に誤解を解こうとする彼女に、蘭は今日中に掃除をすることを条件に入居を許すと告げる。無事に掃除を終えた市子は、迷惑をかけられないと撮影会のバイトをすることに。しかし、バイトの内容は悪質で、蘭はピンチに陥る。騒動を知った蘭に間一髪で助けられ市子は彼を意識するようになる。紆余曲折を経て両思いとなった二人だが、思わぬところから同棲が周りにばれてしまい更なる危機が襲いかかるのであった。ドジでおバカな市子とワイルドな俺様系イケメンの蘭の恋愛は、胸キュンエピソードたっぷりだ。まさにタイトルの「苺」のような、甘酸っぱい王道のラブストーリーを味わうにはもってこいである。