可愛い? 強い? 読んで楽しい動物マンガ!!114 Pt.

動物マンガと言ってもいろいろな種類がある。今流行の擬人化から飼育員とのふれあいを描いた正統派まで様々だ。その中でも選りすぐりのマンガをご紹介。

動物の世界は常に弱肉強食である。動物しかいないこの世界に人間の赤ん坊である「タロウザ」が現れた。弱肉強食の世界で生きる術を知らない赤ん坊の「タロウザ」は実の親に捨てられ、生きる意志を失っていたが、タヌキの「モノコ」や他のタヌキ達の頑張り、優しさにより生きることを選択する。そして元気に育ってゆく「タロウザ」には他の動物には無い特殊な能力が備わっていたのだ。誰もが一度は憧れたことがあるであろう、全ての動物と話が出来る能力である。しかし、言葉が分かってしまう故に食べられる草食動物の悲鳴まで理解できてしまうという部分は非常に辛いものがある。「タロウザ」をとおし、動物視点で描かれる世界観が魅力であり、生きることの厳しさや喜びを学べる作品である。

動物園や身近なペットだけが生き物の舞台ではない。このマンガは『鋼の錬金術師』の生みの親である「荒川 弘」が送る北海道の農業高等学校が舞台の学園マンガだ。可愛がられるだけが動物ではない。農業高等学校では畜産や酪農といった技術を学ぶ者もいれば、獣医師を目指す者もいる。そしてそこで育てられる動物たちはいずれ食肉に加工されてしまう運命にある。主人公の「八軒勇吾」はそんな動物たちに対し「割り切れない思い」を抱えながらも学校で様々なことを学んでいく。酪農と畑作農業の経験者である作者の実体験が微細かつリアルにこの作品に活かされており、普段我々が口にしている食材がどのような過程で食卓へ運ばれてくるのか知ることができる。尊い命と命を頂いているという深い学びを得られる作品だ。

この作品は、主人公のラッコである「ぼのぼの」が、友達の「シマリスくん」と「アライグマくん」と共にたくさんの場所に行き、多くのことに挑戦して、いっぱいの動物たちと出会っていく物語。子供が読むと癒される可愛いマンガではあるが、大人が読むと実に哲学的であり、類を見ない魅力を持つ作品である。彼らの会話を読み込んでいくと様々なことにハッと気づかされる。悩んでいる時、何か壁にぶつかった時、肩の力を抜いて『ぼのぼの』を手にとってみては如何だろうか。何かヒントを得られるかもしれない。