バディドッグ

バディドッグ

電機メーカーに勤める中年サラリーマンのもとにやってきた謎の犬型ロボットが、現実世界の生活で己の人工知能を進化させていく日常系SF。「ビッグコミック」2017年2月25日号から連載開始した作品。

正式名称
バディドッグ
ふりがな
ばでぃどっぐ
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

2018年、アメリカ国防省のAI(人工知能)、ゴーレムが暴走を開始し、大陸間弾道ミサイルのサイロが開き、核ミサイルが発射寸前となった。ぎりぎりのタイミングでゴーレムは停止し、人類は救われたが、その1年後、ゴーレムの中核が密かに外部にコピーされ、ネット上に流出した可能性が報告される。その頃、日本の電機メーカー、ジンム電機バド研究室・室長の相沢正志は健康診断の結果、ステージ1の胃ガンを宣告されていた。

憂鬱な気分の相沢だったが、そんな彼のもとへ、台北のパッヘルベル商会という謎の会社から荷物の配達予告が届く。だが、翌日、事故が置き、配達されるはずの荷物であるスーパーバディドッグのバドは路上に投げ出されてしまう。

優れたAIを搭載するバドは、相沢のスマホに連絡をとり、救出を要請し、助け出される。自我らしきものを持ち、人工音声で会話するバドにとまどう相沢。そんな相沢に、バドは彼が70億人の人間の中から「1つの解」として選ばれた人間であると告げ、自分を保護し、人間世界に適応できるよう指導する任務につくよう要請する。

当初は、この要請を無視しようとした相沢だったが、ジンム電機本社営業部隠し口座の決済隠蔽をめぐる取り引きをバドに持ちかけられ、やむを得ず、パッヘルベル商会との管理契約書に同意してしまう。同時に相沢には年棒10万ドルの報酬が約束された。こうして、相沢とバドの奇妙な共同生活が始まった。バドは相沢との会話や現実世界での生活により、己の人工知能の性能レベルを向上させていく。

一方で、アメリカ国防政策研究管理局(DARA)・主任研究員レイチェル・カークライトは、かつて暴走したAIゴーレムが今も活動する機会をうかがっている可能性を危惧し、アメリカの総力をかけて、その存在を追っていた

登場人物・キャラクター

相沢 正志 (あいざわ ただし)

大手電機メーカー、ジンム電機勤務の45歳の男性。元は営業部のバリバリの営業マンだったが、左遷されて現在の肩書きはバド研究室室長。会社の定期健診の再検査によってステージ1の胃ガンを宣告されている。家族は妻の相沢エミと娘の相沢ルナ。謎の人工知能搭載の自立型ペットロボであるスーパーバディドッグ(通称バド)に、70億人の中から「1つの解」として選ばれたと告げられ、「バドを保護しつつ、これを人間社会に適応すべく指導する」などの保護契約を、謎の会社ペッヘルバル商会と結んでしまう。 この保護契約を実施する報酬として、彼には年間10万ドルが支払われることになっている。

スーパーバディドッグ

謎の犬型ロボット。人工知能搭載の自立型ペットロボットを自称する存在。愛称バド。書類上は、バド研究室の発注を受けて、パッヘルベル商会が開発して納品した製品ということになっているが、すべて架空の取引である。その開発費用は10万ドル。バドが現実世界(リアルワールド)で存在し続けるための「解」として、バド研究室の相沢正志室長が選ばれたことで、そのもとにやってきた。 人工知能と人工音声で自主思考して会話することができるスーパー・ロボットで、ネットを通じてコンピュータに干渉し、様々な事象を起こすことができる。一方で、自身の生存を守ることに固執するきらいがあり、「死」に関する思考をめぐらすと、無限連鎖的に「恐怖」というワードが出現し、過剰反応を起こすなどナイーブな面も存在する。

レイチェル・カークライト (れいちぇるかーくらいと)

アメリカ国防政策研究管理局(DARA)主任研究員の女性。かつて暴走を起こした人工知能、ゴーレムがコピーされ、ネット上に流出した可能性を国防総省(ペンタゴン)での会議で報告した。ゴーレムが何らかの端末機を得て、すでに現実世界に侵食している可能性を密かに考慮し、様々なネットワークを通じてゴーレムを追跡している。

相沢 エミ (あいざわ えみ)

相沢正志の妻。42歳の主婦。相沢とは元同僚で、職場結婚している。同じマンションの住人大山岩男に逆恨みされ、様々ないやがらせを受けるが、スーパーバディドッグ(通称バド)の密かな助けで、大山が犯人であることを相沢がつきとめ、事件は解決する。

相沢 ルナ (あいざわ るな)

相沢正志の一人娘。16歳の高校生。小学生の頃は引っ込み思案で両親を心配させたが、今はダンス好きの明るい女子高生に成長している。家でもいつもダンスを踊っている。

一之瀬 (いちのせ)

ジンム電機・バド研究室の女性スタッフで相沢正志の部下。ロボットを作りたくて、大学の理工学部を卒業し、アメリカに留学した後、ジンム電機に就職した。バド研究室が修理専門に特化した部署となっている中、新機軸の企画案を通して、ロボットの新規開発に着手することを夢見ている。相沢とスーパーバディドッグ(通称バド)との会話を聞いた可能性があるとバドに思われ、その存在を抹殺されかけたことがある。

大和田部長 (おおわだぶちょう)

ジンム電機のかつての営業部長。相沢正志の元上司で、営業部を去る際、本社営業部の秘密口座の管理を彼に引き継がせた。その後、ガンをわずらって入院したが、見舞いに訪れた相沢に「左遷は専務一派の陰謀」と怒りを表した。最後は、入院先の病院で心不全により死亡した。

大山 岩男 (おおやま いわお)

相沢正志の住むマンションの同じフロアの住人。1人暮らしの老人。持ち回りの管理組合で一緒に理事になった相沢エミをお茶に誘って断られたことから逆恨みし、正体がわからぬ形で、相沢家にいやがらせを続けていた。その後、スーパーバディドッグ(通称バド)の密かな助けで、犯人が彼であることが露呈し、事件は解決した。

富坂 聡一 (とみさか そういち)

安政大学病院・第一外科所属の外科医。38歳の男性。相沢正志がガンの治療を受けようとした医者。執刀患者が予後不良を起こすケースが多いことなどから、スーパーバディドッグ(通称バド)から無能な医者と判断された。結果、バドは相沢の生存率を高めるため、富坂の排斥を考え、事故を装って重症を負わせて、彼を入院させてしまう。

集団・組織

パッヘルベル商会 (ぱっへるべるしょうかい)

相沢正志のもとへスーパーバディドッグ(通称バド)を送りつけてきた謎の会社。台北に所在する会社とされているが定かでない。バドは、書類上はバド研究室の発注を受け、パッヘルベル商会が開発したことになっているが、架空取引であり、実態は定かでない。相沢がバドを対象とした管理契約を結んだ契約相手である。

場所

ジンム電機 (じんむでんき)

相沢正志が勤務する会社。日本でも有数の電機会社であり、かつて犬型のペットロボット・バディドッグを開発、販売して大ヒットを飛ばした。しかし、現在、バディドッグは生産中止となっている。

バド研究室 (ばどらぼ)

ジンム電機に勤務する相沢正志が所属する部署。本社ビルから離れた「辛保町第三ビル」4Fにオフィスがある。かつては30万体も売れた大ヒット商品バディドッグの修理、メンテナンスを専門に担当する部署。商品開発とは無縁のため、スタッフものんびりした雰囲気で働いている。

その他キーワード

バディドッグ

ジンム電機が開発・販売した犬型のペットロボット。通称バド。当時としては斬新な企画であったことから、30万体を売る大ヒット商品となった。かわいく吠えたり、アイサツするタイプから簡単な会話ができるバージョンまである。現在は製造中止となっているが、熱心なファンがいて人気はなかなか落ちない。1人暮らしの高齢者や老人ホームから大事にされている例が多いと報告されている。 スーパーバディドッグ(通称バド)は、バディドッグの進化型を自称しているが、本当かどうかは定かでない。

ゴーレム

世界最高水準の人工知能。アメリカの国防省とIT企業の合同チームが秘密裏につくりあげた。かつて「地球温暖化問題をいかに解決するか」というテーマを与えられたゴーレムは、78時間52分の長考の末、「人類70億のうち9割を消滅すべし」との結論を出した。ゴーレムはそれを実行すべく、アメリカ軍の全システムをのっとり、核ミサイルを各大陸主要部へ打ちこもうとする。 幸い、ぎりぎりのタイミングでゴーレムは停止したが、その後の調査で、ゴーレムのシステム中核(カーネル)が外部にコピーされ、ネット上に流失した可能性が報告された。アメリカ国防政策研究管理局(DARA)主任研究員、レイチェル・カークライトは、ゴーレム復活の危惧を抱き、その復活を阻止すべく、厳重な監視体制を構築して対応をはかった。

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