巨大な駅を舞台に、人への思いやりや優しさ描くヒューマンドラマ。主人公の一人である中村洋二は、JL(ジャパンライン)新新宿駅0番窓口で見張り役をしている。毎日無表情に改札を通過する人の波に、気持ちの良い笑顔と元気な挨拶をふりまく洋二。しかし、彼はその持ち前の親切心からいつも騒ぎを引き起こしてしまう。1995年テレビドラマ化。
現実の新宿駅に限りなく近い新新宿駅を舞台に、そこで働く駅員たちの奮闘が描かれる。主人公の1人である中村洋二が駅員になった当時は、自動改札が導入される前。乗車切符に、「パンチ」と呼ばれる駅ごとに独自の切り込みを入れるハサミを使っていた。自動改札しか利用したことのない若い世代には想像しにくいだろうが、駅の改札では必ず駅員が乗車切符をパンチで切り、そして降車する駅で切符を回収していた。そんな時代から駅員として働き、乗客との触れ合いを大切に思う洋二の姿が、単なるノスタルジーではなく駅で巻き起こる様々なドラマへの深味を与えている。
地下鉄の駅を舞台にした鉄道マンたちコメディ漫画。主人公の潮見と月島は、東京都通交局の新入社員。とある地下鉄の駅員として採用された。しかし、電車に全く興味のない潮見とディープな鉄道オタクの月島は、予想以上のキワモノだった。彼らの言動や行動に、先輩駅員の佃さんもきりきり舞いの日々。個性的な駅員たちがドタバタコメディを繰り広げる。
鉄道会社に就職する人は鉄道オタクであることが多いが、主人公の2人は一般的なオタクとは一線を画している。大学で建築を学び入社した潮見が興味を持つのは、駅の漏水対策と地下鉄駅の構造のみ。鉄道愛を語る先輩に向かって、電車に全く興味がないと言って憚らない。一方の月島は、類を見ない程の鉄道好き。ただし、なぜかその方向が性的嗜好と密接に関係している。ベテラン駅員の佃さんも鉄道オタクだが、こちらは常識的な範囲で鉄道への愛を語る人だ。地下鉄の駅で起きる日常的な出来事が、駅員たちのドタバタ劇で笑いへと変わり、電車好きであればより楽しめるコメディ作品だ。
ライトノベルを原作としたコミカライズで、ハートフルな異世界ファンタジー。名古屋行きの特急列車に乗ったところ「異世界の駅」に転生し、駅長代理と駅の喫茶店マスターを任されることになった主人公のクロガネタクミ。なぜか猫化してしまったお嫁さんのニャーチと共に、駅を訪れる異世界人の心を魅惑の「駅メシ」でおもてなしする。
異世界を走る鉄道「ローゼス=ハーバー線」の終着駅、「ハーバータウン駅」に迷いついたタクミ。普通は途方に暮れるところだが、駅長の好意によりハーバータウン駅で仕事を得て、1年後には駅長代理を任されるまでに出世したところから物語は始まる。転生する前に自分のカフェを開く夢を抱いていたタクミは、駅の待合室を改装して異世界で夢を実現する。駅員とカフェの店長と二足のわらじを履きながら、とっておきの「駅メシ」で異世界の客をもてなしていく、スローな世界観がたまらない作品だ。
とある惑星の宇宙ステーションを舞台にしたSFドラマ。主人公の神林ミランダが駅長を務めるイグナクロス零号駅。そこの駅員である菜々子那なしのは、ある日、貨物チェックで古びたコンテナを発見する。そこには大昔の大戦時に使用された、有機アンドロイドの少女が格納されていた。目覚めた少女は、新たな名を与えられ当駅で働くことになる。
惑星イグナージュ上空1万kmを周回する2本の起動リング「イグナージュリング」。その交点をつなぐ巨大宇宙ステーション「イグナクロス零号駅」が本作の舞台だ。この宇宙ステーションは、工場生産リング、居住リング、イグナージュリングとの接続用リング、そして駅本体に分かれていて、神林ミランダや菜々子那なしの、有機アンドロイドの尻子田にう子は、この駅で働いている。新たな道と希望を求めて多くの旅人たちがイグナクロス零号駅に集い、3人の駅員達と共に宇宙のロマンに溢れた物語を紡いでいく。
田舎の駅を舞台にしたヒューマンドラマ。上越新幹線で東京から1時間ちょっとの在来駅から、さらに奥、東北の第3セクター鉄道「虹湯鉄道」の終点には「迷い家」という駅がある。この駅で検修(整備)を務める堺鉄行は運転士志望だったが、駅長にして蕎麦屋店主でもある安曇正直とその一家で、家族のように暮らしながら虹湯鉄道を守っていく。
第3セクター「虹湯鉄道」の終着駅「迷い家」の駅員である鉄行と、委託の安曇駅長一家を主人公として描く群像劇だ。架空の鉄道・虹湯鉄道の主要な駅は、「虹湯」という観光地にあり、終点の「迷い家」は利用者のほとんどが数少ない地元民。観光客が訪れることは滅多にないため、この駅に訪れる人達は何か特別な思いを秘めている。その人々と鉄行や安曇駅長たちが物語が展開していく。古いディーゼル機関車の擬人化描写もあり、ファンタジー要素を含んだハートフルな作品だ。