概要・あらすじ
神ノ森小学校5年1組の小道鳴は生き物係。動物が大好きで動物からも好かれる世話好きな女の子。放課後、宿題のプリントを教室に忘れてきてしまったことに気づいた鳴は、学校へ戻るが正門はすでにしまっていた。裏のフェンスを越えれば校内に入れるが、そこには使われていない飼育小屋があり、夜になると、化け物のうめき声が聞こえるという噂があった。ビクビクしながら飼育小屋の前を走り去ろうとすると、飼育小屋の入り口にある立入禁止の札が「ガタン」と落ちた。鳴が振り返ると、飼育小屋の中から三つ目で耳の長い黒い化け物が唸り声をあげながら鳴に飛びかかってきた。食べられると思ったその時、化け物は「名を教えろ」としゃべりだし、人間の姿に変身した。彼は黒兎という名の守り神で、この土地を長年守り続けているのだという。以前はこの場所に立派な神社があったのだが、時代とともに廃れてしまい、彼の居場所は小さな小屋になってしまった。それでもこの土地を守り続けているのに、ガキどもの怪談のネタにされているとご立腹だ。もう我慢ならないので、今夜この学校を破壊してやると脅す黒兎をなだめようとする鳴。黒兎はやめてほしいなら「お前が俺の嫁になれ」と言い出した。黒兎は鳴に一目惚れしていて、半ば強引に鳴にうんと言わせるのだった。黒兎はかわいい黒うさぎに変身し、授業中も鳴と行動を共にする。鳴に四六時中ついて回り、脅して自分の思いどおりにしようとする黒兎に怒って帰ってしまう鳴。翌日、教室の金魚の水槽が割れて、中にいた金魚がすべて死んでしまうという事件が起こる。最初は生き物係の鳴に疑いがかけられたが、うさぎ姿の黒兎の活躍で真犯人が見つかった。黒兎に助けてもらった鳴は彼と仲直りし、死んでしまった金魚たちのお墓を作ろうとした。しかし先生が「不衛生だから」と金魚を生徒に触らせず、燃えるゴミといっしょに捨ててしまった。放課後、小屋のうさぎたちがそわそわしていることが気になったため、黒兎を捜す鳴。するとゴミ捨て場の方から黒兎の唸り声が聞こえてきた。粗末にされたことで金魚たちは怨霊になってしまい、退治しようとした黒兎にまとわりつくのだった。
登場人物・キャラクター
小道 鳴 (こみち なる)
神ノ森小学校5年1組に所属する、生き物係の女の子。髪形はアゴまでのふんわりしたボブスタイルで、左耳の上を小さなリボンで結んでいる。動物が好きで、動物からも好かれる。世話好きで優しくて泣き虫。わがままで少し乱暴な土地の守り神の黒兎に好かれ、彼の面倒もみている。恐ろしい動物の怨霊に対して立ち向かう勇気を持ち、慈悲深い心で彼らを成仏させていく。
黒兎 (くろと)
怨霊を退治する土地の守り神。神ノ森小学校の古い飼育小屋に住む。昔その場所には大きな神社があり、黒兎はそこに祀られていた。三つ目で耳の長い黒い化け物の姿、和装で黒く長い耳を持つ男性の姿、かわいい黒うさぎの姿に変身する。小道鳴に一目惚れし、求婚する。わがままで態度はでかいが憎めない性格。野菜は嫌いで甘いものが好き。神社がなくなってしまったため、昔のような強い力はない。