アイリッカ王国。そこにはカラン王国から逃げてきた王子ツナシ一行がいた。
彼は生まれたときから黄金の右目を持ち、その目には不思議な丸い眼帯がはめ込まれ、ツナシの力では取ることができまなかった。眼帯が取れる時「光の剣士」の力が発揮され世界を救う救世主になると言われ続け期待されるツナシ。カラン王家の血を継ぐツナシはそう期待されていたのだ。
しかし、当のツナシ本人はそんな自覚もなく、毎日読書に明け暮れ、知らない世界や、王子ではない新しい生き方を夢みる毎日だったのだ。
時代はそんな彼を放っておかない。世界は骨(グウ)という国に支配されつつあった。骨の国は不思議な力を発掘し、その力を利用して一気に国力をあげ、さらに周辺国へと侵略を開始したのだ。圧倒的な軍事力の前に、次々と周辺国は支配下におかれていく。カラン王国もその1つだった。そしてついにアイリッカ王国にも、骨の国の魔の手が迫るのだった。
コミック小学館ブックスにて連載中、コミックは現在9巻まで発売。最新10巻は8月30日発売予定。
『テンプリズム』は不思議なネーミングが多い独特の世界観を持っている。光の剣士オロメテオールや骨(グウ)の国などかなり独特。
そこで繰り広げられるバトルファンタジー。国を取り戻す為のツナシ王子の戦いがアツい! のかと思いきや物語は意外な展開を見せていく。
様々な障害を乗り越え、骨の国と戦うツナシ。対するは、骨の国で魔力の申し子と呼ばれるニキ・メノンという美少女戦士。当初の出会いは最悪で、お互い殺意むき出しで戦いあっていたが、ツナシの言葉にだんだんニキは変わっていく。
もしかしたら、自分が受けてきた教えは間違っているのかもしれない。
そして戦ううちに、宿敵ツナシの事が、心から離れなくなっていく。それはニキにとって初めての感情、初恋だったのだ。
やがてそんなニキの想いを、幼い頃からのニキの友人であるベルナ・スーラが嗅ぎ付け利用しようとするが、彼女もまたツナシの魅力に取りつかれる。
さらにツナシの力を覚醒させる原因を作り出した、剣術の師匠であるユイも、そんな一方的に思いを寄せる2人に関わって来て、人間関係はさらに複雑になっていく。
バトルマンガだと思っていると意外な展開におや? となるだろう。
だが、これまでの作品に定評のある曽田正人らしい恋愛ファンタジー作品に仕上がっているので、ぜひ、読んでみてほしい。