紺田照の合法レシピ

紺田照の合法レシピ

暴力団に所属する若きヤクザの紺田照が、料理を通して極道の世界を生き抜く姿を描く物語。ヤクザとグルメという異色の組み合わせながら、作品内で紺田が作る料理はレシピ投稿サイト「クックパッド」にて公式レシピとして紹介されており、手軽に実現できるという点も大きな特徴となっている。「少年マガジンR」の創刊号である2015年1号(4月20日発売)から2019年6号(10月19日発売)まで連載。2018年3月6日よりAmazonプライムビデオにて実写ドラマが配信された。

正式名称
紺田照の合法レシピ
ふりがな
こんだてるのごうほうれしぴ
作者
ジャンル
グルメ
関連商品
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あらすじ

第1巻

広域指定暴力団「霜降肉組」の若き組員の紺田照は、料理に自身の心血を注ぎ込んでおり、暴力団員としての日々を過ごしながら、同時に料理のヒントになるようなネタを探す毎日を送っていた。そんなある日、紺田は自身の所属する霜降肉組の若頭、狼須武蔵が暴れている現場に遭遇する。食べ物を粗末にする人間を許せないと考える武蔵の目の前で、組員の一人が食べ物を粗末にしてしまったのだという。怒り狂う武蔵を、得意の料理で見事に鎮める事に成功した紺田は、この一件で武蔵から認められる事となる。

そんな紺田にはもう一つ、高校生としての顔があった。自身が暴力団に所属しているという事を隠しながら高校へと通う紺田は、そのただならぬ雰囲気から周囲から避けられていた。そんな紺田に対して、同じクラスの学級委員長である春真希だけは親身に接していたが、その真希が紺田を自身の空手の試合に招待する。試合では惜しくも敗れてしまった真希だったが、紺田はそんな真希に花束を模したサラダを用意し、応援している事を伝える。帰宅した真希は兄の春雨太郎にその事を伝えるが、雨太郎はヤクザを心から憎む刑事だった。

第2巻

紺田照は、所属する霜降肉組の主催する野外バーベキュー大会に参加していた。そのバーベキュー大会に一人のホームレスの老人が現れる。組員に断りもなく勝手に、焼かれた肉を食べているこの老人は、肉の焼き方やレシピについて的確な意見を言う事から、紺田は只者ではないと直感していた。紺田は、その老人に対して自慢の料理の腕を振るう。果たしてその老人の正体は、霜降肉組の上位組織である肉食会総本部の会長、鰭中幻一郎だった。バーベキュー大会での紺田の料理の腕前に感心した鰭中は、ロシアのマフィアとの取引に紺田を指名する。その取引とはロシアからの密輸ルートを確保するというものだった。ロシアマフィアのアブラム・コンスタンチノヴィチ・カラシニコフは、取引に現れた紺田が想像以上に若い男だった事から、取引の中止を伝えるが、紺田はロシアの国民食であるピロシキを利用した料理で、アブラムを認めさせる事に成功する。ロシアでの手土産を持って同じクラスの春真希の家を訪れた紺田は、そこでも料理の腕前を披露し、真希を喜ばせるのだった。

第3巻

紺田照は、霜降肉組の若頭、狼須武蔵から、組員の美濃の身辺調査を命じられる。霜降肉組では麻薬や覚醒剤は御法度という掟があったが、美濃は注射器をつねに持ち歩いている事から、その掟を破っているのではないかとの疑惑があった。武蔵の命令に従って美濃の調査を行った紺田は、美濃の持っていた注射器は、自宅での水耕栽培のために必要な器具だった事を知る。暴力団の組員が水耕栽培をしているのが恥ずかしいと語る美濃に、紺田はその秘密を誰にも話さない事を約束する。だが、美濃にはまだ紺田に隠している事があった。それは、霜降肉組と敵対関係にある桃嘉十組と裏でつながっているという事で、美濃からの情報をもとに、桃嘉十組は密かに霜降肉組の組長である霜降美月とその息子である霜降羽牟助の命を狙っていた。その事実を知らない紺田は、学校で同じクラスの海老原涼からサッカー対決を挑まれる。海老原は学級委員長の春真希に思いを寄せており、その真希が紺田と親しくしている事が気に入らなかったために、自身の得意なサッカーで紺田に恥をかかせようと画策していた。だが紺田はそんな海老原の画策に気づかず、事態は思わぬ方向へと発展していく。

第4巻

霜降肉組の組員である美濃からの情報を得て、桃嘉十組が霜降肉組の組長、霜降美月の自宅を襲撃する。実は美濃は桃嘉十組によって恋人を人質にとられており、やむなく桃嘉十組に情報を流していたのだ。しかし、偶然その場に居合わせた紺田照の活躍で、桃嘉十組の襲撃は失敗に終わる。そんな紺田を狙う一人の刑事がいた。彼の名は望月修治。望月は、警察でありながら数多くの暴力団員をスパイとして雇っており、紺田もその一人として加えるつもりだった。紺田は望月の申し出を断ろうとするが、友人や家族の命を盾に要求をのむように脅される。さらに望月は、少しでも問題を起こせばすぐに逮捕できる状態にある事を紺田に伝え、四六時中紺田を監視するが、紺田は決して弱みを見せる事はなかった。

そんなある日、紺田は同じクラスの海老原涼の招待で、春真希やその友人達と共に海老原の別荘へとやって来る。真希の気持ちを自分に振り向かせるために、今度は別荘でアプローチをかける海老原だったが、誤って毒草を食べてしまう。そんな海老原の窮地を救った紺田の姿に、海老原は自身の考えを改めるのだった。

第5巻

刑務所から軽火仗太郎という受刑者が脱走した。軽火が霜降肉組の元組員である事から、彼の確保を指示する狼須武蔵。実は軽火は紺田照にとって幼い頃に命を救われた恩人であり、何度か紺田自身も面会に訪れたものの、まったく会う事ができずにいた。その軽火は海でイカ釣りをしていた。居場所を突き止めた紺田に、軽火はイカが死んだ妻の好物だった事、そしてその妻は軽火の服役中に亡くなった事を話し、釣ったイカを墓前に供えるように頼む。恩人の頼みを聞いてイカを備えた紺田だったが、その直後風邪で体調を崩して寝込んでしまう。看病に訪れた春真希とその友人である蜂野蜜子は、共に紺田のために病人食を振る舞おうとするが、普段から料理をやり慣れていない二人はまともな献立を作る事ができなった。見かねた紺田は、二人の作った料理を組み合わせた新たな料理を作り、無事に風邪は回復する。

そんな紺田に、鰭中幻一郎から新たな指令が届いた。かねてからゴーヤを苦手としていた鰭中は、なんとか克服したいと思い、抜群の料理の腕前を持つ紺田に白羽の矢を立てる。だが、ゴーヤ料理を完成させた次の瞬間、鰭中を狙う謎の集団が現れた。

第6巻

鰭中幻一郎にゴーヤ料理を作っていた紺田照は、突如として現れた謎の集団に襲撃され、海の底へと沈められる。なんとか脱出に成功した紺田は、彼らを襲撃して来た謎の集団の正体が、かつて密輸ルートの取引を行った相手であるロシアマフィアである事を知る。ロシアマフィアのアブラム・コンスタンチノヴィチ・カラシニコフは、霜降肉組の組員が自分達のアジトを襲撃して来たため、その報復に鰭中達を狙ったのだという。しかし、ロシアマフィアのアジトを襲撃したのは、霜降肉組と敵対している桃嘉十組であり、ロシアマフィアと霜降肉組とを仲違いさせる事が目的だった。濡衣が晴れた鰭中は、和解の証としてアブラム達を自身の新たなビジネスに協力させる。

そんなある日、霜降肉組に一人の新人組員が入って来た。彼の名は原木豪という男で、暴走族のリーダーだった事から、霜降肉組の中でも期待の新人だった。原木の教育をする事となった紺田だったが、原木は霜降肉組の若頭、狼須武蔵にあこがれて組に入ったのであり、紺田に対しても完全に見下した態度を取っていた。しかし、紺田の器の大きさに接した原木は、紺田への認識を改め、アニキと慕うようになるのだった。

登場人物・キャラクター

紺田 照 (こんだ てる)

霜降肉組の若き組員の男子高校生。料理が得意で、暴力団員としての日々を過ごしながら、料理のヒントを得ている。性格はつねに冷静沈着で無表情、必要以上に言葉を発しない事に加えて、高校では一人だけ白い学生服を着用しているため、周囲から恐れられている。基本的には春真希以外誰も話し掛ける事がなかったが、やがて蜂野蜜子や海老原涼とも少しずつ打ち解けていく。 感情を表に出す事はほとんどないが、それでも料理の際には心の声がかなり饒舌であり、柔らかい表情を見せる事もある。幼い頃に軽火仗太郎によって命を助けられた過去があり、その時に軽火によってかけられた「強くなれ」という言葉を胸に、その言葉に従って生きてきた。料理の腕前は一流で、霜降美月や鰭中幻一郎をはじめ、彼の料理のファンだという人も多い。

春 真希 (はる まき)

紺田照と同じ高校に通う女子高校生。紺田とはクラスも同じであり、学級委員長を務める。誰とでも気さくに話し掛ける明るい性格で、クラスの人気者。その明るく人当たりのいい性格から、海老原涼は彼女に思いを寄せているが、本人はまるで気づいていない。空手の有段者であり、自身の空手の試合に紺田が応援に来た事から、少しずつ彼と距離を縮めていく。

海老原 涼 (えびはら りょう)

紺田照と同じ高校に通う男子高校生。サッカー部のエースであり、爽やかな好青年である事から、同じ高校の女子達からの人気が高い。しかし、実際には姑息な手段で相手を陥れる卑怯な性格の持ち主。同じクラスの春真希に対して思いを寄せており、その真希と仲がいい紺田照に対しても、嫉妬にかられて陥れるための策略を練っている。 実家が有名料亭を経営しているためかなりの金持ちであり、紺田は海老原涼の持参する弁当で味の研究をしてみたいと思っている。

蜂野 蜜子 (はちの みつこ)

紺田照と同じ高校に通う女子高校生。春真希と仲がよく、クラスではいつも行動を共にしている。海老原涼の事が好きだったが、紺田照や春雨太郎に言い寄る事もあり、男性を好きになりやすい性質。当初は太った体型だったが、ダイエットの末に体重を落とす事に成功し、美しい風貌へと変身した。

御手洗 団吾 (みたらし だんご)

紺田照の通う高校の男性教師。生活指導を担当しており、毎朝校門に立って服装を始めとする校則違反に目を光らせている。しかし、明らかに校則違反の学生服を着用している紺田照に対しては、その迫力から恐れをなして注意ができないでいる。

春 雨太郎 (はる あめたろう)

春真希の兄で刑事の男性。ヤクザを心の底から憎んでおり、あるヤクザ組織の囮捜査中に紺田照と出会う。紺田の事はヤクザであるため、あくまでも敵対する関係でしかないと思っているが、成り行きで共闘する事が多く、紺田に助けられた事も少なくない。妹の真希が「紺田くん」という男子高校生の話を頻繁にしている事は耳にしているものの、それが紺田と同一人物だとは気づいていない。

霜降 美月 (しもふり みつき)

霜降肉組の組長を務める女性。もともと霜降肉組は、霜降美月の夫が組長を務めていたが、抗争の末に命を落としたため、美月が組を切り盛りしている。女性ながら度胸があり、夫の残した古きよき任俠道を継承しているため、組員からの信頼も厚い。敵対する組織からも恐れられるほどの気迫を持つが、家では息子の霜降羽牟助の教育に頭を悩ませる母親としての顔を見せる。

霜降 羽牟助 (しもふり はむすけ)

霜降美月の息子。霜降肉組というヤクザの跡取り。まだ5歳という年齢もあって好き嫌いが多く、美月を悩ませている。紺田照の作った料理を気に入り、何かと理由をつけては家に呼んで料理をさせている。

狼須 武蔵 (ろうす むさし)

霜降肉組の若頭の男性。血の気が多く気に入らない事があれば、すぐに手を出す短気な性格であるため、組員達からは恐れられている。無類の女好きで、狼須武蔵の機嫌が悪くなった時にはとりあえず女を用意する、というのが組員達の中でも暗黙のルールとなっているほど。紺田照に対しては、当初は彼の陰気な雰囲気を好ましく思っていなかったが、紺田が作った料理を食べてからは評価を改め、現在は彼の度胸を含めて一目置いている。

丸長 栄治 (まるなが えいじ)

霜降肉組の組員の男性。小太りの体型で、新入りだった紺田照の教育係を務めた。当初は紺田の事を甘く見ていたが、共に過ごすうちに紺田の持つ料理の腕前と度胸を認めるようになる。現在は紺田の事も組の中で最も頼りにしており、紺田にとってもよき先輩である。

鰭中 幻一郎 (ひれなが げんいちろう)

霜降肉組の上位組織である肉食会の会長を務めている、老齢の男性。ホームレスのふりをして霜降肉組の主催するバーベキュー大会にまぎれこみ、紺田照と出会う。かなりの食通であり、料理を食べただけで調理方法や調味料を言い当てるほどの舌の持ち主。ロシアンマフィアとの取引に紺田を指名するなど、紺田の料理の腕前だけでなく、その手腕を高く評価している。

軽火 仗太郎 (かるび じょうたろう)

霜降肉組の元組員の男性。紺田照が幼い頃に命を救われた恩人であり、紺田が生きる指標となっている存在でもある。現在は服役中であり、妻の墓前に供えるイカを釣るために脱獄した際に紺田と再会した。一度しか会った事がないにもかかわらず紺田を覚えており、その事が彼を大いに感激させた。

美濃 (みの)

霜降肉組の組員の男性。麻薬や覚醒剤を禁じている霜降肉組の掟を破っているとの疑惑から、狼須武蔵によって指示を受けた紺田照が監視をしていた。それが誤解である事がわかってからは、紺田とも良好な関係となる。同棲しているフリーターの彼女がいる。

原木 豪 (はらき ごう)

霜降肉組の新人組員の男性。狼須武蔵にあこがれて霜降肉組に加入したが、武蔵以外の組員を見下している。紺田照に対しても当初は見下した態度を取っていたが、紺田のヤクザとしての度量に惚れ込み、その後は紺田の舎弟として彼を「アニキ」と慕う。

アブラム・コンスタンチノヴィチ・カラシニコフ (あぶらむこんすたんちのゔぃちからしにこふ)

ロシアマフィアの男性。鰭中幻一郎とは長い付き合いであり、一定の信頼関係を築いているが、基本的には日本人の事をあまり信用していない。取引の現場に現れた紺田照に対しても決して心を許していなかったが、紺田の作った料理を食べて、彼の事を認めるようになる。料理の礼として、ロシアの格闘技を紺田に教えるなど義理堅い性格。

望月 修治 (もちづき しゅうじ)

刑事の男性。囮捜査など強引な捜査手法で高い検挙率を誇り、スパイを多くヤクザに雇っている事でも知られている。紺田照に目をつけ、彼を自身のスパイとするように勧誘するが断られたため、紺田の弱みを握ろうと四六時中紺田を監視している。

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