天才高校生ドライバーが主人公のアクション漫画。斑鳩悟(いかるがさとる)は、17歳の高校生。あらゆる乗り物を乗りこなせる、人並み外れた運転スキルを持ったスーパーマルチドライバーだ。世界中のスペシャリストが集う、国際的人材派遣会社「ASE(エース)」に所属している。日頃は冴えないが、ジェットスキーや快速電車、旧式クレーン車などを操り、難易度の高い依頼案件の遂行に貢献していく。
主人公・悟は、運転未経験のジェットスキーでさえも、地下マンホールを流れる汚水の中、銀行強盗の犯人を追いかけながら乗りこなせるという天才的センスの持ち主だ。誘拐事件の人質奪還と保護、テロリストとの対決といった依頼などで、乗り慣れていない乗り物でも使いながら特徴をつかみ、安定した走りを見せる。もちろん、自動車やオートバイといった一般的な乗り物の運転ももちろんお手の物だ。マシンに乗り込む時の決め台詞は、「お前に生命を吹き込んでやる」。まさに言葉通り、乗り物をまるで生き物のように扱う悟のドライビングテクニックと見応えのあるアクションシーンに目を奪われることだろう。
作者・山本マサユキ本人が旧車のレストアや改造など行った、車が題材のコミックエッセイ。「俺」こと山本は、旧車をこよなく愛し、土木建築会社に勤めながら、日々レストアに明け暮れている男だ。女には逃げられ、金も趣味に使ってばかりだが、それでもレストアはやめられない。同じ会社に勤めるアルバイター・金田や、旧車好きが集まる喫茶店でウェイトレスをしているアユなど、愉快な仲間たちと繰り広げる日々が描かれている。
本作では、作者の体験に基づいたレストアに関するエピソードが綴られている。レストアとは、旧車や壊れた自動車を補修し、本来の機能を取り戻すこと。車に関する深い知識を必要とし、車好きであれば誰でもできるというものではない。膨大な時間とお金をかけレストアを続けているのは、「俺」が車を愛し、情熱を注いでいるからだ。時には失敗するばかりか危険も伴うが、なるべくお金をかけずにレストアの道を突き進む。アメリカ軍のジープが元になっている三菱のジープや、イタリアのフィアット500などにまつわるうんちくエピソードも読み応えたっぷり。車種に関する説明にもページが割かれているので、車好きならばより楽しめるに違いない。
もう一度自分の夢を取り戻そうとする男を描いた自動車漫画。空山舜は、30代半ばの冴えないサラリーマンだ。そんな彼の元に、一通の手紙が届く。それは25年前、小学生だった自分が、未来の自分に宛ててタイムポストに投函した手紙だった。「社長になってイタリアのスーパーカー“ランボルギーニ・カウンタックLP400”を買う」という夢が書かれていた。一念発起しカウンタックLP400を手に入れた空山は、カーチェイスなどのバトルを繰り広げるようになる。
本作に登場するのは、スーパーカーブームの火付け役となったランボルギーニ・カウンタック。その中でも、世界に150台しかないというレアさで名高いLP400だ。空山は、地味な人生を歩み、いつしか夢見ることすら忘れかけていた。しかし、タイムポストから届いた手紙をきっかけに、がむしゃらに働き、色褪せていた生活が色付いていく。カウンタックを手に入れてからは、秘めたる驚異的なドライブテクニックが炸裂する。その他にも、コルベットやポルシェ、フォードGTなど多彩なスーパーカーが登場し、激しいバトルシーンを盛り上げる。
秋名山を舞台に繰り広げられる走り屋バトル漫画。走り屋ブームの火付け役にもなった作品だ。主人公・藤原拓海は、ガソリンスタンドのアルバイトに勤しんでいる高校生。ある日、走り屋チーム「秋名スピードスターズ」の集会を見に行った拓海は、走り屋同士のバトルに巻き込まれ、公道レースにおけるダウンヒルのスペシャリストとして名を馳せていく。1998年にテレビアニメ化、2001年に劇場アニメ化。
主人公の愛車として登場する車は、トヨタのハチロク。正式名称は、トヨタ・スプリンタートレノAE86型だ。拓海の父・藤原文太は、「伝説の走り屋」と呼ばれた男。拓海の卓越したドライビングテクニックは、父親仕込みと言える。さまざまなテクニックも生み出し、人には真似できない速さでダウンヒルを駆け下りるようになる。天才的なドライビングテクニックを駆使し、強力なライバルたちを圧倒する。迫力のあるバトルシーンが魅力的であると同時に、主人公が成長していく様子も描かれている骨太な作品だ。
秋葉原で行われる痛車の集会「AKIBA midnight」が舞台のコメディカーバトル漫画。道星☆英子(みちぼしえいこ)は、集会の司会者兼ドライバーとして、アニメ「今天」の痛車仕様を施した旧車でバトルを勝ち抜いてきた。彼女に勝てば、恋人や愛人にすることができる。自らをバトルの商品とした英子に、男たちが勝負を挑む。
メインとして描かれるのは、「痛車」好きが集まる集会で行われるカーバトルだ。痛車とは、車体に好きなアニメやゲームなどのキャラクターステッカーを貼ったり、塗装したりしている車のこと。とはいえ、「AKIBA midnight」では、痛車同士が速さを競うのではなく、主人公・英子が運転する痛車と、対戦者ご自慢の愛車が対決する。英子に負けたドライバーは、自分の愛車を痛車に変えなくてはならないルールだ。彼女が運転しているのは、20年前の旧車であるユーノス・ロードスターNA6CE。古いが馬力も低く、スペックもノーマル。どんなにハイテクで最新の車が相手でも、負けない彼女の姿が痛快だ。