故郷を訪れた数学者の老人が、数学に関して独創的かつ天才的資質を持つ主人公の少年と出会い、彼を一流の数学者へと育てることで失くした情熱を蘇らせていくヒューマンドラマ。島イベントのゲストとして講演の依頼を受け、故郷である米作島(よねさくじま)へやってきた数学者の内田豊だったが、島の人々といえば彼の講演には一切耳を傾けず、皆ガラポンや着ぐるみに夢中。彼らの態度に業を煮やした内田は予定を早めて帰途に就こうとするが、その日の船便は既に出た後だった。
内田には分かっていた。元々数学とは若者の学問で、自分のような老人にはもう新しい数式の発見など無理だということが。「自分はもう数学者とは言えない」と悟った内田は、夜道を彷徨い歩いた。その足がたどり着いた先は、半世紀前に中学生だった彼が夢中で新しい数学の公式を考えていた学び舎だった。内田は壁に書いていた自分の解けなかった数式がすでに完成していることを見て驚愕する。明け方、内田は校庭で一人の少年が独自の記号を使って数学の公式を組み立てているのを見つける。少年は関口ハジメ、島の自然に育まれた数学の世界観を持つ天才少年だった。ちなみにタイトルにある「アルゴリズム」とは、コンピューターの計算方式のことでもあるが、物事を迅速に効率よく行うための「やり方」を意味する。
理学部数学科に通う仲良し数学女子たちが巻き起こすコミカルな日常を描いた4コマギャグ漫画。大学の数学科に通う内山まなは計算問題は得意だが、証明問題に少々難ありだった。キャンパスライフを満喫したいまなだが、数学科は大学の中でも変わり者が多く、施設も古い。それゆえ他学科の女子からは奇異の目で見られているが、同学年の女子4人はとっても仲良しで、お互い励まし合いながら自分たちの夢に向かって進んでいく。
巨乳美女の坂崎ゆみは高校教師志望、淵上さえこはパチンコが大好きなサバサバ系、酒井ともはミステリーマニアでパソコンオタクと、まな以外の数学女子3人も非常に個性的。しかしながら、彼女たちを教える教授陣も「後ろの席の人、声が聞こえなかったら手を挙げてください」と真面目に聞いてくるなど、これまた超ユニークな個性派ぞろいである。作者自身も数学科出身だけあって、作中には他の学科では想像し難いエピソードも数多く描かれている。例えば「数学は見えないものを見る学問だから」と、普通の人には見えないモノを見ようとするという意味で宙を見てしまう奇天烈な感覚や、女子率が少ないことから一妻多夫制を主張する数学科の存在など、数学女子ならではの「アルアルうん蓄」満載で、ギャグ漫画でありながらも非常に奥深い一面を持つ。
義務教育から数学を削られてしまった日本で、それに憤慨した数学者が結成したテロ組織に立ち向かう中学生の活躍を描いたミステリー漫画。心理学の権威者による「少年犯罪が急増したのは義務教育における数学が理由」との論文が発表され、これにより危機感を抱いた文部科学省は義務教育のカリキュラムを一新。結果、数学は義務教育から消えることになった。これに反発した数学者の高木源一郎(ドクター・ピタゴラス)はネット上で「日本国民全員を人質にする」と宣戦布告する。
「心を伸ばす教科」として道徳や音楽、美術が重視された一方で、物事を数値化し、事実だけを重んじる理系科目の数学は他人を思いやる気持ちや人間性を否定する教科として排除された。このカリキュラムが実施された1年後、高木は「黒い三角定規」と名乗るテロ組織を結成。全国の高等学校で使われていた高木の数学ソフトには「予備催眠」が組み込まれており「自分が送った信号で人を操り、殺人が行える」とネット動画で宣言する。ところが、特別対策本部の立った警視庁には事件解決の鍵となる「数学」に関する適任者がおらず、浜村渚という中学2年の女子に白羽の矢が立つ。幼すぎて頼りない容貌の渚に周囲は怪訝な表情を示すが、彼女はナンバープレイス(数独)のマス目を頭の中でイメージして全て計算出来る、数学に関しては「とてつもない天才」だったのだ。
和算家の父親の手ほどきを受けて算術家となった主人公の娘が、ひょんなことから出会った奉行所の同心と二人で江戸の町に次々と起こる難事件を解決していくお江戸推理絵巻。南町奉行所同心の深井転(うたた)がのんびり田楽を食べていると、若い男が飛んできて「鳳神社で町娘と侍が喧嘩をしている」と仲裁を頼まれる。転が嫌々神社を訪れると、若い娘が旗本の侍相手に、円の面積の出し方をめぐって口論を繰り広げている最中だった。
その神社の絵馬堂には、算術好きが解いた問題を額にしたものが数多く奉納されていた。二人の喧嘩の発端は、侍が「円率(円周率)は我が流派の秘。これを使わなければ面積を求めることは出来ない」と自慢したのに対し、娘が「円率がなくても面積は出せる」と反論したことだった。そして、息巻く侍に、娘は扇を使って見事に証明してみせる。「わしを愚弄するのか」と侍が激怒したところに転が上手く割って入り、その場は何とか収まった。「自分は算術家の米倉律(よねくらりつ)だ」と名乗るこの鼻っ柱の強い娘と二度と関わらないと誓った転だったが、翌日にその侍が何者かに殺される。その上、神社で死体を発見したのは律だった。転は御奉行の命で律の容疑を晴らすべく、律と二人で事件解決に乗り出す羽目になる。
超名門校に通っている数学エリートの主人公が伝統ある高校の名に泥を塗ったという理由で退学になるが、数学で培ったスキルで新たに料理人としての道を切り開いていく数学料理人系青春ヒューマンドラマ漫画。将来の数学者を夢見て、数学オリンピックの選考会に学校代表として参加した北田岳(がく)だったが、周囲の数学に懸ける闘争心の壮絶さに違和感を抱き、予選の解答用紙を白紙で出してしまう。岳がとった行動に理事長は激怒し、トップ成績である彼の特待生待遇を撤回する。
特待生でなくなった岳は奨学金で授業料を払うが、親に負担を掛けぬよう学内の食堂でアルバイトを始める。岳の成績の凄さを知っていたアルバイト仲間の魚見亜由(あゆ)は家庭教師を勧めるが、彼は「自分は教えることに向いてない」と彼女の申し出を断る。ケチャップを頭につけたまま賄いのナポリタンを作る岳に亜由は「かわったやつ」と呆れるが、そのナポリタンの美味しさに度肝を抜かれる。その時、厨房をじっと見つめていたもう一人の若い男性の姿が。その男性とは若き天才シェフの朝倉海(かい)。彼は岳の賄いであるナポリタンを横取りして食べ、一言「何度?」と尋ねる。「45度」と答えた岳に満面の笑顔の海。不思議な問答で通じ合った、この時の出会いが岳の運命を大きく変えていく。タイトルの元となっている「フェルマーの最終定理」だが、数学者フェルマーの問題提起から解決までおよそ360年の月日を要した「数学史上最も難しい問題」として有名な定理である。