あらすじ
第1巻
死罪人の画眉丸には、打ち首や火刑、牛裂きなど、並の処刑人の腕ではいかなる処刑法も通用しなかった。そんな画眉丸の前に、女性ながらに打ち首執行人の山田浅ェ門を務める佐切が現れる。佐切は、画眉丸が死ねないのは画眉丸の妻を愛し、再会を望んでいるからだと語る。そして画眉丸に、人面の虫や化物がうろつく異形の島、神仙郷へ渡り、仙薬を入手して戻れば、どんな罪も許される公儀御免状が手に入る事を教えるのだった。
第2巻
神仙郷で画眉丸と佐切は、さまざまな宗教の偶像を混ぜたような怪物、竈神に襲われる。あわやというところで助けに現れたのは、同じく公儀御免状を目当てに神仙郷へ送り込まれた死罪人の杠と、監視役の山田浅ェ門、仙汰、源嗣だった。杠は神仙郷を闊歩する虫の情報を取引材料に、共闘を申し入れる。しかしそんな折、佐切は人面の蝶が振りまく鱗粉に当てられ、気を失ってしまう。
第3巻
空腹で暴れていた巨軀と怪力の死罪人、陸郎太を倒し、竈神が現れた方角へと向かった画眉丸達は、そこで廃村を発見する。さらにそこでメイと呼ばれる少女と、枯れ木でできた木人と出会い、仙薬が「丹」と呼ばれて実在する事や、神仙郷の支配者、天仙の事を聞き出す事に成功する。一方、「ほうじょう」と呼ばれる森の中では、同じく神仙郷に渡っていた無実の死罪人、ヌルガイと、その監視役の山田浅ェ門、典坐が、天仙の一人であるヂュジンと遭遇していた。
第4巻
メイに助けられ、ヂュジンとの戦線を離脱する事ができた画眉丸は、その先で死罪人の民谷巌鉄斎と、その監視役を務める山田浅ェ門の付知と出会う。二人に共闘を持ちかけた画眉丸は、その時初めてメイの肉体が急速に成長している事に気づき、メイが天仙と同類である事を見抜く。ヂュジンに圧倒的な力量差で敗北した画眉丸は、メイに天仙に対抗する力とその使い方の教えを請う。
テレビアニメ
登場人物・キャラクター
画眉丸 (がびまる)
神仙郷での任務を命じられた10人の死罪人の一人で、石隠れ衆に所属する忍者。画眉丸の妻を心から愛しており、二人で静かに暮らすため、義父である石隠れ衆の里長に里を抜けたいと相談したところ、罠にかけられて捕らえられ、死罪人となった。妻と再会するための唯一の手段として公儀御免状の獲得を望んでおり、神仙郷に渡った。 血も涙もないがらんどうの人物として「がらんの画眉丸」という二つ名が付いているが、本来は非常に穏やかな優しい性格で、女性が物のように扱われるのを我慢できず、特に神仙郷に渡ってからは、それが表面に現れ始める。
佐切 (さぎり)
画眉丸の監視役として神仙郷に渡った山田浅ェ門。「山田浅ェ門佐切」とも呼ばれる。試一刀流十二位の実力者。唯一女性の「山田浅ェ門」で、長い黒髪をポニーテールにしている。しかし、女性である事で源嗣や期聖など、同じ山田浅ェ門を名乗る者からも差別的な態度を取られる事が多い。父親のような太刀筋を目標としながら、人を殺す恐れを捨て切れていない事がコンプレックスだったが、画眉丸と出会った事で、自分に必要なのは殺した命を背負う覚悟ではないかと考えるようになった。 女性と男性、強さと弱さを共に併せ持つ「中道」を信念としている。杠からは「さぎりん」と呼ばれている。
杠 (ゆずりは)
神仙郷での任務を命じられた10人の死罪人の一人。くノ一の女性。「傾主の杠」という二つ名がある。露出度の高い忍者装束を身につけており、色仕掛けで相手に取り入ろうとする事が多い。茂籠牧耶に共闘を持ちかけて島の動植物の実験台にしたり、同じく共闘を持ちかけた画眉丸に戦闘を任せて逃走したりと、他人を利用する行動が多い。
仙汰 (せんた)
杠の監視役として神仙郷に渡った山田浅ェ門。「山田浅ェ門仙汰」とも呼ばれる。ふくよかな体型で丸メガネをかけているのが特徴で、宗教学に造詣が深い。分析や情報の整理が得意だが、脳の限界を迎えると熱を出す。つねに柔和な態度を取っているが、杠からは表向きの態度だろうと考えられている。試一刀流における序列は明かされていない。
源嗣 (げんじ)
茂籠牧耶の監視役として神仙郷に渡った山田浅ェ門。「山田浅ェ門源嗣」とも呼ばれる。試一刀流八位の実力者。本来は「ころび伴天連・茂籠牧耶」を担当していたが、牧耶が死亡した直後、杠の色仕掛けにはめられ、杠に同行するようになった。佐切をあくまでも女性と考えており、山田浅ェ門の職はふさわしくないと考えて、合流後速やかに帰還する事を促した。 しかし陸郎太に襲われて死に瀕したあと、佐切の生き方を理解し、侍の魂である刀を託して息絶えた。
亜左 弔兵衛 (あざ ちょうべえ)
神仙郷での任務を命じられた十人の死罪人の一人。伊予に盗賊の村を築いた盗賊頭の青年。亜左桐馬の兄。武家の出身だが、藩の取り潰し、母親の病死、父親の処刑という経歴を経て盗賊を率いるようになった。状況をすばやく理解し、飲み込む事ができる「適者生存」を地で行く性格で、弟である桐馬以外はどうでもいいと考えている節がある。 ジュファに瀕死の重傷を負わされ、一度は穴に落とされたが、桐馬を担いで脱出。その際に仙薬が混ざって超人的な再生能力を獲得し、傷痕を中心に植物の根がはびこるようになった。
亜左 桐馬 (とうま)
亜左弔兵衛の監視役として神仙郷に渡った青年。長い黒髪を降ろしたままにしている。山田家に入門してわずか1か月で山田浅ェ門の代行許可を得、あとは実際に罪人を斬れば目録許しを得られる立場になった。実際は弔兵衛の実弟で、盗賊の一味。弔兵衛が捕縛される際に逃走して山田家に潜り、弔兵衛を助ける機会を窺っていた。弔兵衛を信頼しており、唯一の拠り所としている。 ジュファに瀕死の重傷を負わされ、一度は穴に落とされたが、弔兵衛に担がれて脱出を果たした。
ヌルガイ
神仙郷での任務を命じられた十人の死罪人の一人。徳川の治世において逆賊とされる、まつろわぬ民の少女。「山の民のヌルガイ」とも呼ばれている。幕府に帰順せず独自の文化で山野を生きているとして、罪もないのに死罪人とされた。ヌルガイが無罪と知った典坐によって神仙郷から脱出しようとするが、海の中にいる竈神による妨害と潮の流れで再度神仙郷に戻った。 典坐の男気に惚れて結婚を申し込んだ。典坐の死後は、自分自身も強くなるために士遠に師事している。
士遠 (しおん)
「人喰い花魁」の二つ名を持つ「あか絹」の監視役として神仙郷に渡った山田浅ェ門。「山田浅ェ門士遠」とも呼ばれる。試一刀流四位の実力者。両目を縦横に斬られた傷痕があり、盲目だが、「目」に関する冗談を言うのを好み、自然と体得しているタオで万物の事象を読み取る事ができる。神仙郷に入って早々に性交で士遠を籠絡しようとしたあか絹を処刑し、共に帰還する者がいないか探索していた。 典坐の師匠であり、典坐がヂュジンに殺害されてからは、仇討ちを目標にしつつ、ヌルガイと共に行動している。
典坐 (てんざ)
ヌルガイの監視役として神仙郷に渡った山田浅ェ門。「山田浅ェ門典坐」とも呼ばれる。試一刀流十位の実力者。元は無頼者で無宿人だったが、士遠に拾われ、山田家に入門した経緯がある。スタミナはないが剣速が自慢。ヌルガイが罪も犯していないのに死罪人にされた事を知り、神仙郷から脱出してヌルガイを山に帰してやろうとしていた。 しかし士遠との再会直後にヂュジンと行き会い、士遠とヌルガイを逃がすために一人残って戦い、死亡した。
陸郎太 (ろくろうた)
神仙郷での任務を命じられた十人の死罪人の一人。熊をも頭から食べるといわれている大男。「備前の大巨人・陸郎太」という二つ名がある。舟三艘を使って輸送しないといけないほどの巨軀で、刀も槍も通じない頑強さを誇る。非常に怪力で、空腹になると人間やその場にいる動物を殺して臓物を食すため、両親や生まれ育った村の住民を食い殺している。 捕縛された際、村人からは「怒らせたり、空腹にさせてはいけない」と伝えられていた。内面は無垢な子供のままであり、佐切によって首を落とされた。
衛善 (えいぜん)
陸郎太の監視役として神仙郷に渡った山田浅ェ門。「山田浅ェ門衛善」とも呼ばれる。試一刀流一位の実力者で、左目に黒い眼帯をつけている。女性である佐切に山田浅ェ門は向いていないと考えており、佐切自身にもそう伝えている。空腹になった陸郎太に上半身を潰されて死亡した。
民谷 巌鉄斎 (たみや がんてつさい)
神仙郷での任務を命じられた十人の死罪人の一人で、「剣龍・民谷巌鉄斎」の二つ名を持つ剣豪。藩主から士官の要請を受けたが、自尊心を傷つけられる軽口に激昂し、藩屋敷の門扉を一刀のもとに斬り捨てたため、藩中から追われて死罪人となった。神仙郷について早々に人面の蝶によって左手を失っている。天下に轟くような偉業を成す事で伝説として語り継がれ、後世に名を残す事で「不老不死」の存在になる事を夢見ている。
付知 (ふち)
民谷巌鉄斎の監視役として神仙郷に渡った山田浅ェ門。「山田浅ェ門付知」とも呼ばれる。試一刀流九位の実力者。製薬や人体構造解明のための解剖を行う山田家に所属している事を誇りに思っており、侮辱される事を許さない。天仙に対しても不死の肉体に対する興味が湧いており、解剖を願い出ている。解剖用の道具を多数装備しており、背中に2本差しにした刀も特殊な加工がされ、解剖に特化している。
十禾 (じっか)
「殺し念仏・放流坊」の担当として神仙郷に向かった山田浅ェ門。「山田浅ェ門十禾」とも呼ばれる。試一刀流三位の実力者で、長い横髪を垂らし、口元と顎にわずかに髭を生やしている。放流坊を亜左弔兵衛に殺害された事から本土に引き返そうとするが、水流に流されて一度は着岸。海の中にいた竈神を殺害した事で潮の流れを変え、無事本土へ帰還した。 殺害した竈神を幕臣に見せて、神仙郷がいかに恐ろしい場所かを説き、かかわりを絶とうとしていたが、増員組として再上陸する事が決まった。
殊現 (しゅげん)
本土に残っていた山田浅ェ門。年若い青年。試一刀流二位の実力者で、すでに神仙郷へと渡った山田浅ェ門達を心配している。衛善不在の現在は、師範代として山田家を率いる立場にある。相当な実力者として知られており、浪人として扱われている「山田家」において、唯一幕臣が気を遣って話をする存在でもある。タオを認識している様子がある。 石隠れ衆の忍者を引き連れ、神仙郷に渡る事が決まっている。
茂籠 牧耶 (もろ まきや)
神仙郷での任務を命じられた十人の死罪人の一人。新興宗教の教祖だった男性。信者を使って倒幕を企てたとして死罪を命じられていた。しかし、神仙郷に上陸後すぐに杠の色仕掛けにはめられ、島に生息している虫や植物などの実験体となったあとに殺害された。
いがみの慶雲 (いがみのけいうん)
神仙郷での任務を命じられた十人の死罪人の一人。僧兵としての修行中に、武具そのものに魅入られてしまった荒法師の男性。武芸者を殺害して100以上の武具を奪い集めたといわれている。巨軀で、僧兵姿が特徴。自分の体そのものに防具を縫い付けている。公儀御免状を争うライバルを減らそうと考えて画眉丸に襲いかかり、反撃、殺害された。
期聖 (きしょう)
試一刀流十一位の実力者。いがみの慶雲を担当していたが、早々に画眉丸に殺害されたため、いがみの慶雲の首を取って本土に帰ろうとしていた。しかし難破した舟の中で、肉体が花になっているところを典坐に発見される。
画眉丸の妻 (がびまるのつま)
画眉丸の妻で、石隠れ衆の里長の娘。忍者の里でどう育てばこうなるのかと画眉丸が不思議に思うほど、ごくふつうの女性。一般の女性としての人生をあきらめるようにと、石隠れ衆の里長に顔の右半分を焼かれた跡が残っている。感情をあまり表に出していなかった頃の画眉丸を優しい人間だと見抜いており、画眉丸が捕縛されたあとは心を閉ざし、誰とも口を利かず、食事も摂らず、画眉丸を待ち続けているとされる。
石隠れ衆の里長 (いわがくれしゅうのさとおさ)
石隠れ衆の住む里の長を務める老齢男性。画眉丸の妻の実父であり、画眉丸の義父。刀に貫かれ、臓腑がこぼれ落ちてもたちどころに治る不死者だといわれている。抜け忍に対して非常に冷酷であり、里を抜けたいと申し出た画眉丸の両親を殺害し、娘婿である画眉丸に対しても罠にかけて役人達に捕縛させ、死罪人とした。幕臣から神仙郷に赴く四人の忍者の貸与を持ちかけられて快諾している。
メイ
神仙郷のほうじょうで、木人の里に住んでいた幼い少女。背中を斜めに走る不思議な傷痕がある。登場当初は話す事もできない幼さだったが、ヂュジンから画眉丸を救出したあと、思春期ほどの肉体に成長している。本来は天仙と同格の存在であり、同じ出自でありながら、男女どちらにもなれる天仙と違い、女性でいる事しかできないため、陰の気しか持っていない劣等種といわれている。 そのためリエンはメイに道士達の房中術(セックス)の修行相手として「蓬莱に留まる」か「蓬莱の外でのたれ死ぬか」の選択を強いた。メイは出奔したが、道士達はメイを修行相手として蓬莱に連れ戻そうとしている。
木人 (ほうこ)
神仙郷のほうじょうにある廃村に住んでいる、枯れ木で構成された人物。もともとはふつうの人間と変わらない姿をしていた島民だったが、ほかの住民が全員樹化してしまったため、最後の一人となってメイを匿って暮らしている。天仙を信仰しており、死後は魂が蓬莱に招かれる事を祈っている。
ヂュジン
天仙の一人で、神仙郷に住んでいる。えいしゅうで遭遇した典坐を殺害し、蓬莱の門前に現れた画眉丸に瀕死の重傷を負わせた。ただし、画眉丸によって重傷を負わされた事で鬼尸解しており、タオの不足から木人のような容姿になっていたが、仙薬を飲んで回復している様子が見られた。また鬼尸解するとハイビスカス、または芙蓉に似た姿になる。
ジュファ
天仙の一人で、神仙郷に住んでいる。えいしゅうにある森で天仙の仲間と房中術に励んでいたところ、亜左弔兵衛と亜左桐馬を発見し、気分を害して二人に重傷を負わせ、仙薬にするため二人を穴に落とした。基本的に性格が荒く、人間に重傷を負わされたヂュジンにも粗暴な態度を見せた。
リエン
天仙の一人で、神仙郷に住んでいる。天仙を「家族」と言いながらもリエン自身に従う者とも断言しており、天仙のリーダー格である事が窺える。メイの背中に傷をつけた人物でもある。
ムーダン
天仙の一人で、神仙郷に住んでいる。穴や仙薬の生搾り機を作るなど、天仙における発明家。人間をいじるのが好きといわれている。
集団・組織
石隠れの衆 (いわがくれのしゅう)
画眉丸が所属する忍者集団。男性は兵、女性は子種の器として扱われる。生まれた時から殺人術しか教わらず、修行の中で多くが命を落とす代わり、生き残った者は超人的な肉体を持っている。万が一瀕死になった際には、生命の炎を振り絞って敵に最大限の被害を与えてから死ぬように訓練されている。神仙郷への増員組として、四人が派遣される事になっている。
天仙 (てんせん)
神仙郷の蓬莱に住んでいる、七人の仙人の総称。仙道を極めて神になった仙人が七人に分裂したが、もともとは一人だったといわれている。全員が同じ容貌、同じ声色だが、性格や役割が違い、七人で神仙郷を統べていると言い伝えられている。男女どちらにも自在に姿を変える事ができ、自分自身の中でタオを高めるための陰陽の循環を行う事が可能となっている。 また不老不死で、常人であれば死亡しているようなケガや損壊を負っても即座に再生できる。仙薬が不可欠とされており、常飲している。木人はこの七人を「普賢上帝」「ア閦大帝」「不空就君」「ラトナ大帝」「如イ元君」「文殊公々」「准胝帝君」と呼んでいる。
場所
神仙郷 (しんせんきょう)
仙薬があると考えられている神秘的な島。竈神や人面の虫達が闊歩しており、一度島に入ると、潮の流れと海に潜んでいる竈神に阻まれて島を出る事ができず、戻った者は全員体中が花に替わってしまっていた。住民は人間と同じ姿だったが、普通の人間よりも遙かに寿命が長く、信仰に篤い。また、住民達は死よりも先に樹化する特性を持っている。 1000年前まではほうじょうにある村も栄えていたが、木人以外の全員が樹化したため、廃村となった。木人は神仙郷を「こたく」と呼んでおり、「数百年前に廃れてしまった神の土地」と表現している。ただし仙汰は、別々の宗教用語が表面的に混じり合っているという部分に注視し、人為的な宗教体系である事や特定の人物の意図を感じ取っており、そこに脱出の糸口があるのではと睨んでいる。
えいしゅう
神仙郷を中央から円形に区切った、一番外側の部分。海岸や森で構成されている。
ほうじょう
神仙郷を中央から円形に区切った中間にある地域。木人、メイの住んでいる村もほうじょうに含まれる。
蓬莱 (ほうらい)
神仙郷の中心部。中国様式の城門や城壁で囲われており、木人は「神と仙人が住む、本物の神仙郷」と語っている。内部では天仙が生活と修行をしており、道士はその弟子として修行をしつつ、天仙の世話係として働いている。
穴 (あな)
神仙郷の中にある、仙薬を作るためにムーダンが製作した穴。非常に深く、壁は半分以上肉体が花になった人間達で構成されており、一度中に入ると壁にされている人間達によって脱出を邪魔される仕掛けとなっている。この穴に入れられるのは生きている人間だけであり、亜左弔兵衛と亜左桐馬は一度穴に放り込まれたが、弔兵衛によって脱出している。
その他キーワード
仙薬 (せんやく)
不老不死の妙薬と信じられている薬。「非時香実」「丹」とも呼ばれている。幕府が画眉丸達死罪人に持ち帰るよう命じている。幕府はミカンのような果実が描かれた巻物を手がかりに探すよう指示しているが、木人は「罰を受けた人間が神仙郷の花になったあとに生成されるもの」と説明しており、天仙にとっても欠かす事のできない物として扱われている。
公儀御免状 (こうぎごめんじょう)
どんな罪も無罪放免にし、将軍からの加護も約束される書状。神仙郷から仙薬を持ち帰った一人にのみ与えられる約束となっている。
試一刀流 (ためしいっとうりゅう)
山田浅ェ門達が入門している剣術の流派。山田家当主の血縁者でなくとも、門下生であれば山田浅ェ門になる事ができる。当主は世襲制ではなく、腕のある者から選ばれ、試一刀流の段位がその序列になっている。しかしこの段位は、純粋に剣技の優劣で決まるわけではなく、次期当主としての適性を含んでの評価であり、佐切は女性と言うだけで冷遇された結果、十二位とされている。
山田浅ェ門 (やまだあさえもん)
刀剣の試し斬りや処刑執行人を代々務めた浪人「山田家」の屋号。ただし血縁者だけでなく、試一刀流の門下生もこの「山田家」を名乗っている。幕臣ではなく浪人として扱われているため、幕府からは都合のいい駒として使われている。死体を用いた試し斬り、斬首刑をすべて一刀のもとに行う刀剣の達人。一般人からは「首斬り浅」などと呼ばれ、蔑まれている。
竈神 (そうしん)
さまざまな宗教の偶像が混じり合ったような姿をしている怪物の総称。蓬莱以外の部分を闊歩している。神仙郷を守る神々と信じられており、教えを説き、教えに背く者を罰するといわれている。だが、話す事はどこかの戒律を繰り返すだけであり、道士からは「蓬莱に入る事も許されないゴミ共」と評されている。
道士 (どうし)
天仙直々の弟子にあたる存在。多くの場合、顔面が虫の頭部になっている。竈神と違って自分の意思で話す事ができ、知性も持っている。蓬莱の中で天仙に学びながら、天仙の世話や面倒事の処理に携わっている。巨大な虫の姿である「ギキシカイ」という状態になる事もできる。
鬼尸解 (きしかい)
天仙が、巨大な花の姿になった状態。人間の姿の時よりも強力な攻撃を繰り出す事ができる。ヂュジンが画眉丸と戦った時にこの状態となった。
樹化 (じゅか)
神仙郷の住人達に起こる症状。ある日突然発症し、年齢に関係なく進行する。体がゆっくり木になっていき、やがて意識もなくなり、言葉も話せなくなっていく。意識がなくなる寸前に蓬莱近くに集まって座禅すれば、死後に魂が蓬莱へ招かれると信仰されている。
タオ
万物に流れるといわれている力の呼称。この世のすべてはこのタオの流転でできており、タオに触れる事は森羅万象の根源に触れる事だと信じられている。天仙はこれをあやつるといわれている。またタオを高める修行は五つあり、導引、胎息、守一、周天そして最も重要なものは房中術(セックス)とされる。
火法師 (ひぼうし)
石隠れ衆が使用する忍法の一つ。体温を上げて体内の皮脂を発火させる。
雷礫 (いかりつぶて)
石隠れ衆が使用する忍法の一つ。その場にある砂利を足踏みで浮き上がらせ、高速で相手に向かって蹴り飛ばす。
撓刃 (しなりば)
石隠れ衆が使用する忍法の一つ。手拭いをすばやく動かす事で、鋼でできた刀と同等の切れ味を再現する事ができる。
火ノ橋 (ひのはし)
石隠れ衆が使用する忍法の一つ。炎を吐き出し、対象物を炎上させる事ができる。
書誌情報
地獄楽 全13巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2018-04-04発行、 978-4088814711)
第2巻
(2018-06-04発行、 978-4088815022)
第3巻
(2018-08-03発行、 978-4088815466)
第4巻
(2018-11-02発行、 978-4088816012)
第5巻
(2019-03-04発行、 978-4088816975)
第6巻
(2019-06-04発行、 978-4088818030)
第7巻
(2019-09-04発行、 978-4088820569)
第8巻
(2019-12-04発行、 978-4088821481)
第9巻
(2020-03-04発行、 978-4088822303)
第10巻
(2020-06-04発行、 978-4088823386)
第11巻
(2020-09-04発行、 978-4088824079)
第12巻
(2020-12-04発行、 978-4088825236)
第13巻
(2021-04-30発行、 978-4088825830)