2005年から現在も続く人気のヤクザ組織への潜入捜査漫画。菊川玲二は谷袋署百観音前交番に勤務する警察官で、揺ぎない正義感を持った熱い男だ。玲二は、まっすぐ過ぎるがゆえにやり過ぎることもある。ある日、玲二は署長から呼び出しを受け懲戒免職勧告が飛び出すが、それは表向きの話。本当の目的は、モグラ(潜入捜査官)となりヤクザ組織に潜入することだった。
主人公である玲二は、直情的で考えが浅く度々ピンチを招くことがある。だがそのたびに、丈夫な肉体、強靱な精神力、そして人並み外れた洞察力、持って生まれた幸運でピンチを回避してゆく。二面性のあるおかしなヤクザ(潜入捜査官)である。そして、玲二の兄貴分となる日浦匡也も非常に個性的だ。「クレイジーパピヨン」の異名を持つ匡也は、任侠道を重んじている残忍なヤクザ。その一方で、蝶柄のシャツに、キッチリ決まった髪型と、他のヤクザとは一線を画す奇抜な雰囲気をまとっている。両者共に非常に魅力的な、ちょっとおかしなヤクザだ。
猟奇的な殺し屋とヤクザの抗争を描くバイオレンスヤクザ漫画。元いじめられっ子のイチは、ヤクザの組を破門された「はぐれ者グループ」を率いる“ジジイ”に目を付けられ、殺し屋となる。ジジイは妄想癖があり凄腕の殺し屋となったイチを使い、安生組の組長を殺し金庫の3億円を強奪。安住組の若頭である垣原雅雄は犯人探しに奔走し、イチを追い詰める。
主人公イチの性癖をサディスティックとするなら、敵となる若頭の垣原は正反対のマゾヒスティックなちょっとおかしなヤクザである。拷問でできた額の傷、裂けている口をピアスで止め、耳はもちろん眉や性器にも多くのピアスが入っていて、「ピアスのマー坊」という異名を持つ。サディスティックな一面もあり、舎弟のミスの落とし前として、常に所持しているニードルで性器にピアスを開けたりもする。その性癖からイチを追いかける動機にも変化が現れる真性の変態ともいえる、ちょっとおかしなヤクザだ。
漫画の世界に憧れた青年の物語を描く青春ラブコメディ漫画。伊藤熱は少女マンガが大好きな男の子。とあるマンガのヒロイン・杏に恋をした熱は、聖地巡礼のごとくその作品を描くマンガ家の先生・風岡翔のところに押しかけてしまう。だが、翔の正体は、なんと極道の親分。さらに、恋焦がれていた作中のヒロイン杏は、実在の女子中学生だった。
立原あゆみの代表作であるヤクザ漫画「本気!」の主人公と、本作に登場するマンガ家先生兼親分の風岡翔は同性同名。マンガ家と極道を両立していることからパラレルワールドと思われる。人気少女漫画家である翔は、風間組の組長でもあり、アシスタントは組員である。彼らの本職がマンガ家なのか極道なのか判らないが、マンガ業の作業をしているときでもその仕草は乱暴で粗野。ものの考え方や言葉使いや行動などもヤクザ的に見える。そんなどこから見てもアレな人達が、少女漫画を書いている状況こそが、ちょっとおかしなヤクザであり本作の魅力だ。
コメディとハードボイルドを融合した大人気ヤクザ漫画。関東最大の暴力団である新鮮組の総長が射殺され、息子の近藤静也が跡目を継いだ。静也は同僚の秋野明美に思いを寄せる弱小ランジェリー会社のデザイナー。昼間は冴えないサラリーマン、夜はヤクザの大親分、2つの顔を持つ男の波瀾万丈な日々が幕を開ける。
新撰組という巨大ヤクザ組織の頂点に立つ近藤静也が、女性のパンツのデザイナーという不思議な取り合わせ。まさにちょっとおかしなヤクザだ。また、静也は争いごとを好まず、ヤクザという組織そのものにも嫌悪感がある。タイトルの「静かなるドン」とは、子分達が使う蔑称でもある。しかし、親からヤクザの血をしっかりと受け継いでいる静也は、いざという時には他のヤクザ者を圧倒する強さを発揮する。昼は冴えないサラリーマンだが、夜はサングラスに黒シャツ白スーツがトレードマーク。ちょっとずれているところを隠そうとするあたりがコメディタッチで描かれていく。
常識を超越した新感覚アイドル漫画。極道の健太郎、リョウ、カズの3人は、大きなヘマをうち組長の逆鱗に触れてしまう。鬼より怖い組長の命令で、3人はタイで性転換&全身整形。組長の全面プロデュースで、裏路地美少女アイドル「ゴクドルズ」としてデビューすることになる。
健太郎はアイリに、リョウはマリに、カズはチカに名前を変え、アイドル家業に邁進する。しかし、見た目を変えてアイドルとしての訓練を受けても、中身は極道のおっさんである。当初はイヤイヤ、組長の命令を遂行するちょっと、いや、かなりおかしなヤクザだ。アイドルとしての立場は三人三様。リーダーであり兄貴分でもあるアイリは弟分を大事に思い、考えを尊重しているが、男気が最も強くアイドルであることを受け入れられずにいる。巨乳となったマリは、時折女であることも悪くないと思い、「ラブラブピョンピョン」が口癖のチカはアイドルを楽しんでいる。性転換という大きな変化がもたらす、ちょっとおかしなヤクザたちのギャップが面白い作品だ。