笑いが絶えないドタバタ「大家族」漫画オススメ５選18 Pt.

本作は、羽上家の子どもである顕・ひろの・ほのかを中心としたオムニバス形式の作品だ。特にスポットが当てられるのは、長女のひろの。彼女はあまり他人と関わるのが得意ではない。しかしよく周囲のことに気がつく心の優しさを持っていて、そんなひろのに同じ大学に通う青年・深町は想いを寄せている。ひろのとの距離を縮めようとする彼はひろのの家族とも交流を持つようになり、深町との関係はひろのを成長させていくことになる。他人と関わるだけでも、家族と関わるだけでも足りない。両方と関わるからこそ得ることができる感情と経験によって、ひろのはもちろん顕とほのかも変わっていく。人と人との繋がり、家族のありがたみがじんわりと沁み入るような作品だ。

本作の主人公は、22歳の長女・愛子。彼女は北海道の大学に通っていたが、母親が亡くなったため大学を中退。実家に戻って、母親の代わりに家族を支えることになった。愛子の弟妹たちは、皆個性豊かで元気いっぱい。一家の大黒柱である父は優しいが、それゆえに少々頼りない部分がある。そんな家族の世話を一手に引き受けている愛子に、自由な時間はほとんどない。それでも毎日文句も言わず頑張っているのは、手のかかる家族のことを心から大切に思っているから。そんな長女の気持ちを父や弟妹たちもわかっており、彼らは愛子を振り回しながらも気にかけている。賑やかで笑えて時々泣ける大家族の温かな日常は、読者を優しい気持ちで満たしてくれるはずだ。

「よっけ」とは、三重弁で「たくさん」という意味だ。本作ではひとつ屋根の下でたくさんの人間が家族として生活している様子を描いている。狂言回し的ポジションにいるのは、東京から妻とともに引っ越してきた駿太郎。都会で生活してきた彼にとって、自然豊かな田舎での大家族生活は新鮮なことばかりだ。突然嫁の家族と同居するようになったら気を遣ってストレスが溜まりそうなものだが、駿太郎は違う。義家族との関係が良好である彼はすんなりと大家族での生活に馴染んだ。本作の特徴は、物語がリアルタイムで進行する点だ。現実世界で1年経てば作中でも1年が経ち、時間が流れたぶん登場人物たちは歳を重ねていく。特別なことは何も起こらないありきたりな日常が、とても魅力的に描かれている。

ヤマザキマリが結婚したのは、日本人がイメージするそれとは違い、物静かで大騒ぎが大嫌いなイタリア人・ベッピーノ。紳士的な物腰は、イタリアというよりもまるで英国風。馴れ初めは彼の叔父の自宅。ヤマザキはそこで出会ったベッピーノのジェントルマンぶりに落ちたのである。そんなイタリア人らしくない彼の家族はというと、とてもエネルギッシュかつパワフル、息子を溺愛する母・マルゲリータ。発明好きでマイペースな父・アントニオ。美しく気が強い妹・ローザ。見栄っ張りなマルゲリータの母・アンナに、ベッピーノにジェントルマン教育を施したアントニオの母・エリザベッタ。ヤマザキの身内を通して、イタリア人の日常やイタリア文化に触れることができる。

舞台となるのは、日本によく似た国・櫻田王国。主人公は第3王女で櫻田家第4子である櫻田茜だ。櫻田家には、茜を含めて9人の子どもがいる。長女の葵、長男の修、次女の奏、次男の遥、4女の岬、5女の光、3男の輝、6女の栞だ。9人は正真正銘の王子・王女。しかし国王の方針で、兄弟姉妹たちは城下町で庶民と変わらぬ暮らしを送っている。しかし、彼らの生活には庶民と決定的に違うところがあった。それは、次期国王を決める選挙のため、町中のいたる所に設置された200台以上のカメラに監視されているということ。カメラの映像はテレビで流され、国民はその映像を見て次期国王を選ぶのだ。それぞれの思いを胸に選挙に挑む、仲良し家族の動向に注目しよう。