学園を舞台にしたマンガ・アニメ作品328 Pt.

ラブコメ、ホラー、SF、ファンタジーなど、学園を舞台にした作品は数多く存在する。人によっては懐かしい学生時代を思い出させたり、これからの学校生活に夢を抱いたりするだろう。今回はアニメやマンガ問わず、学園を舞台にした作品たちを紹介する。

主人公は登場人物全員。なかなか告白が出来なかったり、告白に気付いてもらえなかったり、うるさいと思っていた先輩に励まされたり、勘違いから付き合うことになったり……。思春期真っ只中の少年少女たちの恋愛・友情のひとコマを描いた、オムニバス形式の学園ラブコメディ。本作はアニメ化もされた4コママンガで、大人が読めば忘れてしまったあの頃を想起させ、子どもが読めば学校生活への憧れを強くさせる。ストーリーはオムニバス形式なのでどの話から読んでも楽しむことが出来るが、他の話に登場していたキャラクターが背景にいたり、クラスメートとして登場することがある。また、文化祭や修学旅行など、並行した時間軸で各々の話が進行している場合もあり、様々な楽しみ方が出来る。また、勘違いやすれ違いによって起こるちぐはぐな掛け合いが面白い。更には男女関係なく、鼻水まで垂らす泣き顔、爆笑必至の変顔、沸騰しそうな照れ顔など、大袈裟なリアクションが本作の持ち味であると言えるだろう。

新卒として就職した会社を3ヶ月で辞めてしまった「海崎新太」は、再就職が上手くいかずにニートのような生活を送る27歳。実家から仕送りの打ち切りを宣告され、これからの生活に悩んでいる彼の前に、ある日「夜明了」と名乗る謎の男が現れた。彼は「リライフ研究所」の職員だと明かし、ニートを対象にした社会復帰プログラム「リライフ」への実験参加を提案する。内容は「1年間の高校生活を送る」こと。1年間の生活費の保証とその後の就職先の紹介に惹かれた「新太」は、「リライフ」の被験者になることを了承する。そして謎の秘薬で見た目だけ若返り、二度目の高校生活を送り始める……。本作は、作者である「夜宵草」の実体験がベースになっており、誰しもが一度は考えるであろう“学生時代のやり直し”の物語が展開される。成績優秀だが友人がいない「日代千鶴」、クラスメイトの「大神和臣」「狩生玲奈」の恋愛模様など、様々な人たちと交流するうちに「新太」の内面に変化が訪れていく。本作も忘れてしまった青春を思い出させる感慨深い作品だ。

長野県の松本市に住む女子高校生「高宮菜穂」は、16歳の春に1通の手紙を受け取る。送り主は自分の名前。しかも、26歳の自分が過去の自分に向けて書いた手紙だった。そこにはこれから起こる未来のことと、同じ“後悔”を味わわせないために16歳の「菜穂」が取るべき行動が綴られていた。初めこそイタズラだと思って「菜穂」は信じていなかったが、手紙の通りに様々な出来事が起こったため信じるようになる。やがて、彼女はこの手紙の目的が、東京から転校してきた同級生「成瀬翔」を事故から救うためなのだと知るのだった……。本作は、知ってしまった未来の通りにならないように、主人公「菜穂」とクラスメイトたちが奮闘する学園青春アニメ。事故死するのは主人公が想いを寄せる相手というだけあって、2人の幸せな未来を願わずにはいられない。誰もが考えたことのある“もしもあの時こうしていれば”をベースに、切なくも眩しい青春物語が描かれている。

創立60年の伝統を誇る「私立誠教学園」には、いくつもの怪談が存在している。ある日、中学1年生の「新谷貞一」は旧校舎に迷い込み、不思議な雰囲気を纏う少女、「庚夕子」と出会う。彼女は怪談のひとつである「旧校舎の幽霊」だが、自分の死因や過去を思い出せないという。そこで「貞一」は「夕子」と真相を解明するために「怪異調査部」を立ち上げ、学園で語り継がれる数々の怪談の謎を解き明かしていく。本作は、作者「めいびい」による学園ホラーマンガ。2012年にはアニメ化もされている。幽霊ではあるが感情表現豊かな「夕子」と、真面目で心優しい「貞一」とのやり取りは、既に付き合っているカップルのようにも見える。ホラーでもあるがラブコメとしての側面も持つ作品で、原作マンガとアニメでは後半の展開が異なるのも見どころのひとつと言える。

東京郊外に位置する厳格な進学校「私立八光学園」は、女子校だったが、理事長が替わったことにより、共学となった。しかし、入学した男子生徒はたったの5人だけ。そのうちのひとり「藤野清志」こと「キヨシ」は、彼女が出来ることを夢見ていたが、入学して1ヶ月が過ぎても女子と会話をすることもままならない。それは他の4人も同じことだった。そこで「キヨシ」と「ガクト」、「シンゴ」、「ジョー」、「アンドレ」は男子なら誰しもが芽生えるであろう出来心で女子風呂を覗こうとするが、「裏生徒会」を名乗る謎の美女３人組によって阻止されてしまう。彼女達によって「懲罰棟」（通称：プリズン）へ投獄された彼らの明日はいかに……?本作は、最強の看守たちの目を逃れ、真っ当な学園生活を手に入れるために脱獄を目指す物語。マンガだからこそ可能な設定が斬新で、終始突き抜けたギャグと、一癖も二癖もあるキャラクターたちの巻き起こす騒動が見どころだ。ただし下ネタが多めなので、作品を見る時は注意したい。

時は昭和。官僚や政治家を数多く生み出した超名門校「海帝高校」に最優秀の成績で入学した「赤場帝一」は、全校生徒の頂点である生徒会長になるという目標を掲げる。しかしそれは、彼の目的の一端に過ぎなかった。本当の目的は「総理大臣になって自分の国を作る」こと。派閥づくりや政界さながらの生徒会長選が行われる「海帝高校」で生徒会長になれば、将来の内閣入りは確約である。生徒会長への一歩として、「帝一」はクラスのルーム長を狙う。果たして、彼は生徒会長になり、自分の国を作ることが出来るのか!?本作は、「古屋兎丸」が『ジャンプスクエア』で連載していたマンガだ。劇画のような絵柄で読む人を選ぶが、見せ場の大きなコマや、キャラクターたちの魂の篭った表情、心の中のゲスい発言など、面白いところがたくさんある。政治の要素はあるが、キャラクターたちが見せるシュールな笑いに魅了される人は少なくないだろう。一風変わったマンガ作品が読んでみたくなったら、本作を手にとって見て欲しい。