なぜ女性たちは『ベルサイユのばら』に惹かれるのか1,503 Pt.

代表的少女マンガである『ベルサイユのばら』。
現在でもコミックや関連商品、コラボグッズが売れ続け、宝塚歌劇団でも定期的に上演される作品でもある。
なぜ、こんなにも女性たちを惹きつけるのか魅力を探る。

作成日時:2016-07-17 12:00 執筆者:マンガペディア公式

『ベルサイユのばら』とは

1972年から1973年まで、池田 理代子氏が集英社より少女漫画誌「マーガレット」で連載し、今もなお人気を誇る伝説のマンガ。
ノン・フィクションと思われている方もいるかもしれないが、池田理代子によるフィクションマンガである。
実際の歴史を、池田理代子によりロマンティックでゴージャスに作り上げられている。
女性であれば、マリー・アントワネットの容姿端麗でゴージャスなところに、オスカルのように美しい女性でありながら男の世界に身を投じる、そんな姿に憧れる人も多い作品だ。

1974年に宝塚歌劇団で上演され、1979年にはTVアニメが放送され人気が爆発した。
週刊マーガレットにて連載、コミックは12巻まで発売。(完結)文庫版や完全版、豪華版などいくつか発売されている。

1770年春、オーストリア帝国・ハプスブルグ家の皇女マリー・アントワネットは14歳でフランスのブルボン家に嫁いできた。
王太子妃を衛護するのは近衛士官オスカル・フランソワ・ジャルジェ。彼女は由緒ある将軍家の末娘でありながら、跡継ぎとして剣も学問も修め、軍人として育てられた男装の美しい女性だった。
異国の地で孤独を募らせるマリー・アントワネットは、パリ・オペラ座の仮面舞踏会でスウェーデンの貴公子フェルゼン伯爵と知り合い恋に落ちる。
3人は共に18歳であった。
その後、国王ルイ15世が逝去し、孫のルイ16世が即位した。マリー・アントワネットは国を担う知識も心意気もないまま王妃となり、幸せを一新に背負っているはずだったが……。

この3人を取り巻くフランス国内外で起こる騒動をドラマティックに描いている。
前半ではマリー・アントワネットに焦点が、後半はオスカルをメインに物語りは進む。
当時の貴族社会と平民の暮らしの様子や暴動への発展なども分かりやすく描いている。

キャラクター

オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ

フランス王家の軍隊を代々統率してきた由緒ある家の末娘。生まれてきた子供が全員女である事にショックを受けた父親が、男の子のように力強い末娘(のちのオスカル)の泣き声を聞き、男のような名前をつけ男として育てる決意をし、息子として育てられる事となり、オスカルもこれを受け入れ、軍人として生きて行く。
マリー・アントワネットが王太子妃になったときから、マリー・アントワネットの側近として衛護し、そのために様々なトラブルに巻き込まれる事となる。
美しく冷静、頭脳明晰で文武両道であり、軍人として完璧であるが「女性」ということだけで多いに苦しむことになる。なぜなら、秘密の恋の気持ちを隠さなければならないから……。

マリー・アントワネット・ジョゼファ・ジャンヌ・ド・ロレーヌ・オートリッシュ

フランスとならぶヨーロッパの強国オーストリアで、女帝マリア・テレジアの第9子として生まれた。
強大な歴史の嵐の中に、その運命を投ぜられた悲劇の王妃。
少女の頃から優美でおおらかに育てられていた為か、勉強や作法、マナーなどは持ち前の愛嬌で回避し続けて遊んでばかりいた。外見の美しさと持ち前の愛嬌で全てを許されて育つ。素直で遊び好きな性格の女性。
のちに政略結婚でフランスの王妃となり、国民の税金を周りに群がる欲深い貴族に騙され豪遊に使ってしまうことから運命が変わっていく。

ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン

北欧の王国スウェーデンの高貴な家柄・上院議員の長男として生まれる。
生まれながらに莫大な資産と高い身分を持っているが、もの静かで紳士的でかつ頭脳明晰な男性。
ベルサイユ中の貴婦人たちの胸をときめかせる美しい男性。
フランス王妃とは知らず、マリー・アントワネットと出会ってしまい苦しい恋に打ちひしがれる。

アンドレ・グランディエ

オスカルの幼なじみであり、側近。ジャルジュ家の女中頭「ばあや」の孫。始めは単なる男友達のような関係だったが、身を呈して家臣(アンドレ)を守る姿勢に忠誠を誓うようになり、それが徐々に恋心へ発展していく。
オスカルとアンドレは身分が違い過ぎるため、結婚はできないという当時の常識がある。報われない恋をひたすら隠し、苦しむ事になる。公に気持ちを伝えたいが言えないという圧力が、どのように吹き出してくるのか……。

ルイ16世

19歳でフランス国王に即位。大人しく真面目で慎ましい性格。趣味は錠前造りと狩猟。マリー・アントワネットとは正反対の性格の持ち主。
初めて会った時から、マリー・アントワネットに心を奪われていたが、あまりにも美しすぎる為に気遅れをし、マリー・アントワネットと一緒に過ごす事が少なかった。
現代で言うならば「オタク」であっただろうと思われる。

女帝マリア・テレジア

オーストリアの女帝。マリー・アントワネットの母親。若くしてフランス王妃になるマリー・アントワネットの身を案じ、王妃になる「心得書」を書いて持たせるほど、持ち前の性格が災いして王妃らしからぬ行為をする事を心配していた。

ロザリー・ラ・モリエール

貧しい町娘。しかし没落した貴族バロア家の末裔。バロア家は当時のブルボン王家にまさるともおとらない王家の血筋である。バロア家最後の当主サン・レミー男爵と貴族マルティーヌ・ガブリエルとの秘密の恋の結果生まれた子供。当時女中だったラ・モリエールに引き取られた。心優しく、おしとやかで生まれながらに気品のある娘。
あまりにもまずしく、身売りをしようと貴族の馬車に近づくが……。

ジャンヌ・ラ・モリエール

ロザリーの姉。女中ラ・モリエールとバロア家サン・レミー男爵との間に生まれた子供。
ラ・モリエールにロザリーと姉妹として育てられる。
貧しい暮らしを捨て、母親やロザリーを見捨てて貴族を騙し貴族社会へ入る。欲望に心を奪われ、どんな手を使ってでも王妃のような贅沢な暮らしをすることを誓う。
強欲でずるい性格。最後まで嘘をつき、人を陥れていく。

気品があり、優しく気取らない天使のような雰囲気の持ち主。マリー・アントワネットのお気に入りとして10数年に渡りベルサイユに君臨する事になる。
裏では色々な過去がある。

あくまでもフィクション

オスカル、アンドレ、ロザリー、ジャンヌは池田理代子によって生み出された架空の人物である。
しかし、このキャラクター達がいるからこそ、『ベルサイユのばら』は盛り上がっていくのである。

マリー・アントワネットとフェルゼン、オスカルとアンドレの許されざる恋、欲望渦巻く貴族社会、憎悪が増大するパリ市内、同性愛的表現、戦争、処刑、死など、ドラマティックな事が次から次へと起こるのだ。
こういった要素が今でも女性たちを惹きつける要因ではないかと考える。


決して美しく、麗しいだけの物語ではない『ベルサイユのばら』。
まだ読んだことの無い人は、ぜひ読んでみて欲しい。

◆公式サイト

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