鷹と人が一体となり獲物を狩る鷹狩りのリアルを鷹匠のごまきちが自ら描くコミックエッセイ。鷹狩り歴15年の女性鷹匠・ごまきちが、「師匠」という名のオオタカやハヤブサのドン子、犬のミラを相棒に、獲物を狩り、美味しくいただく狩猟ライフを描く。意外と繊細な生き物である鷹との暮らしぶりや、駆られる側の野鳥たちとの知恵比べとなる猟の様子はもちろん、長い歴史を持つ鷹匠の伝統や技法も紹介。鷹狩りを通じて出会う様々な動物も登場し、自然について学べる。
鷹狩りとは、訓練したオオタカやイヌワシといった猛禽類を野に放って行う狩猟のこと。時代劇でお殿様が鷹狩りに行くシーンを見たことがある人もいるだろう。鷹匠は鷹にトレーニングを施し、鷹が獲物を狩るのをサポートする役目をになう。狩りを行う際は、鷹匠は鷹の止まり木となり、いざ鷹が狙いを定めて飛び立つ時、助走をつけるようにして送り出す。羽合せ(あわせ)と呼ばれるこの技法は、人がカタパルトの役目をはたすようなもの。鷹と人が一体になる瞬間といえるだろう。しかし、狩りを行う田んぼや河原で、散歩中の犬に寄ってこられたり、獲物のキジに迫る師匠がフェンスに激突してしまったりと、時代劇の中とは違う、現代の鷹狩りと鷹匠の暮らしぶりがリアルに描かれる。
家の畑を守るため「わな猟免許」を取得した農家の女子高生の日常を描くほのぼの罠猟漫画。とある田舎町で暮らす女子高生・朝比奈千代丸は、家の農作物を野生動物に荒らされるのを防ぐために、18歳にしてわな猟免許を所持している。ある日、幼馴染みの同級生・昼間レモンの家の畑のホウレンソウが、イノシシによって食い荒らされてしまう。レモンに泣きつかれた千代丸は、イノシシを捕獲するため、罠をしかけることになる。
主人公の千代丸が行うのは、罠を使って動物を捕獲する罠猟。猟銃等を用いないとはいえ、動物を捕獲するには狩猟免許が必要だ。家が農家をやっている千代丸は、イノシシやシカなどの野生動物に畑を荒らされる被害を食い止めるため、自らわな猟免許を取得。罠というと手軽な感じがするが、ただ装置をしかければいいわけではない。レモンのために罠をしかけることにした千代丸がまずしたのは、イノシシが通る獣道を探すこと。そして自作した「くくり罠」を獣道にセットした後は、おびき寄せるために周辺に餌をまく。さらには日々罠を見回り、獲物がかかるまで周囲の様子を観察して微調整を行うのだ。動物の生態や習性を利用する罠猟は、動物との究極の知恵比べなのだ。
ジビエ料理の美味しさに感激した人妻が狩猟と料理法のノウハウを求めて奮闘する狩猟グルメコミック。美味しい食べ物が好きな人妻・秋野恵は、参加者がお金を出し合いジビエ(野生動物の肉)を分け合うジビエシェアリングに参加する。そこで初めて食べたアナグマのジビエのあまりの美味しさに感激。美味しいジビエのため、癖が強すぎる猟師・育時野伊郎世(いくじの いろうぜ)の指導にもめげずに猟に出る姿をコメディタッチで描く。
アナグマ、鹿、山鳥、イノシシといった野生動物を食べるジビエ料理。一般家庭の食卓には馴染みが薄いが、その味は食べた者を虜にするという。本作の主人公・恵もその虜になった一人。恵はジビエシェアリングで初めて食べたアナグマの脂ののった肉の美味しさに驚愕。実はアナグマは知る人ぞ知る美味しいジビエなのだ。アナグマによってジビエ料理に開眼してしまった恵は美味しいジビエのため、全くのド素人から狩猟の世界にずぶずぶと足を踏み入れていくことになる。皮はぎや解体、美味しく食べるための下処理といった料理法の習得にとどまらず、ついには猟銃を手に入れ、狩猟者登録までしてしまう。ジビエ料理と狩猟の基本ノウハウがたっぷりつまった作品だ。
北海道を舞台にエゾヒグマを狙う女性猟師の孤独な戦いを描く本格狩猟漫画。駆け出しのルポライター・伊藤一輝(かずき)は、話題になりそうな取材対象を探して、若い女性ながら単独でエゾヒグマをしとめたという猟師・小坂チアキに辿りつく。同行取材を申し込もうと北海道に住むチアキを訪ねていくが、待ち合わせをすっぽかされてしまう。前日から猟に出ていたチアキは、エゾヒグマの痕跡に遭遇し大興奮。獲物を追うことに夢中になっていたのだ。
日本に生息する陸上生物としては最大といわれるエゾヒグマ。エゾヒグマを撃つために、チアキは愛用のライフルを担いでたった一人で山野に分け入っていくのだ。本作では、チアキの熊撃ちに同行取材する伊藤の目を通して、狩猟というものを克明に描いていく。チアキによるとエゾヒグマは、人に対して好戦的な生き物ではなく、人間の気配を感じると怖がって逃げる傾向にあるという。しかし、人と出くわすとエゾヒグマは興奮状態に陥る。エゾヒグマと近距離で鉢合わせてしまうということは、人とは比べものにならない力によって殺されることを意味するのだ。狩猟の中でも最も危険な部類に入る熊撃ちに執着し、のめり込んでいくチアキの姿を伊藤は追っていく。
銛を使った魚突き猟が趣味の女子高生が、美味しい魚を獲って食べるアウトドアグルメ漫画。高校1年生の岩國夏子は、銛を使って魚を獲るのが趣味だ。ある週末、父と一緒に海に魚突きに訪れていた夏子は、姉と一緒に海キャンプに来ていた庄内秋子と出会う。料理が得意な秋子は、夏子たちが獲った魚を美味しく調理してくれることに。実は秋子は、夏子と同じ高校の生徒だった。仲良くなるにつれ、2人はバディを組み、共に魚突きをするようになる。
海に潜り、銛を使って魚を突く。魚突きは非常に原始的かつワイルドなスタイルの漁だ。そんなワイルドな漁を趣味にしているのが、本作の主人公・夏子。もともとは父の影響でダイビングをしていた夏子だったが、なぜか魚突きにどハマり。夏子によると魚突きが好きなのは「血が沸く」からなんだとか。一方、キャンプ女子の秋子は、姉の影響で始めたキャンプにハマり、今では何でもアウトドアで美味しく料理してしまえる腕前にまで成長していた。夏子が海で獲ったカワハギやメバルといった魚も鮮やかな手さばきでカルパッチョや煮つけに変身させてみせるのだった。ワクワクするような突き漁と美味しい魚料理で、友情を深めていく2人の姿が微笑ましい作品だ。