概要・あらすじ
忍術使いを志し、信州(長野県)の山奥でとざわはくうんさいの元で指導を受け、甲賀流忍術の後継者となったさるとびさすけは、とよとみがたの武将さなだゆきむらに見出され、さなだ十勇士のひとりとなった。やがて日本一の忍術名人と呼ばれるまでになったさすけは、とよとみを滅ぼし天下を手に入れようとするとくがわいえやすやその配下たちを相手に得意の奇想天外な忍術で、スパイに戦に活躍する。
登場人物・キャラクター
さるとび さすけ
さなだゆきむらに仕える忍術使いの青年。さなだ十勇士の一人。少年の頃、信州(長野県)の山奥でとざわはくうんさいから三年間の指導を受け、甲賀流忍術の跡継ぎとなった。日本一の忍術名人として、忍や侍の間だけでなく、一般の人びとの間でも名高い。ゆきむらの命でよどぎみに真田丸の図面を届けるなどの重要任務から、諸国を漫遊し徳川方の様子を探るスパイ活動、豪傑のスカウトなど活躍の幅は広い。 ようかんやだんごなどを好む甘党。立川文庫の『猿飛佐助』等に登場するキャラクター猿飛佐助がモデルとなっている。
とざわはく うんさい
信州(長野県)の険しい山奥に住む仙人。忍術を教わるために訪ねてきたさるとびさすけを弟子とし、甲賀流忍術を授ける。三年間ですべての術を教えた後、術比べの試験を経てさすけを卒業させた。その際、極意の巻物を渡し、さすけを甲賀流の跡継ぎとした。さすけが独り立ちした後は、飛騨の鬼面山に隠棲している。 立川文庫の『猿飛佐助』等に登場するキャラクター戸沢白雲斎がモデルとなっている。
さなだ ゆきむら
上田の城主である武将。とざわはくうんさいの元へ忍術修業に赴いていたため空き家となっていたさるとびさすけの家を狩りの陣屋としていたことをきっかけに、さすけと出会い、忍術使いと知って彼を召抱える。亡き太閤(豊臣秀吉)に深い恩義を感じており、その恩を忘れ勢力拡大に走るとくがわいえやすに対抗すべく、さすけたちに徳川方の情報を探らせたり、大阪城に築く砦「さなだ丸」の設計を行うなど、決戦の用意を着々と進めている。 日本一の軍師として名高い。実在の武将真田信繁(幸村)がモデルとなっている。
とくがわ いえやす
駿府城に隠居している老年の武将。「おおごしょ」と呼ばれている。名目上隠居をしているが、依然徳川方のリーダーとして、豊臣方の勢力を滅ぼし、天下統一することを目標に、様々な陰謀を巡らしている。さるとびさすけとさなだゆきむらの最大の敵。実在の武将徳川家康がモデルとなっている。
おおの しゅりのすけ
豊臣方に仕える武将の一人。よどぎみたちと共に、さるとびさすけが秘密裏に届けた砦「さなだ丸」の図面を見た。その後、敵に奪われないよう燃やそうとしたが火鉢が無かったため、図面を飲み込んで見せた。実在の武将大野治長がモデルとなっている。
よどぎみ
豊臣秀吉の側室。秀吉亡き後、豊臣方の実質的なリーダーとなっている。さなだゆきむらの才を高く評価しており、その忠誠を頼もしく感じている。さるとびさすけが届けた「さなだ丸」の図面を見た際は、完成の暁にはさぞ敵方を悩ますだろうと褒め称えた。実在の女性浅井茶々がモデルとなっている。
ほんださどの守 (ほんださどのかみ)
とくがわいえやすに仕える武将の一人。豊臣方を滅ぼすため、新式の鉄砲の製法をポルトガルから手に入れたり、中国や朝鮮から妖術使いを招きさるとびさすけやきりがくれさいぞうを狙わせるなどの計略を巡らす。実在の武将本多正信がモデルとなっている。
ちくわあなの守 (ちくわあなのかみ)
『猿飛佐助』に登場する大名の一人。かつて太閤に重用されたにも関わらず豊臣方を裏切り、とくがわいえやすに盟約の手紙を送ろうとしている。その裏切りを嗅ぎつけたさるとびさすけが城内に忍び込んでいることを察し、配下の忍術使いにさすけを捕えれば禄高を五倍にしても良いと告げる。
みよしせいかいにゅうどう
さなだゆきむらに仕えるさなだ十勇士の一人。いずにゅうどうの兄。禿頭でヒゲの生えた大男。大きな鉄棒を自在に操り、素手の格闘でも強さを誇る。自他共に認める豪傑である。いずにゅうどうと共にさなだゆきむらに願い出て、駿府城に忍び込んださるとびさすけの様子を探りに行く。 立川文庫の『猿飛佐助』等に登場するキャラクター三好清海入道がモデルとなっている。
いずにゅうどう
さなだゆきむらに仕えるさなだ十勇士の一人。みよしせいかいにゅうどうの弟。両端に鉄球のついた棒を自在に操る。みよしせいかいにゅうどうと共にさなだゆきむらに願い出て、駿府城に忍び込んださるとびさすけの様子を探りに行く。立川文庫の『猿飛佐助』等に登場するキャラクター三好伊三入道がモデルとなっている。
ねず じんぱち
さなだゆきむらに仕えるさなだ十勇士の一人。さなだゆきむらの大阪城入城までの戦いや、バテレン怪人たちとの隠し財宝争奪戦など、なにかとみよしせかいにゅうどうと共に行動することが多い。立川文庫の『猿飛佐助』等に登場するキャラクター根津甚八がモデルとなっている。
うんの ろくろう
さなだゆきむらに仕えるさなだ十勇士の一人。立川文庫の『猿飛佐助』等に登場するキャラクター海野六郎がモデルとなっている。
ゆり かまのすけ
さなだゆきむらに仕えるさなだ十勇士の一人。さるとびさすけ同様、各地の大名の様子を探る旅に出ていた様子で、多くの大名たちが豊臣の恩を忘れ徳川方に付いてしまったことに憤慨している。立川文庫の『猿飛佐助』等に登場するキャラクター由利鎌之介がモデルとなっている。
もちづき たろう
さなだゆきむらに仕えるさなだ十勇士の一人。さるとびさすけ同様、各地の大名の様子を探る旅をしている。立川文庫の『猿飛佐助』等に登場するキャラクター望月六郎がモデルとなっている。
あなやま こすけ
さなだゆきむらに仕えるさなだ十勇士の一人。北方の国々の様子を探る旅をしていた。立川文庫の『猿飛佐助』等に登場するキャラクター穴山小助がモデルとなっている。
かけい じゅうぞう
さなだゆきむらに仕えるさなだ十勇士の一人。さるとびさすけ同様、各地の大名の様子を探る旅をしている。立川文庫の『猿飛佐助』等に登場するキャラクター筧十蔵がモデルとなっている。
きりがくれ さいぞう
さなだゆきむらに仕えるさなだ十勇士の一人。ももち三だゆうから伊賀流忍術の秘伝の巻物を継いだ忍術使い。兄弟弟子であるいしかわ五えもん、天人おくにらに秘伝を狙われているが、さるとびさすけの協力で彼らを撃退した。立川文庫の『猿飛佐助』等に登場するキャラクター霧隠才蔵がモデルとなっている。
ももち 三だゆう (ももち さんだゆう)
伊賀流忍術使いで、きりがくれさいぞうの師。伊賀の国鈴鹿の山中できりがくれさいぞう、いしかわ五えもん、天人おくにの三人に忍術を教える。さいごの秘伝の巻物を三人のうち最も忍術の腕前が高いさいぞうに与えた後、遠くの山へと去っていった。伊賀流忍術の開祖とされる百地丹波がモデルとなっている。
いしかわ 五えもん (いしかわ ごえもん)
伊賀流忍術使いで、きりがくれさいぞうの兄弟弟子。師ももち三だゆうに伊賀流秘伝を授けられたさいぞうをねたみ、秘伝を狙って襲い掛かってきたところをさるとびさすけに倒される。また、大阪城から財宝を盗み地獄谷へ隠したことがある模様。実在する盗賊石川五右衛門がモデルとなっている。
天人 おくに
伊賀流忍術使いで、きりがくれさいぞうの兄弟弟子にあたる女性。師ももち三だゆうに伊賀流秘伝を授けられたさいぞうをねたみ、秘伝を狙っている。甘党。
ふうせん ガムすけ
とくがわいえやすに仕える忍術使いの一人。自ら発明した「ふうせんガム」を口の中でよく噛んでふくらませることによって空を飛ぶことができる。とくがわ一の忍術使いを自称している。
たまのり小僧 (たまのりこぞう)
とくがわいえやすに仕える忍術使いの一人。自分の身長ほどもある大きな玉に乗ってそれを転がしながら移動する。
おもしろ かおざえもん
とくがわいえやすに仕える豪傑の一人。さるとびさすけと戦った際、さすけに名前の通り面白い顔だといわれてしまう。
やさい サラダのすけ
とくがわいえやすに仕える豪傑の一人。輪投げで相手の動きを封じ込めて戦う。
うごんこ プップのすけ
とくがわいえやすに仕える忍術使いの一人。うどんこの入った筒を吹いてうどんこを撒き散らすことで姿を消そうとしている。
コロッケ 五えんのすけ (ころっけごえんのすけ)
とくがわいえやすに仕える豪傑の一人。さるとびさすけの似顔絵を手に入れ、さすけを狙撃する。とくがわ一の豪傑を自称している。
こうもり小僧 (こうもりこぞう)
とくがわいえやすに仕える忍術使いの一人でスパイ。両手につけた翼状の道具で空を飛ぶことができる。
バテレン怪人 (ばてれんかいじん)
キリシタンバテレンの妖術を使う悪人。いしかわ五えもんが大阪城より盗み出した財宝のありかを示した巻物を手に入れ、財宝を狙う。後に怪人鉄の爪、ビタミンカロリーのすけ、えいようバタすけ等と合流し、協力してさるとびさすけを倒し財宝を我が物にしようとする。西洋の魔法使いからもらった西洋の豪傑を呼び出す薬を持っている。
怪人鉄の爪 (かいじんてつのつめ)
塔に住む怪人。さるとびさすけを敵視している。右手が鉤状になっている。また、翼状のマントで空を飛ぶことができる。後にバテレン怪人、ビタミンカロリーのすけ、えいようバタすけ等と合流し、協力してさるとびさすけを倒し財宝を我が物にしようとする。
ビタミンカロリーのすけ、えいようバタすけ
バテレン怪人からいしかわ五えもんの財宝のありかを示す巻物を盗んだ二人組。自称豪傑。さるとびさすけが化けたいしかわ五えもんの亡霊におびえ、巻物を渡してしまう。