コスプレ×ラブコメ特集！オススメ漫画５選41 Pt.

かつてオタクは、世間からの偏見などで肩身が狭い思いをしていたが、昨今ではオタクであることを隠さずサークル活動を謳歌し、恋人同士でオタク活動をするリア充も存在しているのだ。巫女は、大学のオタクサークルに所属しているコスプレイヤー。個人でイベントに参加するのはもちろんのこと、雑誌にも掲載されるほどの人気で、神レイヤー（コスプレが上手い人間の俗称）として広く知られていた。当然サークルの中心人物で、おおよその事柄は彼女の思い通りに進む。男性の多いオタクサークルの中で、数少ない女性のことを「オタサーの姫」と称するが、巫女の場合は通常のそれとは少々違う。サークルカーストの上位に君臨する、文字通りの姫なのだ。無理難題を押し付けてくるなど、自己中心的なところも目立つ巫女だが、つい許してしまうのはその容姿ゆえだろうか。二次元から飛び出してきたようなコスプレ姿は、オタクでなくとも魅力を感じざるには得ないだろう。

コスプレ衣装は市販されているものもあるが、多くのコスプレイヤーは自作をしている。洋服はもちろんのこと、装飾品や武器などの小物も自作したりと、そのクオリティは素人の域を超えているものも。器用なら自作できるのに、と涙をのんだ不器用レイヤーもいることだろう。海夢はまさにそのタイプである。まずミシンが使えない。下糸の存在も知らず、縫い合わせてもまともな服の形状を成していないというありさま。そもそも洋服を作るノウハウがまったくないので、海夢作の衣装はただ端を縫っただけのワンピースのようである。理想とするゴスロリ系の衣装からは程遠い。しかし、推しの衣装を着たい、衣装を着て愛を表現したいという心意気は十分だ。苦手ながらも衣装作りに挑んでいたという心意気だけで、賞賛に値する。海夢はとても素直な性格で、好きなものは好きだとはっきり口にしてしまう。そんな海夢が着るからこそ、コスプレ衣装も輝いて見えるのだろう。好きという気持ちは偉大である。

オタクはオタクであることを隠して生活している。特に周囲がオタクへの理解がない場合、趣味の話は禁句、日曜日の予定を正直に話すなどもってのほか。律のように、趣味に没頭している自分こそが本当の自分といった場合、オタバレ＝精神的な死を意味する。しかし、バレた相手の風見は実は「リリカ」を愛する同志だった。彼は律のコスプレ見たさに同居を申し出、最終的に律は応諾する。律は憧れの存在になりきることでストレスを発散させていたが、風見は憧れの存在が目の前にいるということに、喜びを見出している。律は普段はクールで、愛想がよいタイプではない。だからこそ、リリカのコスプレをしている時のなりきりっぷりは徹底しているのだ。憧れの存在と同じ格好をするだけでなく、そのものになりきることで、律の心は救われてきたのだといえる。同居中、家では律は日々コスプレ姿でいる。すぐそばに2.5次元の推しがいるとか、風見はさぞ楽しいだろうな、と羨ましくなる。

同人誌即売会にコスプレイヤーは外せない。イベントによってはコスプレイヤー専用の広場を設けられているが、コスプレをしながらサークルの販売員、いわゆる売り子を行う場合がある。乃ノ香とユウトの関係は、ユウトのサークルの売り子を乃ノ香に依頼したところから始まった。乃ノ香がユウトの自宅にいたのは、イベントの打ち上げで酔ってしまったユウトを送り届けたからだ。素肌を覆う面積の少ない衣装を着た乃ノ香は、会話の中で自分はまだ14歳であると漏らした。それこそがユウトが知らなかった乃ノ香の事実であり、ユウトのイラストレーター生命を危機に陥らせる事案だった。もし事情を知らない人間がその場にいれば、ユウトが責められるに違いない。ユウトが乃ノ香の年齢を見誤った理由は、彼女の容姿にある。成長目ざましい肉体は一見すると14歳には見えず、コスプレ姿だと尚更年齢の真実に気がつきにくい。しかも14歳と分かっていても、コスプレの際にユウトのフェチポイントであるへそが見えてしまうため、乃ノ香は作中でへそに重点を置いて描かれることが多い。新たな嗜好に目覚めさせる、それもコスプレの力なのかもしれない。

二次元が立体化するわけがないじゃないかと考えている読者に言いたい。コスプレの力により、推しは立体化できる! と。推しが立って歩いているという感動を味わった人間であれば、るうなのコスプレを見た時の東吾に共感できるだろう。東吾の場合、ずっと平面のるうなを追いかけてきたのだから、その衝撃は計り知れない。我を忘れるレベルであるが、それを人は一目惚れというのだろう。本人に自覚は全くないわけだが。ゆらはコスプレをしているが、オタク女子ではない。気は強いが、好きな男子の前では緊張してろくに話せないなど、女の子らしい一面も見せる。東吾は特にリアルの女性に対して、少々当たりがキツいが、ゆらとはコスプレ姿はともかく、初対面での印象が良くなかったこともあり、素直になれない面もあるのだろう。素直な感情を吐露したゆらには優しいところも見せる。コスプレをきっかけに始まった恋はどうなるのか。ペンライトを振りながら、恋の行方を見守りたい。