パン屋の店主が宇宙人の少年を拾ったことで始まる穏やかな日常を描いたSFファンタジー漫画。帆足紺太(ほたるこんた)は山の上にあるパン屋「ほたるベーカリー」を営んでいる若き店主。ある日、ひょんなことから不思議な少年・まみ太と出会い、お腹を空かしていた彼にパンを振る舞う。まみ太は旅行中に宇宙船が遭難し、地球に不時着してしまった宇宙人。紺太のパンを気に入り、宇宙からの迎えが来るまで年の離れた兄弟を装って彼の家で暮らすことになる。
本作の舞台となるのは、東京の神岳山(かみたけさん)の山頂付近にあるパン屋「ほたるベーカリー」。この店の主人は、三年前に祖父から店を受け継いだ青年の紺太だ。紺太が出会った宇宙人の少年・まみ太は一見、地球人と変わらない少年のように見える。しかし、おいしいものを食べると触覚のようなツノがぴょこんと出てしまう。幼いのは見た目だけで、頭脳は大人でクールな性格だが、パンをおいしそうに頬張る姿は子供そのもので愛らしい。紺太のパンはふかふかで酵母にもこだわりがあり、サンドイッチも具沢山。香りも極上で、宇宙人のまみ太さえ虜にしてしまうおいしさだ。まみ太のことを本当の弟のように可愛がる紺太と地球人について理解を深めていくまみ太の姿が微笑ましい。
パン屋の新人スタッフである寡黙な男性が店長に恋をする恋愛漫画。ベーカリー「ミミイ」の店長・小岩美々子は、スタッフをどれだけ雇っても長続きしないことに頭を悩ませていた。今朝もいきなり新人スタッフの女子に辞められてしまい、困っていたところに、スタッフ募集の貼り紙を見て背の高い元コックの男性・北薫がやってくる。小柄ながらもパワフルな小岩だったが、風邪で倒れたことをきっかけに、小岩と北が急接近する。2020年にテレビドラマ化された。
本作では、お客さんにとってベーカリー「ミミイ」は温かな場所であって欲しいと願う店長の小岩を通して、パン屋の厳しい現実とパンの魅力が描かれている。パンは捏ね方や発酵温度など、ほんの少しの差でも仕上がりに影響が出てしまう繊細なもの。店頭に並ぶまでは時間との勝負で、重労働でもあるのだ。だが、だからこそやりがいのある仕事でもある。本作の舞台となるベーカリー「ミミイ」では、パン好きの若者たちが新人スタッフとしてやってきては厳しい現実についていけず、辞めていくことが悩みの種だった。だが、北という寡黙で真面目な男性スタッフが入ったことで物語が大きく動き出す。実は北が以前から店長の小岩に恋心を抱いていたことも明かされ、二人の初々しい恋愛模様が展開されていく。
不運が重なり人間不信に陥っていた少女がパン屋に転がり込み、そこで過ごすうちに温かな感情が芽生えていくハートフルなラブストーリー。天涯孤独な大河内みずほは様々な不運が重なった末に、不愛想な店主・龍吉と幼い妹・なつきの二人兄妹の小さなパン屋「三日月亭」に辿りつく。咄嗟に自分は龍吉の腹違いの妹だと嘘をついて住まわせてもらうことに。みずほは彼らを騙していることに罪悪感を抱きながら、経営が低迷している「三日月亭」のために働き、役に立とうと奮闘するのだった。
本作の舞台となるのは、商店街にある小さなパン屋「三日月亭」。パンの世界は奥深く、基本材料のみで作るハード系のリーンなパンから副材料を贅沢に使ったデニッシュなどのリッチなパンまで様々だ。「三日月亭」は基本的に地味なリーンなパン中心だったが、最近できたライバルの店は華やかでリッチな菓子パンが中心で、店主の朝日もイケメン。「三日月亭」店主の龍吉は、不愛想だが妹思いで、妹のなつきは無邪気で可愛く、店のマスコットガールだ。しかし、オシャレなライバル店に客が流れ、「三日月亭」は経営難に陥っていた。主人公のみずほは、そんな「三日月亭」で家族と偽って住み込みで働きながらも、次第に龍吉に対して特別な感情を抱くようになる。
元教師の女性が風変わりな文具店を営む男性と出会い、恋愛を始めるラブコメディ漫画。教師を辞職した34歳の深田柚季(ゆずき)は婚活を始めたものの、結婚相手の条件さえ思い浮かばずにいた。だが、原文具店の片隅で売られていたパンをきっかけに、店主の原洋一と親しくなっていく。柚季は洋一と過ごすうち、この人となら毎日一緒においしくご飯が食べられるだろうという思いに駆られ、衝動的にプロポーズしてしまう。二人は結婚を前提に付き合うことになり、様々な壁を乗り越えながら絆を深めていく。
本作の舞台となるのは、店の一角でパンも売っている原文具店。主人公の柚季は婚活に行き詰まっていたが、生涯を共にする結婚相手は一緒に楽しく食事のできる人がよいという決断に至る。そして当てはまったのが、原文具店の店主の洋一だった。原文具店が文具店兼パン屋という珍しい組み合わせで営業しているのは、洋一が趣味のパン作りを活かし、店の一角に手頃な値段のパンを置くようになったから。柚季が洋一に興味を持つようになったのも、何気なく買った原文具店のコッペパンのおいしさに感動を覚えたからだ。柚季と洋一の恋愛模様を主軸にしながらも、二人の過去の恋人や様々な人物の人生観や食に対する美学なども交えて描かれ、群像劇としても楽しめる。
人生に行き詰まっていた女性がオシャレなパン屋の三兄弟と出会うラブコメディ漫画。千葉羽衣(ちばうい)は、最初に受けたパンメーカーの面接の失敗を引きずり、就職先が決まらないまま大学を卒業してしまう。更には失恋もしたことで生きる気力を失っていた。だが、偶然出会ったパン職人・朝陽(あさひ)にパン屋「アウロラ」に連れて行かれ、久々に食べたパンのおいしさに感動する。羽衣はこの店が近々閉店することを知ると同時に、自分のやりたいことを見つけたのだった。
本作の舞台となる「アウロラ」は、長男の朝陽、次男の日向(ひなた)、三男の深月(みつき)のイケメン三兄弟で営んでいるパン屋。店主の朝陽はフランス仕込みの本格的なパン職人だが、この店を継ぐためにフランスから日本へ帰ってきた。だが、経営が上手くいかず、近々閉店することになっているという。人生に絶望していた主人公の羽衣だったが、朝陽が焼いたクロワッサンは、繊細で甘く、彼女に生きる活力と喜びを与えた。「おいしい」と感じることは、幸せの基本。「アウロラ」のパンに命を救われた羽衣は、何とかして役に立ちたいと思い、その熱意が通じて店で働かせてもらうようになる。羽衣は「アウロラ」を立て直そうと奮闘しながら、イケメン三兄弟との心の距離も縮めていく。