帝一の國

総理大臣になって自分の国を作るという野望を持つ高校生赤場帝一が、生徒会長の座をめぐる高校内の派閥争いを戦い抜く姿を描いた青春漫画。実際の政界のような派閥争いを描く一方、思い通りにいかない高校生の姿をコメディタッチに描いている。

正式名称
帝一の國
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
ジャンプ・コミックス スクエア(集英社)
巻数
全14巻完結
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あらすじ

第1巻

時は昭和。赤場帝一は、日本を世界一の国にするべく総理大臣になるという大志を抱き、海帝高校に入学した。帝一は、政治家や官僚を多く生み出してきた超名門校で、生徒会長を目指していた。生徒会長になれば、のちに政界入りした時に強力な生徒会長会派閥の支持を受ける事ができるからだ。まず、生徒会長になる足掛かりとして、1年1組のルーム長になり、評議会に参加する資格を得る事を目指す。同じく海帝高校出身の父親、赤場譲介の裏情報に則り、海帝高校に多額の寄付をする事でルーム長に収まった帝一は、初参加した評議会で、父親の代からの因縁の仲である東郷菊馬と争う事になる。帝一は、2年生の次期生徒会長最有力候補である氷室ローランドに気に入られるために、氷室の書いた生徒会だよりを1日で編集する。そして全校生徒分を製本しようと躍起になる帝一は、実家が機械工場である事から、幼い頃から専門機械の扱いに慣れている親友の榊原光明の助けを得て、なんとか期日までに生徒会だよりを製本する事に成功。その活躍で氷室に気に入られた帝一は、彼の傘下に入る事が叶う。これで、氷室が次年の生徒会長に当選した暁には、氷室は帝一を次期生徒会長候補に選出してくれるはず。順調に学校生活をスタートさせた帝一は、さらなる高みを目指して邁進していく事を誓うのだった。

第2巻

ある日、生徒会長堂山圭吾に生徒総会運営のいっさいを任された氷室ローランドは、評議会員を招集し、照明係を東郷菊馬に、音楽係を大鷹弾に任せる旨を発表する。弾は公立中学校から海帝高校に入学して来た外部生で、1年6組のルーム長だが、唯一寄付金を納めず、人望だけでルーム長になった珍しい存在だった。赤場帝一は弾が大役を任された事に焦りを感じるが、自らが生徒総会一の大役、校旗掲揚係を担う事になったため、俄然やる気を取り戻す。生徒総会当日。校歌斉唱のタイミングに合わせてうまく校旗掲揚を終えた帝一は、菊馬の企みで、掲げた校旗と共に体育館床に突き落とされそうになる。菊馬の策略に気づいた弾に助け出された帝一は、弾に感謝すると同時に、生徒会長になるためならば危険行為も辞さない評議会員らに憮然とする弾に、強い警戒心を抱くのだった。夏休みに入り、全学年のルーム長と副ルーム長を対象にした夏合宿に赴いた帝一は、榊原光明と共に校内で時間無制限のペイント弾による銃撃戦争に参加。生徒会活動の厳しさを疑似戦争を通して学ぶルーム長夏合宿だが、この合宿の真の意図は、来る生徒会長選に向けて貸し借りを作りつつ、根回しをしながら生き残る術を学ぶ疑似政界戦争にほかならなかった。一般的な夏合宿を想像した白鳥美美子が、戦場に差し入れを持って来るハプニングで、全弾を打ちつくした帝一は窮地に陥るが、父親の赤場譲介海帝高校在学時に校内に隠していた最後の一弾を見つけ出す事で危機を脱する。

第3巻

夏休みが明け、2学期が始まった。2か月後の評議会で、次期生徒会長候補者三人が決まるとあって、氷室ローランドは気が気ではなかった。氷室に呼び出された赤場帝一は、次期生徒会候補に挙がる可能性の高い草壁哲也が、候補に選ばれないように工作するよう命じられる。何代も続く政治家一族出身の草壁と生徒会長選を競う事を厭う氷室の心情はわかるが、次期生徒会長の有力候補である草壁を失墜させるのは至難の業。頭を抱える帝一をよそに、帝一同様の任務を氷室から命じられた東郷菊馬は、根津二四三と共に、草壁の女好きの一面を利用し、草壁が不純異性交遊する現場を教師に目撃させる事に成功。このスキャンダルにルーム長剥奪を覚悟した草壁だが、冷静な堂山圭吾は、誰かが草壁を陥れようとしたに違いないとして取り合わなかった。振り出しに戻った氷室からの任務に、榊原光明が夏休みの自由研究で製作した嘘発見器を応用する事を思いついた帝一は、さっそく堂山をたきつけ、見事、草壁が1年生の時に行った不正を暴く事に成功。草壁のせいで堂山の信頼をなくしていた本田章太は信頼を回復し、草壁に代わり次期生徒会長候補に選ばれ、草壁は次期生徒会長候補に選出されずに評議会は幕を閉じた。無事に次期生徒会長候補に選ばれた氷室は、厳しい任務を乗り越えた帝一の忠誠心を褒めたたえるのだった。

第4巻

来る生徒会長選に向けて、選挙管理委員会の委員長に抜擢された赤場帝一は、生徒総会で、会長候補の三人の選挙公約演説が滞りなく行われるよう、見守る事となった。全員が何かしらの部活動もしくは委員会に所属しなければならない海帝高校では、予算配分が生徒達の最大の関心事である。森園億人と本田章太が、文化部運動部に公平に予算配分していく事を公約する中、氷室ローランドだけは、運動部に大幅な予算を割き、文化部を斬り捨てる方針を打ち立てる。学力のみならずスポーツにおいても全国に海帝高校の名を轟かせたいと語る氷室は、運動部の圧倒的な支持を得るが、活動が地味ながら優秀な成績を残している文化部を斬り捨てる方針に、大鷹弾は納得がいかなかった。生徒会長選で氷室に投票するよう無理強いしてくる帝一と対立する事になった弾は、熟考の末、億人と本田に同盟を組ませて氷室に抗戦する事を決定。かくして、億人と本田の息のかかっていない、残りの文化部と委員会の投票模様が、生徒会長選の行方を左右する事となる。

第5巻

森園億人と本田章太が同盟を組んだ事を知った氷室ローランドだが、自身の勝利は揺るがないと確信を持っていた。自信満々な氷室の読みに賛同する赤場帝一だが、赤場譲介がかつて氷室の父親であるスティーブ・レッドフォードの出世の道を断った因縁を知り、氷室との関係が修復不可能な状態になってしまう。自らが生徒会長になる事をあきらめきれない帝一は、大鷹弾の助けを得て、億人の傘下に入る事にする。億人が生徒会長になった暁には、次期生徒会長候補に推薦してもらう事を条件に、帝一は着々と億人の票固めを行っていくのだった。一方、帝一を失った氷室は、相変わらず強気な態度で委員会の長達を口説き回っていた。氷室が、次年度の予算の大幅増大を餌に票固めをしている事を知った弾は、その財源に疑問を持つ。氷室の強行政治を懸念した堂山圭吾を味方につけた帝一は、氷室が公約を果たす目的でむやみな生徒会費増額を検討している事を突きとめる。その利己的で横暴な氷室の本性を知った委員会長達のほとんどは、億人に票を投じる事を決意した。残り1票で逆転勝利できると予想した帝一と弾は、次期生徒会長候補に指名するという条件で、東郷菊馬と根津二四三に億人の傘下に入るよう助言。菊馬は快諾し、氷室はいよいよ追い詰められるが、彼は何やら秘策があるらしく、不敵な高笑いを見せるのだった。

第6巻

生徒会長選に勝利するために、追い詰められた氷室ローランドがとった秘策とは、現金を配り歩くというものだった。子供の頃からコツコツ溜めてきた貯金を切り崩して委員長らに配って回る氷室に、駒光彦は不安を募らせる。予想得票が森園億人を上回っても、念には念を入れてほかの有権者達に現金を配り続ける氷室は、やがて何もせずとも氷室に投票してくれる予定だった運動部の部長らの反感を買ってしまう。金を出さなければ投票しない、と脅す運動部の部長らを前に、持ち金が尽きた氷室は窮地に立たされるが、駒の協力でなんとか現金を手配する事に成功。だが、選挙当日、氷室から金銭的な買収を受けた有権者達の罪悪感に目をつけた赤場帝一は、公平で健全な億人の施策を全面アピールする事で、生徒会長に就任するのに相応しいのは億人である、と印象づけるパフォーマンスを行うのだった。帝一の施策が功を奏し、氷室に投票する予定だった有権者達が続々と億人に票を投じ、氷室と億人の得票数は拮抗状態になる。そんな中、氷室の相棒である駒は、億人に投票する。そして駒は驚く氷室に、お前は生徒会長に相応しくないと言い捨てるのだった。

第7巻

駒光彦の造反に逆上した氷室ローランドは暴れ出し、投票会場は騒然とする。駒に見捨てられた氷室はなりふり構わず自身へ投票するよう有権者達に訴えかけるが、票は無情にも森園億人に流れていく。東郷菊馬は、側近にまでそっぽを向かれるような人間にはついていけないと氷室を見限り、億人に投票。赤場帝一も、次期生徒会長候補となるべく、約束通りに億人に投票した。ついに同点になった氷室と億人の得票数に、残る投票は大鷹弾の1票のみとなる。弾は、人々の注目を浴びる中、白紙の投票用紙を投じ、生徒会長選の最終結果は、氷室と億人、二人の候補者が同点という事で終結。候補者の得票数が同じ場合、生徒会規則に則り、最終選任を現生徒会長である堂山圭吾がする事になるが、弾は、この規則について調査済みであったと語り、堂山は弾の粋な計らいを受けて、堂々たる態度で億人を次期会長に指名するのだった。生徒会長選に敗北した氷室は、屋上から飛び降り自殺を図るが、榊原光明の機転で一命を取り留める。助けられた氷室は、これまでの独善的な言動を悔い、その態度を見た億人は、副生徒会長に氷室を指名し、右腕として働いてほしいと願い出るのだった。器の大きな億人を心から尊敬した氷室は、長い髪を切り、億人への忠誠を誓う。波乱万丈な生徒会長選は、こうして幕を降ろすのだった。

第8巻

春になり、2年生になった赤場帝一は、入学して来た1年生達の個性的な様子に驚く。評議会入りした1年生のルーム長や副ルーム長は、かつての凶暴だった氷室ローランドにあこがれる不良少年や、新興宗教の教祖の息子、将棋の天才など、非常に癖のある面子が揃っている。次期生徒会長選に向けて、1年生から優秀な配下を選抜しようと奮闘する帝一は、東郷菊馬と争いながら、熱心に彼らを口説いて回るが、そんな中、森園億人が生徒会長に就任して以来、初めての評議会が執り行われる事になる。帝一は単なる予算審議だと高をくくっていたが、すっかり生徒会長の威厳をまとうようになった億人は、予算審議をつつがなく終えたあと、生徒会長選の民主化を提案する。この新法案が通ってしまえば、会長候補者は全校生徒の犬になるのと同じであり、さらにその場合、人望の厚い大鷹弾が生徒会長になる可能性が跳ね上がってしまう。新法案の可決に断固反対し、阻止しようとする帝一は、菊馬と一時休戦し、共にこの非常事態を打開する手を探る。だが、いい手は浮かばず、帝一は運命の生徒総会の日を迎えてしまう。

第9巻

生徒総会当日、1年生と2年生を体育館に集めた森園億人は、生徒会長選に関する新法案を発表した。海帝高校の伝統ある生徒会長選の行方が自分達の手に委ねられる事になると知り、動揺する生徒達は、突如踏み込んで来た川俣豊治ら教師陣に唖然とする。川俣を筆頭にした教師達は、伝統ある生徒会長選が廃止されようという危機をかぎつけた政財界の大物OB達のクレームを受け、新法案可決を防ぎに来たのだった。だが、この事態を予想していた氷室ローランドが、駒光彦と共に、力ずくで教師陣を体育館から締め出す。教師陣の横暴さを目の当たりにした事で反発心を抱いた生徒達の多くが、新法案を支持し、結果新法案は無事可決され、海帝高校は大きな変革期を迎える事となった。この事態に焦った赤場帝一は、来る生徒会長選に向けて全校生徒に対する根回しを始めるが、自身の人望のなさを事ごとく突きつけられ、不登校になるほど衰弱する。どんなにあがいても、天性の人たらしである大鷹弾の人気を超えられない事を思い知った帝一だが、生徒会長の椅子に関心のない弾は、巻き込まれる形で身を投じた帝一とのさまざまな闘いで自身が非常に成長したと感じ、帝一に、次期生徒会長選を共に闘おうと激励の言葉を送る。弾に加え、帝一を心配した榊原光明白鳥美美子にも励まされて、俄然やる気を取り戻した帝一は、生まれ変わった生徒会長選に再び身を投じる覚悟を決めるのだった。

第10巻

大鷹弾白鳥美美子のおかげで闘う気力を取り戻した赤場帝一は、1年生のルーム長の一人、久我信士を配下につける事に成功する。信士率いる不良グループ、海帝愚連隊のメンバー全員を味方につけた帝一は、世論調査での支持率が大幅にあがった事を喜ぶが、信士が学園のアイドル、夢島玲と何やら確執がある事に気づき、狼狽する。玲は男だが、非常にかわいく、人気のあるルーム長。彼を味方につければ帝一の人気も確実に伸びるはずである。そこで玲の庇護者である佐久間大吾に事情を聞き、玲が昔、信士にこっぴどくふられた事を知った帝一は、一計を案じ、信士と玲が仲直りする機会を作り、見事二人の仲を修復する事に成功する。自分達の和解のために尽力してくれた帝一に感謝した玲は帝一の傘下に入る事を決め、海帝高校での帝一の人気は不動のものになるかと思われた。だが、帝一が生理的にそりが合わない玲を味方に引き入れた事に幻滅した成田瑠流可が裏切り、東郷菊馬の配下についてしまう。瑠流可の支持を得て自信を持った菊馬は、さらなる高みを目指すために帝一と弾の粗探しを開始。苦労の末、帝一と弾と美美子のスリーショットを写真に収め、不純異性交遊をして生徒会則に違反しているとつるし上げるのだった。動かぬ証拠を突きつけられて困惑する帝一と弾の前に、森園億人が招いた参考人の美美子が現れる。

第11巻

海帝高校に現れた白鳥美美子に狼狽する赤場帝一は、公衆の面前であるにもかかわらず、美美子に生徒会長になったら結婚してほしいと告げる。帝一と大鷹弾の、どちらにより気持ちが傾いているのか自分でもわからなくなっていた美美子は、帝一の告白を受けて、生徒会長になった方と結婚する事を決意。結婚を前提としているのであれば不純異性交遊には当たらないとして、森園億人東郷菊馬の訴えを退け、帝一と弾は美美子との将来を意識し、より一層生徒会長になるために邁進する事を誓うのだった。一方、海帝高校に現れた美美子を見て一目ぼれしてしまった野々宮裕次郎は、旧知の仲である弾をルーム長として支えていく心づもりを一転、恋敵となった弾と決別し、美美子を手に入れようと躍起になる。そして裕次郎は、現首相の息子にして人気俳優という己の伝手を最大限に利用し、美美子を芸能界にスカウト。ドラマ共演を果たし、美美子を人気女優へと成長させるのだった。こうして美美子との距離を縮めた裕次郎は、かつての悪友、高天原蒜山の支持する菊馬の傘下に入る事をも表明し、世論調査における菊馬の支持率はついに首位となる。抜群の人気と知名度を誇る裕次郎と、新興宗教の教祖の息子として、校内に数多くの信者を抱える蒜山に援護される菊馬には敵わないと察した帝一は、次期生徒会長候補になんとかして菊馬が指名されないようにと奔走を開始する。

第12巻

ついに次期生徒会長候補者三人が選出される日が来た。事前に氷室ローランドに依頼し、東郷菊馬が選出されないよう手を打った赤場帝一の努力もむなしく、高天原蒜山の信者の強力な妨害に遭い、森園億人は菊馬を候補者の一人として選出した。正式に帝一、大鷹弾、菊馬が生徒会長選を争う事が決まり、いよいよ加熱するかと思われた選挙活動だが、蒜山と野々宮裕次郎の支持を受けた菊馬の人気ぶりは、すでに不動とも呼べるものだった。しかも蒜山は、海帝高校の敷地内に天照霊波救世教の海帝支部を発足し、支部長に菊馬を任命する事でさらなる信者を獲得しようとしていた。この事態を重く見た帝一は、榊原光明を蒜山の天照霊波救世教に潜入させる計画を立てる。海帝支部への侵入に成功した光明は、成田瑠流可と光家吾郎と落ち合い、敵の内部から攻め、菊馬の人気を落とそうと画策する。しかし、蒜山と裕次郎に計画が露見し、反省房に入れられ、天照霊波救世教の強制洗脳を受ける事になってしまう。光明を奪還しようとする帝一、弾らは、先手先を読む将棋の天才である羽生慎之助の協力を仰ぎ、天照霊波救世教の海帝支部へ総攻撃を仕掛けるが、返り討ちに遭う。なす術もなく数日が経過したある日、蒜山と裕次郎と共に歩く光明に声を掛けた帝一は、洗脳された光明に激しい嫌悪感を抱かれて、困惑してしまう。

第13巻

高天原蒜山の洗脳により、すっかり東郷菊馬の側近と化した榊原光明は、赤場帝一の器の小ささをあしざまに罵る。最愛の光明を失った帝一は完全に心が折れ、生徒会長になる事に固執していた自身のすべてに疑問を抱くようになってしまう。さらに帝一は不登校になって引きこもるが、赤場譲介により、今一度生き直す道を示されて活力を取り戻す。そして帝一は葛藤の末に生徒会長候補を辞任し、大鷹弾を盛り立てて菊馬と戦う態勢を整えようと決意。帝一の払った犠牲の甲斐あって、弾の天性の人柄のよさに加え、これまで帝一の持っていた支持率が一気に弾に流れ込み、弾と菊馬の支持率は互角になった。歓喜する帝一と弾だが、海帝高校の支配をきっかけに日本全体の支配を目論む蒜山と野々宮裕次郎は、弾の支援者である野々宮幸四郎に働きかけ、弾の学費納入を停止させる。学費未納をスクープされた弾は窮地に立たされてしまい、帝一らは、生徒会長選当日まで、弾の学費を稼ぐために選挙活動を休まざるを得なくなる。そして、いよいよ生徒会長選当日。無事に学費を用意し、潔白の身で壇上にあがった弾は、戦友である帝一を讃え、候補者辞任を取り下げて、共に候補者として負け試合に挑もうと呼びかける。森園億人が退任届を破り捨てたため、帝一は氷室ローランドらに見守られる中、再び生徒会長選の舞台に身を投じる事になった。

第14巻

赤場帝一大鷹弾東郷菊馬の三者で競われる生徒会長選は、森園億人の根回しにより、3年生も投票に参加する事となった。高天原蒜山の洗脳を受けていない冷静な3年生のほとんどは、海帝中学校でも生徒会長を務め、上の人間をよく立ててくれた帝一を支持する。これまでの努力が報われた事に涙する帝一だが、1年生、2年生は蒜山の影響で菊馬に投票する者が圧倒的に多い。そんな中、洗脳される前に榊原光明が仕掛けていた一計が発動。不安こそが洗脳の鍵だと豪語する蒜山の真の姿を知った信者達は洗脳から目覚め、帝一や弾へと支持者を鞍替えしていく。最終的に1票差まで縮んだ帝一と弾の投票数だが、帝一は、将来自身が総理大臣になる野望を叶えるために、自ら弾に投票する。こうして、弾が次期生徒会長に就任する事が決まるのだった。その後、3年生になり、副会長として弾と共に尽力する帝一は、海帝高校に真の民主化を導入し、誰でも生徒会長に立候補できる仕組みを整える事に成功。さらに、弾の口利きで元首相の野々宮幸四郎に働きかける事で、帝一は生徒会長選に財政界とのしがらみをなくす事に成功。ついに、副生徒会長でも総理大臣になれる道が開かれる時代を作り上げるのだった。そして数十年後、数々の戦いをくぐり抜けてきた帝一は、総理大臣として理想の国作りに追われる日々を過ごす事となる。

メディアミックス

実写劇場版

本作『帝一の國』の実写劇場版が、2017年4月29日より公開された。監督は永井聡、脚本はいずみ吉紘が務めた。主題歌はクリープパイプのイトが担当した。主人公の赤場帝一役を菅田将暉、榊原光明役を志尊淳、大鷹弾役を竹内涼真、東郷菊馬役を野村周平、森園億人役を千葉雄大、氷室ローランド役を間宮祥太郎、白鳥美美子役を永野芽郁、赤場譲介役を吉田鋼太郎がそれぞれ演じている。武蔵大学や東京農工大学などが撮影場所を提供した。

登場人物・キャラクター

赤場 帝一 (あかば ていいち)

海帝高校に通う男子。1年生の時には1組のルーム長を務めた。高校生活では、第一に生徒会長になる事を目標に掲げており、主席入学を果たしてその確かな一歩を歩み始めた。自身と同じ海帝高校出身の父親、赤場譲介の協力で、無事に1組のルーム長に納まってからは、親友であり、いずれ訪れる政治家人生の伴侶に等しい榊原光明を副ルーム長に指名し、光明のサポートを受けながら生徒会長への道を邁進していく。海帝中学3年の時に生徒会長を務めており、上の人間をよく立てるため、上級生からの評価は高い。ピアノが得意で、幼少期から熱心に取り組んでいたが、それを馬鹿にしていじめて来た東郷菊馬とは犬猿の仲である。小学校からの仲である恋人の白鳥美美子との糸電話の時間が至福の時間となっている。非常に負けず嫌いの性格で、責任感も人一倍強く、自分にも他人にも厳しい一面はクラスの仲間達に広く支持されている。また非常にフェアな精神の持ち主で、借りは必ず返す事を信条としており、生徒総会で菊馬の陰謀で危機に陥った際に助けてくれた大鷹弾に非常に恩義を感じており、ルーム長夏合宿で、自らが不利になるにもかかわらず、弾に銃を一挺渡し、生徒総会での礼を尽くした。妹の赤場夢子には「にいに」と呼ばれ、尊敬されている。中学生時代にボランティアで手話を習得しており、離れていても手話を使い、身振りで光明と会話する事ができる。悩み事があり、煮詰まると、譲介の背中の毘沙門天の刺青に悩みを相談し、活路を見出す。また、夏合宿を機に、生徒会長になるには体力、知力、精神力が必要なのだと痛感し、以後、毎日筋トレを欠かさないようになる。

白鳥 美美子 (しらとり みみこ)

花園女子高校1年生の女子。赤場帝一とは小学校時代の同級生であり、恋人同士である。帝一の事は、帝一の奏でるショパンの音色で意識するようになり、そのため、帝一のピアノ演奏を聴くのが何よりも好きである。夜にこっそり帝一と糸電話で会話する事を楽しみにしている。帝一が考えている以上に彼に寄り添い、大事に思っている。海帝高校に入学して以来、身分主義で、派閥争いに積極的に身を投じるようになった帝一を心配している。非常に容姿が整っており、その凛とした佇いは、人気俳優の野々宮裕次郎が一目ぼれしたほど。裕次郎の強引なスカウトで女優デビューを果たしたあと、すぐに人気が出て、一躍時の人となった。しかし芸能界での仕事は、人助けのピンチヒッターであるという考えを貫き、しつこく言い寄ってくる裕次郎と決別してからは、芸能界をきっぱり引退し、華やかな世界から距離を置いた。運動が得意で、100メートルを12秒台で走る事ができる。一時期、帝一と大鷹弾のあいだで気持ちが揺れ動いたが、生徒会長選での帝一の真摯な態度に惚れ直し、高校在学中に帝一と婚約。帝一が大学卒業後に結婚予定である。

榊原 光明 (さかきばら こうめい)

海帝高校に通う男子。赤場帝一と同学で、1年生の時には1組の副ルーム長を務めた。性格は穏やかで、笑いのツボが広く、長い付き合いの帝一も把握しきれていないほどである。また、髪質と肌つやには特に気を遣っており、美容の話題で白鳥美美子とよく盛り上がる。嬉しくなると興味の対象に夢中になってしまい、回りが見えなくなるタイプ。猫の絵を描く事が得意で、作戦ノートなどにも猫の絵を描き散らす。時に榊原光明の描く猫は擬人化され、漫画の形で帝一に公開される。自分のために生きるのではなく、誰かの歯車として生きる事に喜びを感じる性格だと打ち明け、帝一に政治人生における伴侶に抜擢された。帝一の親友で、よき理解者であり、最大の味方である。帝一をただ者ではないとつねづね感じており、つねにトップに立ってほしいと願い、助力を惜しまない。実家が機械工場であるため、幼い頃から旋盤やフロイス加工など、専門機械の扱いに慣れ親しんできた。その環境で育ったおかげで発明家として開花し、自作の発明品で窮地に陥った帝一を救う事が多々ある。海帝中学校在籍時から、生徒会長を務める帝一を副会長としてサポートしており、その頃から「知の光明、義の帝一」としてその名コンビぶりは評判だった。アマチュア無線をしているため、モールス信号を読む事ができる。中学生時代にボランティアで手話を習得しており、離れていても手話を使い、身振りで帝一と会話する事ができる。勉強よりも友情が大事だという教育を受けてきたため、親友であり相棒である帝一には、日々、捨て身でついていく覚悟である。成田瑠流可には猫好きである事を買われ、「コウメイ・ドール」と呼ばれ、かわいがられている。

大鷹 弾 (おおたか だん)

海帝高校に通う男子。赤場帝一と同学年で、1年生の時には6組のルーム長を務めた。公立中学校卒業後、外部受験により海帝高校に入学した、その年唯一の生徒。外部生のルーム長抜擢は前代未聞であるが、担任の礼子は彼をルーム長に推薦した理由を、超難関といわれる外部からの入学試験でほぼ満点をとり、それが歴代トップの成績だった事と、人望が厚く誰に対しても親切で、入学後たった1か月でクラスの中心人物となった事を挙げている。ルーム長に抜擢されてからの抱負は、楽しい学校を作る事。高身長で手足も長く、その恵まれた体格は帝一も圧倒されるほどである。また身体能力も高く、鋼のように肉体を鍛えている氷室ローランドも恐れをなすほどの俊敏さと柔軟性を併せ持つ。父親はすでに死去しており、母親が働きに出ているため、家事のいっさいを引き受けている。料理上手で、妹と三人の弟に非常によく懐かれている。海帝高校には野々宮幸四郎から金銭的援助を受けて入学しており、幸四郎の恩に報いるためにも、高校生活を1秒たりとも無駄にしたくないと考えている。父親の残した借金返済と、家計を支えるために夜通し工事現場で肉体労働のアルバイトをしており、校内のいたる教室で惰眠をむさぼる姿がよく目撃されている。読書家で、ニーチェやパスカルなどの哲学書を特に好む。また将棋も得意で、森園億人に並ぶ腕前である。海帝高校の、野心にまみれた生徒会長選を快く思っておらず、自身と同じ考えの億人に好感を持っている。実家は代々続く鷹匠の家系で、大鷹という名字もその生業が由縁となっている。藤吉という名の鷹を飼っており、毎日腕に乗せて散歩している。

東郷 菊馬 (とうごう きくま)

海帝高校に通う男子。赤場帝一と同学年で、1年生の時には2組のルーム長を務めた。帝一とは小学生時代からの因縁で、非常に仲が悪く、互いにライバル心を抱いている。情報収集が得意で、次期生徒会長最有力候補の氷室ローランドに取り入るために、全校生徒の個人情報を調べ上げて氷室に渡した。帝一を挑発する時や、帝一を憎らしく思った時、決まって自分の額を中指で突くが、これは1年の時の夏合宿の疑似戦争で、帝一に額をペイント弾で撃たれた屈辱を忘れないためである。帝一が榊原光明の発明品で活路を見出すため、光明の発明品は戦国時代に核兵器を持ち込むようなものだ、と考えて非常に脅威に感じている。帝一の苛立ちを煽るような言動ばかりするため、帝一には「クソ虫メガネ」とあだ名されている。剣道初段の腕前である。2年の時、配下についた成田瑠流可と光家吾郎に、「キクマ・ド・サド」とあだ名を付けられ、傘下に入る代わりに週に1回お化粧をして奇抜な恰好で写真を撮られる事を容認する。帝一同様、生徒会長選に命を懸けており、大型新興宗教の教祖の息子である高天原蒜山の影響力を重んじ、行動を共にしていたが、つねに猜疑心を忘れない性格のため、強力な蒜山の洗脳に溺れる事はなかった。自身が候補者となって挑んだ生徒会長選では、蒜山の洗脳が解けて冷静になった生徒達が自身を離れて帝一や大鷹弾に票を投じていく中、帝一の功績を讃えて一票を投じ、帝一支持者として応援に回った。

氷室 ローランド (ひむろ ろーらんど)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年上で、2年生の時には3組のルーム長を務めた。母親が日本人、父親がアメリカ人のハーフで、非常に容姿端麗である。小学3年生の時に父親の転勤でアメリカから日本にやって来た。来日当初は日本語がわからず、苦労した。また金髪美麗な容姿をからかわれる事に辟易し、中学生になると同時に、うっぷん晴らしに他校の不良生相手に喧嘩に明け暮れるようになった。相手が倒れるまで拳を振るい続ける暴れっぷりから、「金髪の狂犬」のあだ名で呼ばれる。駒光彦に声を掛けられた事をきっかけに、暴力ではなく、知力で海帝高校の生徒会長になる道を志すようになる。傘下の赤場帝一や東郷菊馬を信頼し、難しい仕事も任せるが、反面、いざという時には彼らを斬り捨てて生き延びる事に躊躇しない事を公言するなど、非常にドライな一面も持ち合わせている。ただし、相棒の駒に関しては温情があり、他校生と喧嘩をしたり女装バーで働かなくてはならなくなった際も、駒をかばう言動を見せる。生徒会長選の公約演説では、運動部に予算配分を多くとり、学力のみならずスポーツ面においても海帝高校の名を全国に轟かせたいと語り、運動部達の支持を多く集めた。増長し、強行政治を行おうとした結果、億人に敗れたが、副生徒会長に任命してくれた億人の器の大きさに感服し、以後は億人の忠実な側近となる。

森園 億人 (もりぞの おくひと)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の一学年で、2年生の時には6組のルーム長を務めた。生徒会長の堂山圭吾とは、同じ将棋教室に通っていた幼なじみ。ヒマさえあれば一人将棋をしているが、読書も大好き。借りた本の図書カードに必ずといっていいほど大鷹弾の名前を見つけるようになってからは、弾の読書量に一目置いている。また弾が将棋をたしなむ事と、共に片親の家庭で育っている事、生徒会に所属していながら生徒会長選に強い執着がない事から弾に共感し、非常に気に入っている。自身を将棋の駒の中で「歩」に例えるが、それは一歩一歩着実に進み、敵陣に入ると一気に強者に化けるという自信の表れでもある。おとなしい性格だが勝負事になると人が変わり、非常に勝利に執着する。撃ち合いが恐いという理由で、ルーム長夏合宿ではずっと図書室で一人将棋に取り組み、銃撃戦には参加しなかった。しかし、最後の生存者である氷室ローランドが銃弾を使い果たした事を知るや動き出し、あっさりと氷室の心臓を撃ち、勝者となった。京田一郎と共に文芸部に所属しており、高校生推理小説大賞の受賞経験がある。受賞経緯は、部誌に発表していた作品がたまたま出版社の人間の目にとまったためとし、学校側には受賞した事を言わずにいる。堂山に指名され、生徒会長となったあとは、努力した者が報われる能力主義の学校にしたいと語り、森園億人自身の考えを反映させるために海帝高校の民主化を徹底した。

堂山 圭吾 (どうやま けいご)

かつて海帝高校で生徒会長を務めた男子。威風堂々とした存在感は全校生徒のあこがれの的であり、つねに冷静沈着、情に厚い性格をしている。自身が2年生の時の夏合宿で勝利し、生徒会長選での貴重な3票を得たが、それは氷室ローランドが疑似戦争で蜂の巣になってかばってくれたからであり、その事から氷室に非常に信頼を置いていた。だが生徒会長になる事にひどく執着するようになった氷室が、独裁政治に傾倒していく様子を危険視するようになり、海帝への愛から最終的に次期生徒会長には森園億人を指名した。同じ将棋クラブに通っていた億人にはかねてから一目置き、自分を慕ってくれるかわいい後輩の本田章太には甘い一面を持つ。

駒 光彦 (こま みつひこ)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の一学年上で、2年生の時には3組の副ルーム長を務めた。海帝中学校時代からの、氷室ローランドのよき理解者で、よき相棒である。理性的で頭の回転が速く、感情的になりやすい氷室をなだめる役周りに徹する事が多い。中学生の時、喧嘩が強い氷室にあこがれて声を掛けて以来の仲であるが、横暴さが目立つようになった氷室を生徒会長になる器ではないとして見限り、生徒会長選では億人に投票した事で氷室を激しく狼狽させた。のちに屋上から飛び降り自殺を図ろうとした氷室を助けるために奔走し、和解した。億人に副生徒会長に任命された氷室を支えるべく、その後の高校生活も氷室に寄り添い、同じ大学へと進学した。

赤場 譲介 (あかば じょうすけ)

赤場帝一の父親。帝一と同じ海帝高校出身で、自身が僅差で生徒会長になれなかったために、社会に出てからも屈辱の二番手人生を送らざるを得ない事を、日々悔しがっている。そのため、「海帝高校で一番になる」という願いを込めて名付けた息子の帝一を生徒会長にするべく、帝一以上に躍起になっている。海帝高校に多額の寄付金を納める事で帝一をルーム長の座に就けた際、自身が東郷菊馬の父親、東郷卯三郎に生徒会長選で1票差で敗れた事を話し、菊馬にだけは負けるなと喝を入れた。また、帝一が海帝高校で一番になれるよう祈願するため、裸足でお百度参りを敢行するなど、帝一を生徒会長に就任させる事に命を懸けている。選挙資金として、1年生で20万円、2年生で100万円の軍資金を帝一に渡すが、現金をばらまく事だけはしてはならないと助言する。海帝高校卒業後、東都大学に進学し、通産省の官僚となったが、上司として卯三郎の下に就かねばならない事に非常に辟易している。背中に毘沙門天の刺青をしており、帝一は幼い頃から毘沙門天に多くの悩みを相談してきた。毘沙門天の刺青は、赤場譲介が卯三郎に生徒会長選に敗れたあと、切腹したいほどの苦悩を振り切るために20歳の時に彫ったもの。一彫り一彫りが自身にとっての切腹に等しく、一度死んで新たに生まれ変わろうという決意の表れであった。

黒坂 礼子 (くろさか れいこ)

海帝高校の女性教師。担当は日本で、1年6組の担任を務めている。書道部顧問であり、文化祭では、生徒に混じって書道パフォーマンスを行い、大筆をあやつって、文化祭を盛り上げた。生徒達には「礼子ちゃん」と呼ばれて親しまれている。ルーム長の選任は担任に一任されるという生徒会則を逆手に取り、多額の寄付金を納めていないにもかかわらず、その人望から大鷹弾をルーム長に抜擢した。その件で学校側からボーナスを半減されるなどの嫌がらせを受けても屈せず、高校生が権力闘争をする事に反発心を抱き、闘う姿勢をみせる。生徒会長選に挑む弾に希望を委ね、海帝高校の疑似政界体質を変えてくれるよう依頼する。赤場帝一や川俣豊治ら、どろどろした政界さながらの学校組織を日本神話のヤマタノオロチに重ね、それを退治できるスサノオは弾しかいないと考え、積極的に弾をサポートし、政界さながらの海帝高校の雰囲気を変えるよう苦心する。

野々宮 裕次郎 (ののみや ゆうじろう)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下で、1年生の時には3組のルーム長を務めた。最優秀の成績で入学したため、新入生代表挨拶をした。現首相の野々宮幸四郎の三男で、青春スターとしても活躍している。代表作は大ヒット映画「喧嘩ブルース」で、主演俳優を演じた事で非常に知名度が高まった。俳優業に従事しているのは知名度のためであり、父親のように海帝高校の生徒会長に就任し、将来的には総理大臣になるという野望を抱いている。兄が家庭教師をしてもらっていた関係で大鷹弾とは知り合いであり、名前で呼び合う仲。入学初日に、弾をサポートして、弾を生徒会長にしたあとに、次期会長候補に指名してもらいたいと公衆の面前で弾に願い出た。明るく爽やかな弾に比べ、卑怯な手を使う帝一を嫌っていたが、正々堂々と戦いたいという思いは、一目ぼれした白鳥美美子をどうしても手に入れたいという欲求を前にむなしく砕け散り、ほしいものは力ずくで奪う方針へと路線変更した。ちなみに小学生の頃は、暴力や窃盗、脅迫と、ありとあらゆる悪事に手を染め、親や教師も手をつけられない問題児だった。高天原蒜山の父親による性格矯正プログラムにより、優等生へと洗脳されていたが、美々子の件をきっかけに洗脳が解けたあとは、小学生の時からの悪友である蒜山と共に再び悪と野望の道を歩むようになる。

根津 二四三 (ねず にしぞう)

海帝高校に通う男子。赤場帝一と同学年。1年生の時には2組の副ルーム長を務めた。東郷菊馬とは小学生の頃から共に剣道クラブで切磋琢磨し合う仲だった。全国優勝する腕前にもかかわらず、菊馬が海帝高校の生徒会長を目指すと知ってからは、会長選挙に専念するために、菊馬に付き合って剣道をやめた。非常に身のこなしが軽く、どこへでも出入りして敵の情報を探るのが得意。壁を歩いて盗聴活動をする事もあるが、それは、靴底に細かい針をびっしり埋め込んだ特殊な靴を用意しているからこそできる芸当である。菊馬と共に帝一の苛立ちを煽るような言動ばかりするため、帝一には「妖怪鼠」とあだ名されている。またたびが弱点で、よく菊馬にまたたびを与えられ、夢心地になっているところを目撃される。

永福 吉祥 (ながふく きっしょう)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下。1年生の時には6組の副ルーム長を務めた。天照霊波救世教の信者で、高天原蒜山と共に東郷菊馬を教団の信者として取り込み、蒜山を次期生徒会長にしようと目論んでいる。

宮瀬 陣介 (みやせ じんすけ)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下。1年生の時には2組の副ルーム長を務めた。久我信士の不良仲間で、二人で「海帝愚連隊」を発足させた。髪型は油で固めてリーゼントにしている。信士同様、情に厚く仲間思いの一面を持つ。

川俣 豊治 (かわまた とよじ)

海帝高校の男性教師。担当は国語。赤場帝一が1年生の時に担任及び学年主任を務めていた。年齢は60歳。評議会顧問である事から、「生徒会長製造機」の異名を持つが、これは毎年、彼のクラスのルーム長がそのまま生徒会長に伸し上がる事が多いためである。帝一を非常に買っており、彼がルーム長に収まったあとも相談されるたびに的確な助言をし、時には叱責する事で、彼が生徒会長になるのに相応しい人材に育つように見守っている。

野々宮 正 (ののみや ただし)

野々宮幸四郎の息子。海帝高校の3年在籍時に大鷹弾と出会い、当時公立中学の2年生だった弾に勉強を教えてもらった。弾が非常にわかりやすい教え方をしてくれるために、大学受験を視野に入れて家庭教師になってもらった過去がある。弾に教わった甲斐あり、無事に志望校に合格した。

夢島 玲 (ゆめしま れい)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下。1年生の時には1組のルーム長を務めた。アイドルのようにかわいい容姿のため、中学生時代からファンクラブができていた。本人もかわいさを自覚しており、振り向かせられない男性はいないと豪語している。生徒会長になるために自分の配下に就くように迫って来た帝一のファーストキスを奪ったり、校内でマンスリーライブを開催するなど、やりたい放題の学園生活を送っている。暴力的という理由で、級友の久我信士を嫌っていたが、実際は中学生の時に佐久間大吾を通してなかよくなった信士に寄せた好意が周囲に知られ、クラスメイトの冷やかしに耐えられなかった信士に冷たくあしらわれた事をきっかけに疎遠にならざるを得なかっただけだった。夢島玲と信士のわだかまりを知った帝一が、一計を案じて信士に謝る機会を作ったために二人の仲は修復され、自身のために尽力した帝一に感謝した玲は、帝一の従順な配下になった。

高天原 蒜山 (たかまがはら ひるぜん)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下。1年生の時には6組のルーム長を務めた。天照霊波救世教という新興宗教の教祖、高天原波堂を父親に持つ。目的のためならば拉致や監禁、洗脳と手段を選ばないと豪語している。父親の教団を確固たるものにするために政財界との太いパイプを持つべく、生徒会長になりたいと思っていたが、悪友である野々宮裕次郎と再び手を組むようになってからは、裕次郎を日本国の首相に据え、自身は日本の領土の半分をもらい、天照国を建国して日本国と共に付近一帯の国家を手中に収めたいと考えるようになる。海帝高校での戦略としては、自身を配下にしようと近付いて来た東郷菊馬を逆に取り込み、教団の信者にしようと画策。見事、熱心な信者に転身させた菊馬をうまく手のひらで転がす事に成功した高天原蒜山は、海帝高校の敷地内にある旧講堂に天照霊波救世教海帝支部を発足。支部長に菊馬を据えて、校内でのさらなる信者獲得に勤しむようになった。海帝高校入学当初は坊主頭に眼鏡という、聖人アピールを欠かさなかったが、裕次郎と手を組むようになった事を機に、坊主頭のかつらを脱ぎ捨てた。かつらの下は肩まで伸びたストレートな黒髪だが、信者達には、霊波の力で著しく髪が伸びたと説明した。小学生の頃に、裕次郎と共にマヨネーズ皇国という子供だけの王国を造り、社会的な騒動を巻き起こした過去を持つ。

京田 一郎 (きょうだ いちろう)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年上。2年生の時には6組の副ルーム長を務めた。オカルト本好きで、文芸部に所属している。詩集やオカルト系の本が同人界で異例のヒットをとばし、その界隈での有名人である。会話では、つねに詩的な言い回しを織り交ぜて話し、その独特な言動を理解できるのは森園億人のみである。また非常に勘が鋭く、発した言葉は予言と言っても過言ではないほどよく的中する。億人や文芸部所属者には「京さん」と呼ばれて親しまれている。

橋本 万蔵 (はしもと まんぞう)

海帝高校に通う男子。赤場帝一と同学年。1年生の時には3組の副ルーム長を務めた。中村彦之丞と共に猫サークルに所属している大の猫好き。彦之丞を「彦」と呼び、非常に仲がいい。中学生の時は、榊原光明が発足した猫部に所属していた関係で、光明に会うと未だに猫話が尽きない。

羽生 慎之助 (はにゅう しんのすけ)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下。1年生の時には4組のルーム長を務めた。海帝高校には野々宮裕次郎に次いで2番目の成績で入学した。将棋の天才棋士で、入学金も寄付金もすべて獲得賞金から賄った。高校進学かプロ棋士になるかで迷ったが、かつての将棋のライバルである森園億人が生徒会長になったため、高校進学を決めた。千手先まで読める天才棋士と謳われるが、その才能ゆえに環境悪化や高度経済成長の煽りを受けて衰退していく日本の将来を危惧し、将来的に日本を裏からコントロールする力がほしくて、海帝高校の生徒会長就任を狙うようになる。生徒会長に就任した億人のよき相談相手として、海帝高校の民主化に貢献した。帝一と大鷹弾の生徒会長選の動向を追ううちに、人の感情は完全に読み切れるものではないと悟り、2年生には進級せずに将棋のプロ棋士として生きていく事を決めた。

野々宮 幸四郎 (ののみや こうしろう)

日本の現首相を務めている男性。大鷹弾とは、彼が林と間違えて私庭に入り込んで来て以来の仲である。飼っている鷹の藤吉を腕に乗せて散歩中だった弾を見て、田舎の鷹匠を思い出し、野々宮幸四郎から茶に誘い、自宅に招いた。海帝高校の出身者で、息子も海帝高校に在学。難度の高い海帝高校の勉強に苦悩する息子の野々宮正の家庭教師を務められるほどの弾の知力に期待している。弾の家が火の車である事を知るや、金銭的援助をする事を申し出て、弾を海帝高校に入学させた。弾の知性と人柄を非常に買っており、卒業して社会人になったら自身の右腕として働いてほしいと依頼している。弾には「おっちゃん」と呼ばれて親しまれている。

光家 吾郎 (みついえ ごろう)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下。1年生の時には5組の副ルーム長を務めた。成田瑠流可と共に制服を改造し、左目に黒い眼帯をして独自のファッションを楽しんでいる。自身を「ミッチェル・ボーイ」と呼ぶように周囲に強要している。実家は青果店を営んでいたが、廃れた商店街もろとも瑠流可の父親の成田淳のプロデュースでベジタブルマイスターの店「ミッチェル」として生まれ変わった。夢はロックスターで、いつか瑠流可の作った衣装を着て武道館でライブを行うのが目標。

佐々木 洋介 (ささき ようすけ)

海帝高校に通う男子。赤場帝一と同学年。1年生の時には6組の副ルーム長を務めた。多額の寄付金を納め、ルーム長の座を狙っていたが、黒坂礼子の意向でルーム長になり損ね、副ルーム長の座に収まった。ルーム長選で敗退したあとは、佐々木洋介の手で自身のクラスのルーム長である大鷹弾を生徒会長にし、見返りに副会長に指名してもらおうと画策する。非常に柔軟で素直な性格をしており、弾の人望に一目置き、ルーム長選で敗れたあとも彼を恨む事なく、変わらない友達付き合いを継続している。

古川 善 (ふるかわ ぜん)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下。1年生の時には4組の副ルーム長を務めた。文化系の羽生慎之助と違い、運動系ながら羽生を尊敬しているため、副ルーム長になり、彼に寄り添う事を決めた。羽生を通して森園億人にも絶対の信頼を寄せる。

加賀 栄作 (かが えいさく)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下。1年生の時には3組の副ルーム長を務めた。野々宮裕次郎の親友で、まじめで礼儀正しい性格の持ち主。裕次郎が、かつての悪友である高天原蒜山とつるむようになって以降、裕次郎の悪行に耐え兼ね、裕次郎を見限って帝一の味方についた。

佐久間 大吾 (さくま だいご)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下。1年生の時には1組の副ルーム長を務めた。夢島玲の親衛隊長を気どり、つねに傍に控えている。玲にこれ以上人気になってほしくはないが、玲が生徒会長になりたいと願っているため、応援したいと考えている。日常的にボクシングをし、体を鍛えているが、それは玲に何かよからぬ事があった際に守るためである。中学1年生の時に、たまたまとなりの席だった玲となかよくなり、以来危なっかしいからという理由で絶えず傍にいるようになった。

成田 瑠流可 (なりた るるか)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下。1年生の時には5組のルーム長を務めた。父親は世界的ファッションブランド「ジュン・ナリタ」のデザイナーである成田淳。母親はモード系ファッション雑誌の編集長を務めており、光家吾郎にはプラダを着た美魔女と称される。吾郎と共に制服を改造し、奇抜な髪型やファッションを身につけている。世の中をかわいい、美しいもので埋め尽くすのが野望。成田瑠流可自身を「ルルカ・シュミット」と呼ぶように周囲に強要している。吾郎の実家が自身の家庭に比べてひどく庶民的である事を知ったあとも、吾郎のセンスと人間性が好きだと言い、変わらぬ友好関係を続けている。

白鳥 重彦 (しらとり しげひこ)

白鳥美美子の父親。美美子を溺愛し、美美子が年頃の娘になってからは、特に悪い虫がつかないように目を光らせている。生徒会規則で不純異性交遊禁止となったため、老人に扮して、日々、美美子に会いに来る赤場帝一を本物の老人と思い込み、寂しい老人の話し相手になってあげる美美子を非常に誇らしく思っている。美美子に野々宮裕次郎が言い寄って来た時には、男前の裕次郎とならば交際を許す姿勢を見せた。

久我 信士 (くが しんじ)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年下。1年生の時には2組のルーム長を務めた。海帝高校には野々宮裕次郎、羽生慎之助に次いで3番目の成績で入学した。中学生時代から有名な不良だったが、成績はよく寄付金も多く納めているため、ルーム長に就任した経緯がある。金髪の狂犬と呼ばれていた氷室ローランドにあこがれて以来、髪を金髪に染めている。しかし、氷室の舎弟になるために好成績を収めてルーム長になったのに、当の氷室が凶暴性をなくし、森園億人に従順な副生徒会長に収まっていたために気力をなくした。氷室の豹変ぶりにがっかりしていたところを東郷菊馬の口車に乗せられ、菊馬の配下となって生徒会長を目指し、次代の金髪の狂犬になろうと考える。菊馬の配下に入った事で、菊馬を隊長と呼び、自身のチーム「海帝愚連隊」の刺繡入り学ランを着るよう強要したり、チームの集会に参加するように求め、菊馬を困惑させる。のちに菊馬の卑怯さを目の当たりにして愛想を尽かし、帝一の忠実な配下となる。勉強を頑張るのは、不良然としたスタイルでいても、親や学校の評判を落とさないようにするためで、週に1回街の清掃をし、年寄りと子供を抱えた母親を助け、一日一善を徹底する事を条件にチーム存続させている。高天原蒜山を坊主野郎と呼び、何をしているのかよくわからない組織員だという理由で嫌っている。また裕次郎の事も、親の七光りであるという理由で嫌っている。

本田 章太 (ほんだ しょうた)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年上。2年生の時には4組のルーム長を務めた。堂山圭吾を心から尊敬し、慕っていたが、1年生の時の文化祭で草壁哲也の罠にはまり、以来堂山に心底憎まれるようになってしまう。その後、2年生に進級し、次期生徒会長候補者を決める時期に当時の草壁の陰謀が露見し、堂山との信頼関係が修復され、三人しか選ばれない次期生徒会長候補の一人となった。本田章太本人は生徒会長選に興味はなく、ただ尊敬する堂山の役に立ちたいだけという、健気で純粋な性格をしている。次期生徒会長候補に選ばれたあと、自身は生徒会長の器ではないとし、独善的な氷室ローランドに対抗するために森園億人と同盟を結び、億人に多く得票させるために生徒会長選を棄権した。副ルーム長の山羽喜一郎には「章ちゃん」と呼ばれ、非常になかよくしている。

スティーブ・レッドフォード

氷室ローランドの父親。アメリカ人。妻は日本人で、家族とは英語で会話する。アメリカのNo.1自動車メーカー・ハリケーンモーターズの重役を務めている。赤場譲介のせいで出世コースから外れてしまった事を恨んでおり、譲介の息子の赤場帝一をも憎んでいる。

佐渡 浩二郎 (さわたり こうじろう)

海帝高校に通っていた3年生時、写真部部長を務めていた男子。ライカのカメラがほしくて、コツコツお金を貯めているところを氷室ローランドに目をつけられ、現金3万円で生徒会長選で氷室に投票する事を約束した。だが、のちに氷室に金銭的な買収を受けた事を恥じ、生徒会長選では文化部運動部に対して、健全で公平な施策を講じてくれる事が期待できる森園億人に票を投じた。その際、氷室ではなくて億人に投票した理由は、少しでも強くなりたかったからだと語った。

小倉 徳太郎 (おぐら とくたろう)

海帝高校に通う男子。赤場帝一と同学年。1年生の時には4組のルーム長を務めた。ルーム長夏合宿の模擬戦争で、初めて手にした銃に舞いあがり、銃の扱い方の説明をきちんと聞いておらず、そのため装填に戸惑い、帝一に心臓を撃たれて死亡した。榊原光明のアドバイスで、背後からの不意打ちをせずに堂々と正面から闘いを挑んで来た帝一に敬意を表し、以後帝一の味方になる。

東郷 卯三郎 (とうごう うさぶろう)

東郷菊馬の父親。海帝高校出身で、在校時は、赤場譲介に一票差で勝ち、生徒会長を務めた。東都大学卒業後は通産省に入り、事務次官となり、譲介の上司として業務にあたっている。自分同様、息子の菊馬が海帝高校で生徒会長になる事を望んでおり、そのための助力は惜しまない。

草壁 哲也 (くさかべ てつや)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年上。2年生の時には5組のルーム長を務めた。成績優秀で、実家は金持ちで何代も続く政治家一族。兄弟家族間に何の問題もなく、悪い噂が出ても証拠を残すようなへまはしない、腹黒い一面を持つ。唯一の弱点は女好きである事で、東郷菊馬の策に嵌まり、女装した美山玉三郎に言い寄られて有頂天になり、不純異性交遊をしたというレッテルを貼られてしまう。生徒会長になるためには労を惜しまず、不正も辞さない体だが、1年生の時に本田章太を陥れた事が発覚し、それがもとで堂山圭吾に完全に見放され、次期生徒会長候補に不選出となった。

石井 桃太郎 (いしい ももたろう)

海帝高校に通う男子。赤場帝一と同学年。1年生の時には1組に在籍していた。非常に人懐こい性格で、クラスのマスコット的存在。評議会に参加するために精いっぱい頑張り、1年生ながら放送委員の副委員長に抜擢された。帝一にはカリスマ性を感じており、いつも献身的にサポートしようと奮闘する。2年生になっても評議会入りしたいために、長いものに巻かれる方針でいたが、生徒会長選で、氷室ローランドの打ち立てた運動部優位の選挙公約に反発し、氷室に投票した委員長を裏切り、森園億人に投票した。その勇敢な行動は、生徒会長選で億人が勝利する大きな一助となった。実家は仕出し弁当屋を営んでいる。

赤場 夢子 (あかば ゆめこ)

赤場帝一の妹。帝一より2歳年下。帝一を「にいに」と呼んで尊敬している。また、帝一のピアノ演奏を聴くのが大好きで、弾いてくれるよう、よくせがんでいる。帝一と白鳥美美子のツーショットを目撃して、二人が恋仲である事に気づく。のちに美美子が大鷹弾にも惹かれ始めている様を目の当たりにし、帝一を傷つけるような中途半端な態度をとらないよう叱咤した。

長内 賢治 (おさない けんじ)

海帝高校に通っていた男子。1年生の時には6組に在籍していた。副新聞委員長を務めており、正義感が強く、大人びており、大鷹弾に協力して次期生徒会長選に向けて独善的に振る舞う氷室ローランドを糾弾する学校新聞記事を書いた。氷室を下して森園億人が生徒会長に就任した暁には、億人が提唱する海帝高校の民主化に便乗し、校内新聞で月2回の世論調査を行い、次期生徒会長に相応しい候補者の順位付けを行う事を発案する。だが、採用された世論調査は、生徒会長候補となった当事者達にとっては厳しい結果である事が多く、彼らの心情を汲まずに紙面活動を行ったのを猛省する事となった。生徒会長選で、しがらみに屈せず、氷室ではなく億人に投票した石井桃太郎の勇気を非常に讃えた一人。

唐沢 (からさわ)

海帝高校に勤める男性教師。海帝高校でもっとも風紀に厳しい事で有名。非常に規則正しい生活を送っている事でも知られており、その生活スタイルは分刻みで決まっている。

中村 彦之丞 (なかむら ひこのじょう)

海帝高校に通う男子。赤場帝一と同学年。1年生の時には3組のルーム長を務めた。猫サークルに所属し、猫のブローチなどを手作りして販売している、大の猫好き。副ルーム長の橋本万蔵も猫サークルに所属し、互いに猫好きな事もあってなかよしで、万蔵には「彦」と呼ばれている。中学生の時は榊原光明の作った猫部に所属していた事から、未だに光明とは、会うと猫話が尽きない。ルーム長になったものの、生徒会の本質を知らず、過酷な疑似戦争を強制されるルーム長夏合宿に辟易し、自分が生徒会長になった暁には、ルーム長夏合宿は廃止すると豪語。合宿終了まで、椅子や机でつくったバリケードで教室の入り口を封鎖して籠城しようとしたが、窓を突き破って侵入して来た氷室ローランドに撃たれて、あっけなく死亡した。その際、氷室に闘う意思がないのならば自決しろ、と罵られて完全に戦意喪失した。この一件から氷室を恨んでおり、生徒会長選で氷室に票を投じる事を嫌がったが、光明に猫の気持ちがわかるようになるニャンニャンスピークをもらう事を条件に、しぶしぶ氷室に投票する事に約束した。

美山 玉三郎 (みやま たまさぶろう)

かつて海帝高校に通っていた男子。1年生の時には2組に在籍していた。演劇部に所属しており、常日頃から舞台台詞のような調子で会話する。女装も得意で、東郷菊馬が生徒会長になった暁には、生徒会費で演劇部用に大きな劇場を建てる事を条件に女装し、草壁哲也を誘惑し、不純異性交遊のスキャンダラスな現場を唐沢に目撃させる手伝いをした。文化祭では、高校生演劇コンクールで金賞を受賞した作品のヒロイン役を女装して演じ、その名演技は観客達の涙を誘った。

山羽 喜一郎 (やまは きいちろう)

海帝高校に通う男子。赤場帝一の1学年上。2年生の時には4組の副ルーム長を務めた。本田章太には「キーチ」と呼ばれて親しまれている。同じクラスのルーム長である本田に非常に寄り添っており、本田が堂山圭吾と和解した際は、涙を流して喜んだほどである。

集団・組織

海帝高校 (かいていこうこう)

東京都にある私立の中高一貫制男子校。もともとは海軍兵訓練学校として創設され、優秀な将校を数多く輩出した歴史を持つ。やがて学校改革により、新生・海帝高校として生まれ変わってからは、数多くの政治家や官僚を生み出す超名門校として、全国にその名を轟かせるようになった。生徒会長の特典として、日本一の国立大学である東都大学への入学が約束されており、そのため、生徒会長選挙は毎回、非常に激しい選挙戦が繰り広げられる。生徒会長のほか、本部役員である生徒会副会長、書記、会計係もそれぞれ私立の有名大学への入学が約束される。政治家を多く輩出する海帝高校の特色としては、伝統的に派閥作りや生徒会長選が政界さながらに行われる事が挙げられ、学校自体がその競争を推奨し、生徒会長に多くの権限を持たせている点が挙げられる。3年生と評議会員を除く全員が何かしらの部活動もしくは委員会に所属しなければならず、そのため生徒達の関心事の多くは、部活動や委員会への予算配分に関したものである。

評議会 (ひょうぎかい)

海帝高校 の生徒会本部の決定事項を実際に運営する組織。高校1年生と2年生の、総勢56人で構成される。各クラスのルーム長と副ルーム長および各委員会の委員長および副委員長、そして各部活動の部長がメンバーとなる。評議会員の投票で生徒会長が決定される事から、海帝高校の政治の中枢であると認識されている。

イベント・出来事

夏合宿 (なつがっしゅく)

ルーム長達の合宿イベントの一つ。夏休み中に海帝高校で行われる。参加は必須で、参加対象者は全学年のルーム長と副ルーム長。海帝高校の生徒会活動の激しさを戦争に見立て、20時から翌8時の休戦時間帯を除き、時間無制限で最後の一人になるまでペイント弾で撃ち合う疑似戦争形式の合宿。その本質は、いずれ挑む事になる生徒会長選に向けて貸し借りを作りつつ、根回しをしながら生き残る術を学ぶという、疑似政界戦争である。戦場は校舎と体育館のみだが、30メートルまでは屋外に出る事が許される。武器は各クラスに九四式模造銃が1丁ずつ配付されるが、弾丸は赤インクペイント弾で、計12発支給される。ルーム長が死亡すると、副ルーム長も死亡扱いとなるため、副ルーム長は身を挺してルーム長を守る事になる。頭部か心臓に被弾した時のみ死亡扱いとなり、それ以外に弾を受けた場合、その場で10秒間動く事も攻撃する事もできなくなるルールがある。死亡したらトランシーバーで死亡報告し、その後、死亡者は速やかに夏合宿本部である放送室に移動しなければならないが、放送室入りした死亡者は、高級弁当を食べたり温かい布団が用意されるなどの好待遇を受ける事になる。本部にいる生徒会長は、死亡者達が好待遇を受ける様子を生存者に校内放送で伝え、生存者達の戦闘意欲を奪い、自ら降伏したくなるよう仕向けるが、勝者は生徒会長選で、無条件で3票上乗せされるという特典がつくため、降伏する者はいない。勝者は死亡した者の銃と残弾をもらい受ける事ができ、また、参加者は学校内のものは何でも使用できるが、外部からの持ち込みは許可されておらず、合宿中、生存者が口にできるのは校舎内の水道水のみである。激しい銃撃戦で校内の備品を壊しても、合宿予算によりあらゆる修繕が可能であるため、かなり過激な攻防戦が繰り広げられる。評議会により十数名の黒子が監視にあたり、不正を働いたルーム長は、その資格をはく奪される。現生徒会長の堂山圭吾は、1年と2年の時の夏合宿で勝者となり、計6票を無条件に得た状態で生徒会長選に臨んで、圧勝した経験を持つ。

生徒総会 (せいとそうかい)

海帝高校の生徒会運営において、もっとも重要な議会の一つ。全校生徒によって各委員や部活動の予算承認が行われる、生徒会の大舞台である。講堂で行われる厳かな式典とは異なり、音楽や照明を使用するため、体育館で開催される事が多い。生徒会本部が審議した内容が評議会を通過し、最終的に生徒総会で決定される運びとなるが、全校生徒の3分の2が反対すれば、その事案は不決となる。音楽や照明に凝った演出にする理由は、ひとえに生徒達が事案に反対しにくい雰囲気を作るためである。

その他キーワード

生徒会長 (せいとかいちょう)

海帝高校生徒会の最高役職。生徒会は、本部役員が生徒会長と副生徒会長二人、書記と会計で構成されているが、生徒会長は本部役員を任命する事ができ、次期生徒会長候補者を三人選出する権限を与えられる。また、生徒会長は週に一度、本部役員を引き連れて校内を巡回する決まりだが、それは生徒会長が一般学生と交流を持ち、彼らが生徒会長に直接改善点や要望を陳情できるようにと考えられた制度である。生徒会長の持つ権限が多岐に及ぶため、生徒会長選は、毎回派閥や癒着といった権力闘争が生まれやすい構造を孕む。生徒会長選は、有権者が投票した人名を選挙管理委員長が読み上げ、投票者は、投票理由を述べねばならない仕組みとなっている。そのため、明確な意思を持たない有権者は得票数の多い候補者に投票する傾向がある。

海帝高校校旗 (かいていこうこうこうき)

海帝高校で、伝統的に使用されている校章の施された旗。生徒総会などの行事事で使用される。厚手の布地に金糸、銀糸で丹念に校章が刺繡がされており、約10キロの重さがある。海帝高校の象徴ともいえる海帝高校校旗を掲揚する係に任命される事は、非常に名誉な事とされている。

ルーム長 (るーむちょう)

クラスの長として、担任教師に任命されるクラス内の最高役職。表向きの選考基準は品行方正である事、リーダーシップがある事、入学試験の結果が優秀である事とされるが、実際には入学後にどれだけの寄付金を納められるかで人選し、最終的に寄付額がトップの者がルーム長に任命される。これは一部の選挙戦に熱心な親しか知りえない極秘情報である。ルーム長になると、多くの場合副ルーム長を任命する権利を得る事ができ、また、評議会に参加する事ができるようになる。

うそニャン一号 (うそにゃんいちごう)

榊原光明の発明品の一つ。噓発見器で、高校1年生の時の夏休みの自由研究の提出課題として製作された。非常に精度が高く、赤場帝一の女好きな一面や生徒会長になりたいという野望もすべて見破る事ができる。人は噓をつくと心拍がわずかに乱れるため、その乱れを感知して噓を見抜くという仕組みである。腕にベルトを巻き、質問する事で、被験者が内心と違う答えを述べると音がなり、噓をついた事がバレてしまう。ベルトを一つから六つに増やして改良した「うそニャン二号」は、堂山圭吾に次期生徒会長候補者を決める判断材料を得るために使用され、結果、帝一の狙い通り、草壁哲也を生徒会長選から脱落させるのに役立った。

ニャンニャンスピーク

榊原光明の発明品の一つ。以前製作した噓発見器「うそニャン一号」を猫の気持ちがわかるように改造したもの。猫に付けたお手製の首輪から、血圧や心拍数、発汗量を計測する事で猫の喜怒哀楽を読み取り、実際に噓発見器にその気持ちを代弁させる事ができる。猫好きの中村彦之丞と橋本万蔵に、生徒会長選で氷室ローランドに投票してもらう見返りにプレゼントされた。

書誌情報

帝一の國 全14巻 集英社〈ジャンプ・コミックス スクエア〉 完結

第1巻

(2011年3月発行、 978-4088701844)

第2巻

(2011年12月発行、 978-4088703350)

第3巻

(2012年7月発行、 978-4088704739)

第4巻

(2012年11月発行、 978-4088705439)

第5巻

(2013年3月発行、 978-4088706382)

第6巻

(2013年7月発行、 978-4088707747)

第7巻

(2013年11月発行、 978-4088708775)

第8巻

(2014年4月発行、 978-4088800325)

第9巻

(2014年8月4日発行、 978-4088801612)

第10巻

(2014年12月4日発行、 978-4088802329)

第11巻

(2015年5月1日発行、 978-4088803388)

第12巻

(2015年9月4日発行、 978-4088804712)

第13巻

(2016年1月4日発行、 978-4088805900)

第14巻

(2016年5月2日発行、 978-4088806785)

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