オードリーは人間の言葉を話せるネコ。
いつから人の言葉が話せるようになったのかは全然覚えてない。人の言葉が話せるとはいえ、オードリーはネコなのだ。
アタマの記憶容量はそんなに多くはないのだが。
オードリーの大好きなご主人様の頼ちゃんは、おじいちゃんが開いていた食堂を受け継ぎ、頑張って切り盛りしている好青年。幼馴染の浦島ヒカリは、参道の土産物屋の女の子。とっても鈍い頼ちゃんは、ヒカリちゃんが自分に好意を寄せてくれているのに全く気付いていなかったりする。
「頼ちゃんは鈍感だからなぁ。」
そんな時こそ、オードリーの出番。大好きな頼ちゃんの幸せのために、頑張るのだ。
恋に、商売に、厄払いに、オードリーが大活躍する物語。
ねこぱんちにて連載中、コミックは最新9巻まで発売。
見どころは、ネコとヒトの心温まるハートフルストーリー。
オードリー達の住んでいる江の島は、全国的に有名な観光地。いつも大勢の人たちが訪れる。中には色々と問題を抱えた人たちも……。
そんな時も、オードリーが大活躍。みんなのお悩みを解決するために、或いは自分の平穏な生活を取り戻すためにオードリーは今日も精一杯頑張るのだ。
それにしても、人間って本当に色々な問題を抱えているものなんですね。ネコのオードリーから見たら、人間って本当に複雑でめんどくさい生き物かもしれません。
ちょっと間抜けで、いつも頑張るネコの話かな、と思いきや、実はオードリーには深く、因縁深い歴史がある。
もちろんそんな因縁なんて、ネコアタマのオードリーは全然覚えてないのだが・・・・・・。
でもその因縁の影響で、やがてオードリーは様々な運命の渦に巻き込まれていく。
やがてソレはやってくる。
ソレが来たら家族として迎え入れ大事にする事。
それはわが一族を助け見守る善きものである。
オードリーは、そして頼ちゃんたちはいったいどうなってしまうのだろうか。
単なる面白いおしゃべりネコだと思われていた“オードリー”だが、実は長い時を生き続ける化け猫だったことが判明したのだ。ネコの身で不老不死の力を手に入れたオードリー。その小さなアタマでは、長く生き続けるうえで貯まり続ける記憶を処理することができなくなっていた。
原初の始まりである“カタバミ”という名前であった時の記憶。そして、現代の記憶である頼ちゃんの飼いネコであるという記憶。このどちらかを選ばなければならない。
実は今までも、このような症状が出ることがあり、その度に神様に直してもらっていたのだが、それはあくまでも対処療法。確実に解決する為、究極の選択を迫られる。
カタバミであったころの記憶を留め、過去の記憶のなかで生きるか、オードリーとして現代で頼ちゃんとともに生きるか。
オードリーはどちらを選ぶのだろうか。
花魁、正助さんとの思い出。
そして、現代に生きる頼ちゃんの元へ戻りたいという思い。ネコの頭では抱えきれない記憶のどちらかを選ばなければならない。
ネコであろうと人であろうと記憶を、思い出を選択するなんて、簡単に出来る訳がないだろう。
でも決断しなければ、ずっと過去の記憶の中で生き続け、一生目を覚ますことはないかもしれない。
人生、いや猫生のなかで最も重要な、そして最も悲しい選択を迫られているのだ。
過去編は3巻の19話から9巻74話までの計55話を過去編に費やしたことになる。これは岡井ハルコも想定外だった模様。当初は3話くらいで終わらせるつもりが、あれよあれよと9巻まで続く事になってしまったそうだ。
終わってみればこの過去編は、オードリーにとって「語る必要がある物語」だったことが解ると思う。
75話以降は、いつものまぬけでおバカなオードリーが戻ってくる。
たくさん笑って、泣けるネコマンガ『江の島ワイキキ食堂』。絶対にオススメなので、ぜひ読んでみてほしい。