飯嶋家の人々と様々な妖魔が紡ぎ出す不思議絵巻。主人公は、不思議な力を持つと噂された幻想小説家の飯嶋蝸牛の孫で、祖父譲りの強い霊感を持つ青年、飯嶋律(いいじまりつ)。人ならざる妖魔が見え、我流の術で異界の生き物を操っていた祖父は、自分の死後に律を守るようにと、大きな力を持つ妖魔の青嵐(あおあらし)と取引をしていた。そんな過去を背景に、飯嶋家の人々が体験する不思議な出来事を、恐怖とユーモアを絶妙にブレンドして描く人気シリーズ。
律の祖父は蝸牛(かぎゅう)というペンネームで活躍した幻想小説家だった。その作風は闇に目を凝らして見えない物を見ようとするような独特な世界観を持ち、小説を書くために妖魔と取引をしたといわれるほどだった。事実、祖父には妖魔が見え、我流の術で異界の生き物を操ることができた。その孫である律は、幼いころに魔除けのために女の子の格好をさせられて育ち、祖父と同様に人ならぬ異界の者たちが見える体質だった。律を案じた祖父は、青嵐という龍の姿をした妖魔と取引し、自分の死後に律の身を護るよう約束させた。作中では、祖父が呪術を使用していた庭の霊場や、遺品をきっかけに起きる事件をはじめ、飯嶋家を取り巻く妖たちが日常の中に巻き起こす不思議な出来事が幻想的なタッチで描かれる。
人ならざる妖(あやかし)の姿が見える青年が、祖母が残した「友人帳」をめぐる事件に巻き込まれる妖奇譚。夏目貴志(なつめたかし)には、妖が見えるという人には言えない秘密があった。夏目は強力な妖力を持っていた祖母レイコの遺品「友人帳」を手にして以来、名前を返してほしい妖怪たちや友人帳を手に入れようとする者たちから追われる。夏目の用心棒となったニャンコ先生とともに、不思議で目まぐるしい日々を送ることになる。
夏目貴志は普通の人々には見えない妖の姿が見える高校生。ある日、なぜか自分を狙う妖に追われて神社に逃げ込んだ夏目は、うっかり小さな祠の結界を破り、まねき猫の姿をした妖と出会う。ニャンコ先生と名乗ったその妖は、死んだ夏目の祖母レイコのことを知っており、彼女が遺した「友人帳」のことを夏目に教えてくれた。友人帳はレイコが妖と交わした契約書のようなもので、レイコに負けて子分になった妖怪たちの名前が書かれたものだった。ニャンコ先生は、自分が斑(まだら)と呼ばれる強力な妖であることを明かし、夏目に友人帳を渡すよう迫るが、夏目はそれを拒否。紆余曲折の末にニャンコ先生は夏目の用心棒となり、夏目は友人帳に関わる妖怪たちが巻き起こす物語へと巻き込まれていく。
妖怪を呼び寄せやすい姉妹の成長物語。妖怪が見える姉の檜原瑞生(ひばらみずき)と妖怪にとりつかれやすい体質の妹、檜原静流(ひばら しずる)のふたりが、もっけ(勿怪)と呼ばれる妖怪によって引き起こされる騒動に巻き込まれていく。瑞生と静流は、拝み屋の仕事も請け負う祖父の力を借りながら、それらの騒動をなんとか解決していくことになる。もっけや自然と、人間が共存する物語を軸に、姉妹は様々な妖怪や人々と関わり成長していく。
神社でお参りをしていた静流は突然肩に恐ろしい重さを感じ、姉の瑞生が帰宅する通学路で待っていた。巫覡(ふげき)の家系に生まれた姉妹は、幼いころから妖怪と関わりながら成長してきた。田舎へ越してきてからは静流が憑かれる回数もずいぶん減ってはきたものの、なくなったわけではない。その日静流に憑いていたのは、昔話で「うばりおん」や「おぶさりてぇ」といって背中に乗っかってくる「もっけ」だった。静流の肩にかかる重さは増す一方で、動くこともままならなくなっていく。拝み屋の祖父の力を借りようかと相談していたところ、駆けつけた先生に背負われた静流が保健室につく頃には、肩の重みは無くなっていた。瑞生はそれを「背負う」ことに力を貸したためではないかと推測するのだった。ふたりはその他にもさまざまな「もっけ」と出会い、関わっていく。
住民全員が妖怪の、「百鬼の里」に住むことになった人間の男の子の物語。事故で両親を亡くした男子高校生ユウの前に現れたのは、妖怪たちが住む「百鬼の里」の長、鵺(ぬえ)だった。自分がユウの祖父だと名乗った鵺は、ユウを百鬼の里へと引き取る。里の住人は全て妖怪で、ユウはその中で唯一の人間。妖怪たちの学校へ通うことになったユウの、非日常的な毎日を描いた作品だ。
ユウは交通事故で両親を同時に亡くし、葬儀の席で途方に暮れていた。うわべだけの笑顔を浮かべる親戚たちが施設という単語を出す中、現れたのは自分がユウの祖父だと名乗る男だった。その男に連れられて行った場所は、住民全員が妖怪という「百鬼の里」。ユウを引き取った男はこの里の長、鵺様で、何百年も前に人間の男と駆け落ちした鵺様の娘がユウのご先祖にあたる。ほんのわずかではあるがユウの中には鵺の血が流れていた。そのためその辺の妖怪には負けぬほどの強さを持っていたが、人間としての繊細さとやさしさを持つユウは、人間を食ったり、利用したりしようとする妖怪たちに狙われることも。人間好きな化け猫ミケや、事件を経て友人となった犬神らとともにユウが体験する不思議な物語が描かれている。
妖怪女子が通う「妖怪女学園(通称ばけじょ)」が舞台の4コマ学園コメディ。主人公の薬津みこ(やくつみこ)は憧れの先輩の後を追って、先輩の通う「ようかい女学園」へと入学した。胸をときめかせながら初登校を迎えたみこだが、そこは彼女が思い描いていた工学系の「溶解女学園」ではなく、人外の妖怪が通う「妖怪女学園」だということが発覚する。全ての妖怪たちが可愛らしい女子高生姿で描かれているのが特徴で、百合要素も含まれている。
主人公の薬津みこは憧れの先輩の後を追い「ようかい女学園」へと入学してきた。みこは入学式でそこが妖怪が通う「妖怪女学園」だということを知る。人間とばれたら食べられてしまうかも、と目立たないように気を使うみこ。しかし、生徒会長あいさつで檀上に現れたみこの憧れの新井あずき(あらいあずき)先輩に思い切り名前を呼ばれてしまう。あっという間に人間だとばれたみこは、妖怪女子たちから様々な相談事をもちかけられることになる。大盛況の妖怪人生相談は、あずき先輩が去年作った生徒悩み相談室と張り紙の効力だった。寮でもあずき先輩と同室になったみこの学園生活を描いたほのぼのお気楽コメディ。