弓道部のない高校で密かに弓を引き続けていた少年を中心に描かれる、青春弓道漫画。スポーツの強豪・青武高校に入学した主人公・天草和馬。彼はアメリカ帰りの帰国子女だ。天草はアメリカで弓道を覚えたのだが、青武高校には弓道部も道場もなかった。そのため彼は、毎日授業中に頭の中で弓を引くイメージを繰り返していた。そんな日々が続いたある日、天草が校舎の裏でイメージトレーニングをしているところを女性英語教師が見かけたことをきっかけに、物語が動き出す。
ある日、天草が校舎の裏でひっそりと弓を引く仕草をしている場面を目撃した英語教師。弓道の知識がある彼女が天草に話を聞いてみると、天草がアメリカで弓道を覚えたこと、練習したいが高校に弓道場がないため、毎日頭の中で弓道をしていたことがわかった。英語教師は天草をある道場に連れていき、そこで彼に弓を引かせてみて、驚異的な集中力と弓道に対する熱意に衝撃を受ける。その一件をきっかけに、天草と英語教師は校舎の屋上に弓道場を作り、そこで練習することになった。2人の弓道への想いは周囲に伝播し、やがて2人だけの弓道練習場に人が増え、部活動になっていく。派手さや手に汗握る展開はないが、各キャラの弓道への向き合い方が丁寧に描かれており見所も多い。
弓道部に所属する少女が才能のある後輩と恋に落ちる弓道ラブ漫画。主人公の岸本杏(あん)は、通っている高校の弓道部で部長をしている。彼女は中学から高校3年生までの6年間、ひたすら弓道に打ち込んできたのだが、良い成績を残すことはできなかった。そのため杏は、次の部長である天才型の三神曜太(ようた)に複雑な思いを抱えている。部活を引退した杏は、三神に部長の任を引き継ぐことになるのだが、そんな杏に対し、三神は自分のそばで稽古をつけてほしいというお願いをしてくる。
杏の高校生最後の夏は、思った結果を残せず呆気なく終わった。逆に次期部長である三神は、高校県選抜で優勝という素晴らしい成績を収める。三神の存在は、ただでさえ失いかけていた杏の自信を完全に消失させるものだった。他の3年生が春の時点で引退する中、秋の大会まで部活を続けようと思っていた杏だったが、夏大会の結果をきっかけについに引退を決意する。そんな杏のモヤモヤとした気持ちを引き上げたのは、他の誰でもない三神だった。三神のおかげで久しぶりに良い弦音を鳴らすことができ、気分が晴れた杏。そんな彼女に、三神は次の大会までどうしていいかわからなくて不安だから稽古をつけてほしいと言い出す。弓道を通して近づいていく2人の様子はドキドキ必至だ。
熱血弓道少年が女子部員だらけの弓道部に入部することから物語が始まる、ほのぼの4コマ漫画。高校生になった少年・杉本まもる。彼は弓道が大好きなため、入る部活は弓道部に決めていた。同じクラスで隣の席になった少女・楠いろはが弓道に興味を示したため、彼女と共に早速弓道部の見学に向かった杉本だったが、そこは女子部員しかおらず、部内に漂う雰囲気もゆるっとしていた。個性豊かな女性部員たちに翻弄されながら、杉本は彼女たちと共にゆるっとした部活ライフを送る。
好きなものは弓道、好きな言葉は的中、嫌いな武将は矢を3本も曲げた毛利元就という、根からの弓道好きな少年・杉本。彼は中学時代から弓道に打ち込んでおり、その実力はかなりのもの。実は弓道の名門である芳文高校に入学する予定だったのだが、弓道が好き過ぎて受験日も早朝練習を行った結果、試験を忘れていて遅刻。不合格となって入学できなかった。そこで今の高校に入学したのだが、この学校の弓道部の部員は全員女子で、しかも雰囲気がゆるい。皆それぞれボケてくるため、対応する杉本は大変だ。杉本たち弓道部のメンバーは和気あいあいとした日常を過ごしながら、マイペースに弓道に打ち込んでいく。物語の合間に差し込まれた恋愛要素も見所の作品だ。
火事で家族を失った青年と、弓道を通して彼に惹かれる少女の心の機微を描いた少女漫画。宗我部花乃(かの)は比々羅木神社の隣にある宗我部畳店の娘。彼女は小学6年生のときに、比々羅木神社の息子である圓城陽大(えんじょうはると)の流鏑馬姿に心を惹かれ、弓道を始めた。弓を始めて親しくなった花乃と陽大であったが、2人が中学生のとき、比々羅木神社で火事が発生。両親と兄を一度に亡くした陽大は心神喪失状態になり、花乃とは音信不通になってしまう。それから時は経ち、花乃は高校生になった。
比々羅木神社の息子である陽向(ひなた)・陽大兄弟と共に中学で弓道をしていた花乃。これからもそんな日々が続いていくかと思われたが、それは神社を包んだ炎によって消し去られた。神社の火事をきっかけに陽大と関わることがなくなり、そのまま高校生になった花乃。彼女は高校に進学しても弓道を続けていた。ある日、そんな花乃に陽大からメールが入る。陽大は叔父に引き取られ、従姉の雛(すう)の弟 として新たな人生を生き直していたが、その心の傷は癒えてはいなかった。本作の魅力は、花乃と陽大を中心とした登場人物たちの心理が丁寧に描かれている点だ。そして登場人物たちを繋ぐのが弓道である。弓道がどのように花乃や陽大たちを繋げているのか、その描写に注目しよう。
派手なギャルが弓道と出合い、部活に打ち込みながらいじめなどの問題に向き合っていく少女漫画。主人公の的場凛花(りんか)は、仲の良い友達と毎日遊んで過ごしているギャル系女子高生。遊んでいるときは楽しいが、ただそれを繰り返すばかりの日々に、彼女は漠然としたつまらなさを感じていた。モヤモヤした気持ちをぶち抜いてくれる面白いことを探していた凛花はある日、弓道部の部員である水野剛英(たかひで)との出会いをきっかけに弓道に興味を持ち、弓道部に入部することになる。
水野と出会った凛花は彼が弓道部員であることを知り、弓道は面白いのかと笑いながら馬鹿にする。それに対して返ってきたのは、「おもしろいよ」という自信に満ちた冷静な一言だった。笑った自分が恥ずかしくなった凛花は、同時に自信を持って「面白い」と言い切れる何かを持っていることに羨ましさを感じる。水野が打ち込む弓道に興味を持った凛花は、弓道部に突撃。その場限りの充実感で自分を誤魔化すことをやめるために、弓道部に入ることになる。しかし弓道部には、先輩が後輩をいじめるという悪しき伝統が残っていた。凛花は先輩たちからのいじめと向き合いながら、少しずつ弓道の腕を上げていく。試合よりも、初心者の練習の様子にスポットが当たった作品だ。