図書館司書をしているヒロインが高校生の時に思わぬ展開でキスを体験した相手と再会し、住む部屋を探しているという共通点から、付き合っているわけでもないのに同居を始める恋愛未満系同居ラブストーリー。図書館に勤める柏木和華(わか)は本が大好き。半年前に彼氏と別れてから恋愛はしていないものの、仕事環境は申し分なく、今は十二分に楽しい日々を送っている。そんな和華の前にある時「この本を探しているのですが」と若い男性が現れる。彼は高校時代の同級生であり、和華のファーストキスの相手だった。
彼の名前は上条忍(かみじょうしのぶ)。高校生だった和華はその頃から本の虫で恋愛には見向きもせず、休み時間も放課後も読書三昧の日々だった。そんな和華に「柏木、何読んでんの?」と声を掛けたのが忍だった。彼に本を渡そうとして落としてしまった和華は、忍から突然キスされるも忍から「しまった」という表情をされる。その時の忍の顔が忘れられなかった和華。しかも、忍が探していた本はその一件のきっかけとなった本だった。忍は和華に「部屋を探しているので不動産屋に案内してほしい」と頼み、和華も両親の海外移住に伴い部屋を探していたと聞くと「二人で一緒に住まないか?」と提案する。困惑する和華だが、本の収納スペースの利点を最優先に考え、同居を受け入れる。谷崎潤一郎の「痴人の愛」がきっかけの接吻(キス)が巻き起こす、恋人ではない男女の同居から始まる不思議な恋愛ストーリー。
「誰でもいいから結婚したい。」恋愛に疲れたヒロインが決死の覚悟で挑んだお見合いの相手は何と「鬼の上司」だった!? ヒロインの揺れる女心を描いた社内恋愛ラブストーリー。「結婚は同棲の延長にあると思っていた」のにもかかわらず、5年という長い期間同棲していた相手から別れを切り出された優木陽菜(ゆうきはるな)は心身ともに疲れ果て、「どんな人でもいいからお見合い相手を紹介してほしい」と係長に頼み込む。ところが、お見合いの場所で待っていたのは一番苦手な上司の湯川亨(ゆかわとおる)だった。
「この話はなかったことに」と慌てて帰ろうとする陽菜を亨は「忙しい時間を割いて来たんだ」と無理やり引き留めるが、直後に亨に急な仕事の連絡が入り、陽菜は辛くもその場から解放される。「明日の夜は空けておけよ」と言い残して去った亨に陽菜は翌日、「キッパリハッキリ断ってやる!」と決意する。キツイ残業後に亨の知り合いの店に招かれた陽菜は、本能(食欲)に訴える御馳走を目の前に決意が流されそうになりながらも「上司と部下のままでいてほしい」と亨に告げる。しかし、亨から「男にフラれたんだろう」と図星を突かれ、涙を浮かべてしまう。そんな陽菜に「お前を仕事では泣かしても、外では泣かしたくない」と優しく告げる亨。意外な亨の素顔に触れた陽菜は次第に気持ちが揺らぎ始めることに気付く。揺らぐ乙女心の究極ラブストーリー。
準大手総合商社の次期社長候補と噂されているイケメンで仕事の超出来る男の「裏の顔」を知ってしまったヒロインが、その男の部署に強制的に異動させられてしまう、ソフトSM系社内恋愛。小泉一花(いちか)の勤務する商社には、お金持ちでイケメンで仕事が出来て人柄も良いと評判の「神王子」こと北大路篤人(きたおおじあつひと)という人物がいる。若くして会社のエースの座を占める彼に社内の女子たちはメロメロ。ところが、篤人には誰にも見せない裏の顔があった。
上司に頼まれ篤人の所属する海外事業部に書類を届けに行った一花は、篤人が秘書部の美人社員から告白される場面に遭遇する。ずっと好きだったと彼女から告げられた篤人は「光栄だな。でも、すまない。今は仕事のことしか考えられないんだ」とやんわりと断る。「あなたのような魅力的な人と付き合えないのは残念だ」と言って、彼女のプレゼントは辞退するも、連絡先のメモだけ受け取る篤人の、相手を傷つけない「神対応」に「さすが王子」と納得する一花。しかし、彼女が去った途端、そのメモを躊躇なく破ってゴミ箱に捨てた篤人の余りの変貌ぶりにショックを受ける。「困ったものを見られたな」と、一花を見つけていきなりSの顔になった篤人は、逃げようとする一花に「口止めだ」と無理やりキスをする。表向きは誰にでも優しい神王子のS顔に、ヒロイン孤軍奮闘の困惑ラブストーリー。
姉の身代わりに婚約者となったヒロインが、就職先の社長と、昼間は社長と秘書、夜は婚約関係という二つの関係の間で揺れる秘密恋愛系社内ロマンティックコメディ。もう後がない状況だった就活で老舗の不動産会社「柊(ひいらぎ)グループ」の最終面接に臨んだ小山内桜(おさないさくら)は、採用内定を受け取りホッとしたのも束の間、家出してきた姉の椿がアパートに飛び込んでくる。婚約者がいながら他に好きな人が出来た椿は、海外に行く彼を追いかけようとしているという。桜は姉を海外に送り出し、帰途に就くと、彼女の前にポルシェに乗った男性が現れる。
桜を待っていたその男性は、桜の就職する会社の若社長である柊蒼介(そうすけ)だった。「まさか、内定取り消し?」と慌てる桜に「僕は椿さんの婚約者だから」と告げる蒼介。「とにかく車に乗って」と促された桜は高級ブティックに連れて行かれ、高価なドレスと靴、アクセサリーを身につけさせられる。蒼介の行きつけの店にはドレスコードがあり、スエット姿だった桜は店に入ることが出来なかったのだ。その店で蒼介から「柊家にとって、小山内家の娘なら誰でもよかった」と告げられた桜は、姉を守るために「私が婚約者になる」と宣言する。その場をしのげればいいと簡単に考えていた桜だったが、蒼介から「僕の子供を産んでほしい」と突然キスされ、心が乱れ始める。甘いキスから始まった危うい秘密恋愛ストーリー。
パッと見は紳士的で優しく、仕事が出来る男の真の姿は「驚愕の超ドS男」だった!! そんなドS男にロックオンされてしまったヒロインを描いた表題作『Sだけじゃたりない』他、別の女の子たちとの噂が絶えない男に、3ヶ月で別れを告げた後もずっと付きまとわれるヒロインがその男の一挙一動に戸惑い、心揺れる様を描いた『甘い秘密は暴かれる』と、『オトナノハジメテ。』、『誘うバニラは蜜の味』、『溺れる吐息に甘い罠』の5編からなる恋愛短編集。
海外営業部に所属する瀬戸理衣子(せとりいこ)は、1週間前に同じ部署の葉山から「真面目に付き合いたい」と告白を受けていた。「フランス出張から帰ったら、返事を聞かせてほしい」と言われた理衣子は、切れ者で社内女子の憧れの的である葉山を射止めたことで嫉妬の目を向けられていた。そんな理衣子に元カレの斎潤平(いつきじゅんぺい)が再び接近してくる。理衣子と潤平はかつて恋人同士だったが、女好きで狡い性格の潤平に耐えられず理衣子の方から別れを告げたのだ。「付き合ったあの3ヶ月は二人だけのヒミツ」として、潤平と距離を取ろうとするも戸惑いを隠せない理衣子に、思わせぶりな表情で「これからもヒミツは守るよ」と語る潤平。果たして、二人の間のヒミツとは?