ライフ2 ギバーテイカー

ライフ2 ギバーテイカー

女性警察官の倉澤樹が、かつて妹を殺した少年の貴志ルオトの医療少年院退院を機に、再び犯罪を起こし始めたルオトを捕らえるため戦う姿を描いたクライムサスペンス。「アフタヌーン」2016年8月号から2018年12月号にかけて連載された作品。

正式名称
ライフ2 ギバーテイカー
作者
ジャンル
犯罪
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あらすじ

第1巻

女性警察官の倉澤樹は、17歳の頃に妹の倉澤穂乃花を、当時親しくしていた少年の貴志ルオトに殺された過去がある。当時三人は本当の兄弟のようになかよくしていたが、ある日突然殺人に関心を抱いたルオトが、穂乃花を殺害したのである。それから6年後の10月、ルオトが医療少年院から退院すると聞いた樹は、ルオトが矯正教育に成功し、更生したいう話に驚かされる。しかしその日、樹が帰宅すると家の扉に穂乃花の死亡当時を連想させる風鈴と、「あなたの大切なものをもう一度奪います」と書かれた手紙が置かれていた。犯人はルオトに違いないと感じた樹は、これから始まるであろうルオトとの戦いに、怒りを燃やすのだった。その直後、樹の勤める牧窪署の近くのスーパー「オルス」の副店長・有坂洋介が、何者かに殺害されたという報せが届く。すぐさま樹達は強盗殺人事件として捜査本部を開くが、その目撃者で洋介の娘の有坂弥生は、精神的にとても証言ができる状態ではなかった。そこで樹は、洋介が死んだのは自分のせいではないかと悩む弥生に、自分も家族を殺された過去があると打ち明ける。これによって心を開いた弥生は、数名の容疑者の中から、金田佑が真犯人であると証言する。

第2巻

倉澤樹は、有坂弥生の証言をもとに金田佑の逮捕に成功しかけたが、精神的に追い詰められた佑は首吊り自殺を図り、事件は被疑者死亡で書類送致に終わってしまう。そして樹は自殺現場に残された落書きから、佑と貴志ルオトにはつながりがあると確信し、ルオトのあまりにも邪悪なやり口に怒りを募らせるのだった。一方、その頃ルオトは「小林一真」の偽名で、パン屋「幸せの穂」の住み込み従業員として働くようになっていた。そこでルオトは、従業員の津山聡美が、店主であり聡美の義父の津山善行から性的虐待を受けている事を知る。この聡美の辛い境遇を利用できると考えたルオトは、あたかも聡美の理解者のように振る舞い、聡美をそそのかして善行を殺害して、死体を山の奥深くに埋める。そして善行から解放されて喜んでいる聡美を、ルオトは精神的にコントロールし始めていくのだった。一方の樹はルオトを捕まえるには、もっと彼の情報を手に入れる事が不可欠だと考えていた。そこで樹は、元捜査一課の刑事であり、現在は多国籍パブを経営しているに、ルオトの母親の居場所を探してもらう事にする。

第3巻

倉澤樹は、貴志ルオトの情報を得るため、ルオトの母親である貴志茉莉絵が暮らす、軽井沢へ向かっていた。しかし茉莉絵は当時の事をまるで覚えておらず、樹は茉莉絵がPTSDによる記憶障害であると判断する。結局手に入れられたのは、茉莉絵が「アマリリス」という曲を非常に恐れており、おそらくこの曲とルオトは関連があるという情報だけだった。その直後、今井要に呼び出された樹は、笹本加奈という若い女性が自宅で亡くなっていた事件を担当する事になる。そこで他殺と判断した樹は暴走しかけるが、今井の冷静な対処により、真犯人であり、加奈の兄でもある笹本亮介の逮捕に成功するのだった。一方その頃、樹の友人の椿理子は、ルオトが働く様子をこっそり調査していた。しかしこれがきっかけで、理子はルオトに見つかってしまう。そしてルオトは理子のスマートフォンを使って樹に連絡し、今日の午後5時25分までに自分達を見つけられなければ、理子を殺害すると宣言。焦った樹は指定された場所に向かい、そこにいたルオトを逮捕するが、これはルオトが仕掛けた罠であった。

第4巻

椿理子貴志ルオトといっしょに行動していただけで、危害はいっさい加えられていなかった。これによって倉澤樹は誤認逮捕を行ったとされ、自宅謹慎処分となってしまう。しかし今井要だけは、ルオトがあたかも理子を殺害したかのように装って、樹に自分を逮捕するよう仕向けた事を把握していた。その後、処分が解けた樹は出勤するが、樹がルオトを誤認逮捕した動画がインターネット上で拡散されており、樹はマスコミや一般人、そして署の人間からもバッシングを受けるようになってしまう。さらに、樹が以前にルオトの母親の貴志茉莉絵について調べてもらう代わりに、生活安全課の情報を横流ししていた事もばれてしまう。これを知った理子は、樹がルオトへの怒りに燃えるあまり正しい判断ができなくなっていると考え、二人のあいだには決定的な溝ができてしまうのだった。こうして署での居場所をなくした樹は、退職して一人でルオトを追おうと考えるようになっていた。しかし、樹に辞表を渡された要は樹の事を「相棒」と呼び、このまま警察官として、いっしょにルオトを捕まえようと手を差し伸べる。

第5巻

倉澤樹は、貴志ルオトの誤認逮捕により、非常に小さな交番に左遷されてしまう。一方その頃、今井要はついにルオトとの接触に成功。だが、要を邪魔だと判断したルオトは、要を殺害するため、行動パターンを把握するべく津山聡美に彼を尾行させる。聡美はルオトの役に立ちたいあまり、先走って要を襲うが、要はこれを見抜いていた。さらにその場に樹も駆けつけた事で、聡美の襲撃は失敗に終わるのだった。その後、最近スリルな出来事がないと感じていたルオトは、女装をして、若い女性に援助する事を望む谷部誠に会いに行く。そこで誠を殺害し、殺人欲求を満たして満足したルオトは、家に戻ったところで、聡美から要を尾行するだけでなく殺そうとした事を知らされ激怒。だが、暴力を振るわれたあとにルオトに優しくされる事で、聡美はますます洗脳されていく。その直後、樹は津山善行が行方不明になっている事を知り、善行の遺体を発見できれば、ルオトを逮捕できると思いつく。同時に樹は、最近同級生のうち数名の連絡が取れなくなっていると知り、こちらの調査も始める。しかし、樹が要に協力を求めようとしたその時、要は聡美に襲われ、重傷を負ってしまう。

第6巻

倉澤樹は、今井要を襲った犯人が津山聡美であると知り、聡美と貴志ルオトの住む家に向かう。しかしルオトはすでに逃げたあとで、ルオトに愛されていないと知った聡美は、焼身自殺を図ろうとしていた。樹はどうにか聡美を説得して逮捕するが、ルオト達の家は燃え、さらにそのあいだにルオトの手によってが殺害されてしまうのだった。その後、要はどうにか一命を取り留めたものの意識は戻らず、樹はたった一人でルオトと決着をつける決意をする。一方ルオトの次のターゲットは、樹の同級生が集まる、高比良小学校の同窓会であった。ここはルオトの母校でもあったが、ルオトは倉澤穂乃花を殺害した事で少年院送致されたため、卒業できなかったのである。ルオトは同窓会会場に突如姿を現すと、まず今日来られなかった数名は自分が殺害したと宣言。次に篝から盗んだ銃を持ち出し、自分は今日ここで会いたい人がいるので、その人が来るまで、自分に従わない人間は殺していくと告げる。その会いたい人とは、樹であった。事態を察した樹は、にも協力してもらい、急いで現場へ向かう。

登場人物・キャラクター

倉澤 樹 (くらさわ いつき)

牧窪警察署に勤める女性。階級は巡査で、年齢は23歳。前髪を肩につくほど伸ばして真ん中で分けて額を全開にし、腰まで伸ばした茶色のストレートロングヘアにしている。まじめで正義感の強い性格。しかし、感情的で思い込みが激しく、猪突猛進な一面があるため、今井要には警察官には向いてないと評されている。17歳の夏、当時弟のようにかわいがっていた少年の貴志ルオトの手によって妹の倉澤穂乃花を殺害された。 にもかかわらずルオトは国や法律に守られて生きている事に強い怒りを抱く。これがきっかけで、犯罪者と戦うため警察官を志した。現在は巡査として、同期の星と呼ばれるほどの活躍をしている。しかし、気が強すぎて周囲の言う事を聞かなったり、結果的にほかの警察官の手柄を横取りしてしまったりする事から、周囲からは煙たがられていた。 そんなある日、ルオトが医療少年院を退院した事を知り、さらにルオトから、樹の大切なものを再び奪うと宣言される。これを発端にルオトを捕らえるため、要と共に戦う事になる。

貴志 ルオト (きし るおと)

凶悪殺人犯の少年。倉澤樹のかつての友人で、年齢は17歳。前髪を目の上で切った、ふんわりとした灰色のウルフカットの髪型をしている。中性的な雰囲気の美少年で、一見穏やかでかわいらしい容姿だが、精神的に幼いまま成長している。そのため他者の心を理解する力に欠けており、平気で人を物のように扱う残虐な一面がある。貴志茉莉絵と、妻子ある男性のあいだに生まれ、茉莉絵は彼に経済的援助を受けながら一人でルオトを育てた。 しかし貴志ルオト自身は、幼い頃から茉莉絵とそりが合わず、ある日、自分よりも大切にされている当時1歳の妹、貴志リリが邪魔になり、殺害する。しかしそれは事故として処理され、茉莉絵とさらに精神的距離ができた状態で、11歳の頃に樹達が倉澤一家が暮らす高比良ニュータウンに引っ越して来る。 そこで樹、倉澤穂乃花と親しくなり、特に唯一自分を理解してくれると感じた樹に異常な執着心を抱くようになる。そして11歳の夏、穂乃花を殺害。すぐに逮捕され、中央医療少年院に送致された。またこの時、マスコミによって「殺人騎士」のあだ名を付けられた。そして17歳の10月1日、中央医療少年院を退院。 「小林一真」という偽名を手に入れて新たな生活を送りつつ、樹の大切なものを再び奪うため、連続殺人を繰り返すようになっていく。谷部誠殺害時には、女装して「藤村詩乃」と名乗った。

今井 要 (いまい かなめ)

牧窪警察署に勤める若い男性警察官。倉澤樹の先輩で、前髪をきっちりと分けて額を全開にして撫でつけた、刈り上げの短髪。非常に長身で、目が細い。また、後輩である樹に対しても敬語で接する。クールで落ち着いた性格の持ち主。非常にまめで「メモ魔」と呼ばれるほど物事をしっかり記録している。また、甘いものに目がないかわいらしい一面もある。 貴志ルオトが医療少年院を退院した頃から、樹の様子がおかしい事に気づき、事件性を感じていた。そのため、危なっかしい樹を見守りながら、いっしょに仕事を続けていた。しかし、樹のルオト誤認逮捕の段階で、ルオトが殺人鬼である事を確信。誤認逮捕がもとで署内で居場所をなくし、苦しむ樹の相棒として、ルオト逮捕を目指す事になる。 その過程で津山聡美に襲われ、一度は生死の境をさまようが、どうにか一命を取り留める。樹とルオトの最終決戦の際には、満身創痍の身体で協力に向かった。両親はおらず、中学生の頃から一人暮らしをして一人で生きてきた。

椿 理子 (つばき りこ)

牧窪警察署生活安全課少年係に勤める女性。倉澤樹の友人で、階級は巡査長。樹とは同期だが、年齢は27歳で、4歳年上にあたる。前髪を前上で短く斜めに切り揃え、肩につくほどまで伸ばした前下がりのボブヘアにしている。左目尻にほくろが一つある。明るく面倒見のいい性格で、樹の事を友人としても、姉的存在としてもつねに案じている。 また責任感が強く、休日には業務を通じて出会った少年少女達のその後の様子を見に、よく少年院や児童養護施設を訪れていた。そのため、貴志ルオトとも、直接接触した事がある。ルオトの医療少年院退院後は、樹の言葉もあり、ルオトがまた殺人を犯しているのではないかと怪しんでいた。しかし、その心優しい人柄をルオトに利用され、騙されてしまう。 お酒は好きだが、非常に弱い。

(かがり)

元警視庁捜査一課の刑事を務める中年の男性。倉澤樹の知人で、現在は多国籍パブ「レディユニバース」を経営している。前髪を上げて額を全開にし、肩につくほどまで伸ばした髪をお団子ハーフアップにしている。顎ひげを生やし、左目の上から下にかけて斜めに入った、大きな一本線の傷跡がある。通称は「S」。銃を所有していたり、ビザの切れた外国人従業員を、そうと知っていて雇い続けていたりするなど、違法行為を多数行っている。 樹に警察のガサ入れの時期を教えてもらったり、派手なコスプレをさせて写真を撮ったりする事と引き換えに、貴志茉莉絵に関する情報を調査するなどの取引をしていた。その裏で、貴志ルオトとも知り合い、樹の写真を売っていたが、ある日ルオトに銃を奪われそうになり、抵抗したのちに殺害された。

(みなと)

根島警察署の稲賀瀬交番で働く中年の男性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした癖のある短髪に、無精ひげを生やしている。牧窪警察署から左遷されて来た倉澤樹の先輩となるが、仕事に対してはいっさいやる気がなく、交番でも居留守を使ったり、酒を飲んだりしていつもさぼっている。しかし、樹が懸命に貴志ルオトを追っている事を知り、次第に協力するようになる。

倉澤 穂乃花 (くらさわ ほのか)

倉澤樹の妹。11歳で亡くなった。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした内巻きボブヘアにしている。穏やかで心優しい性格。小学5年生のある日、隣家に越して来た貴志ルオトと出会い、同じ5年2組になった事で親しくなる。そこで、美少年であるがゆえに、周囲から注目され過ぎて困っているルオトを励まそうと、ルオトの編入直後、樹と共にピアノを披露する。 それが偶然ルオトが最も好きな曲であるフランス民謡「アマリリス」であった事から、さらに三人はなかよくなった。しかしその後、ルオトと二人で「たかひら風鈴祭」出掛けた際、ルオトに殺害されて亡くなった。

倉澤 由紀子 (くらさわ ゆきこ)

倉澤樹と倉澤穂乃花の母親。前髪を目の上で切り、肩につくほどまで伸ばした、癖のあるセミロングヘアにしている。6年前までは元気で、夫と二人の娘と四人で幸せに暮らしていた。しかし6年前の夏、貴志ルオトによって穂乃花が殺害されてから、精神的に不安定になってしまった。特に穂乃花が殺された直後は、ショックで声を発する事もできなくなり、自殺未遂をした事もある。 現在では会話はできるようになったが、穂乃花は殺されたのではなく、事故で亡くなったと思い込む事で精神の安定を図ろうとしている。

有坂 洋介 (ありさか ようすけ)

有坂弥生の父親。牧窪市にあるスーパー「オルス」の副店長を務める男性。年齢は44歳。前髪を眉上で短く切った短髪。父子家庭で、弥生と二人暮らしをしている。44歳の10月2日午後5時、弥生から「オルス」で万引きを働いた男性がいる事を知らされる。そこで犯人である金田佑を追いかけたところ、もみ合いになり、刃物で刺されて亡くなった。

有坂 弥生 (ありさか やよい)

有坂洋介の娘で、女子高校生。前髪を目の上で切り揃え、胸の下まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。洋介と二人暮らしをしており、学校の帰りは洋介の働くスーパー「オルス」で買い物をするのが日課になっていた。ある年の10月2日午後5時「オルス」で買い物中で、店で万引きを働いた男性を目撃する。そこですぐさま洋介に伝えるが、その結果、洋介が犯人ともみ合いになって死亡したため、自分のせいで洋介が死んだと思い込んでいる。 そのため事件後は人と会話もできないような精神状態であったが、倉澤樹と出会い、同じように家族を殺された経験を持つ樹に心を開く。これがきっかけで捜査に協力を決意し、有坂弥生の証言がもとで金田佑洋介を殺した犯人である事が特定される事となった。

金田 佑 (かねだ ゆう)

パチンコ&スロット店「9ESTRON」でアルバイトしている男性。年齢は21歳。前髪を目が隠れそうなほど伸ばしたウルフカットヘアにしている。17歳の頃に窃盗で捕まり、中央医療少年院に送致された事で貴志ルオトと知り合う。その後退院した21歳の10月、ルオトの指示でスーパー「オルス」へ行き、万引きを働いたのち、追いかけて来た有坂洋介を殺害した。 しかしその後精神的に追い詰められ、葦切橋(あしきりばし)の下で首を吊って自殺し、事件は被疑者死亡による書類送致に終わった。

津山 善行 (つやま よしゆき)

津山聡美の義理の父親。パン屋「幸せの穂」店主を務める男性。年齢は49歳。前髪を額が見えるほど短く切った短髪。太めの体型で、目が細い。一見穏やかで心優しい人物として振る舞っているが、高校時代に窃盗や暴行などの犯罪を犯した事があり、その罪滅ぼしに「幸せの穂」を始めた。ある時、児童養護施設「若草ひかり園」にパンの配達へ行ったのをきっかけに聡美と出会い、聡美を養子にする。 しかしその後、聡美に性的虐待をするようになり、頻繁に欲望のはけ口にしていた。ある年の10月、その事実を隠したまま新住み込み従業員として貴志ルオトを雇い、その素性を知らずに「小林一真」として聡美に紹介する。しかしすぐルオトに性的虐待の事実を知られ、ルオトと、ルオトにそそのかされた聡美によって殺害され、山中に埋められた。 「幸せの穂」を立ち上げたり、店のリフォームをしたりする際に借金をしており、その返済に困っていた。そのため死後は、借金を苦に失踪したと思われている。

津山 聡美 (つやま さとみ)

津山善行の義理の娘。パン屋「幸せの穂」で働く女性。年齢は23歳。前髪を顎の高さまで伸ばして左寄りの位置で分けて額を見せ、胸の高さまで伸ばしたロングヘアに眼鏡をかけている。やや太めの体型で、地味な雰囲気を漂わせている。しかし、貴志ルオトとの出会いを機に美しく変わっていく。母親はおらず、中学生になるまでは父親と二人で暮らしていた。 だがある日突然、父親が死体遺棄の罪で逮捕され、以来親戚の家を転々とした末に児童養護施設「若草ひかり園」に入る事になる。そこでパンの配達に来ていた善行と出会い、彼の養子となった事で、現在の「津山」姓を名乗っている。その後、善行から性的虐待を受けるようになって苦しむが、ほかに助けてくれる人はおらず、仕方なく善行の仕打ちに耐えて生きてきた。 23歳の10月に、新たな住み込み従業員としてやって来たルオトに身の上を打ち明けたところ、ルオトが善行の殺害を提案。これに乗った事がきっかけで、ルオトに心酔し、精神的にコントロールされるようになっていく。

貴志 茉莉絵 (きし まりえ)

貴志ルオトと貴志リリの母親。年齢は43歳。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして右寄りの位置で斜めに分け、胸の下まで伸ばした巻き髪ロングヘアにしている。妻子ある男性とのあいだにルオトとリリをもうけるが、貴志茉莉絵自身は、女の子がほしいと思っていた。そのため、リリが生まれたあとはリリにばかり構うようになっていた。 しかしリリが1歳のある日、ルオトによって殺害され、その時にルオトがフランス民謡の「アマリリス」を歌っていた事から、この曲に強い恐れを抱くようになる。結局リリの死は事故として処理されるが、茉莉絵は以降ルオトをさらに避けるようになる。さらにその後、ルオトが倉澤穂乃花も殺害した事で精神に異常をきたし、現在は「田辺」姓を名乗って軽井沢で、犬のリリといっしょに暮らしている。 そのため、当時の記憶はあいまいで、ルオトが実の息子であるという実感もない。

貴志 リリ (きし りり)

貴志ルオトの7歳年下の妹。1歳の頃に亡くなった。ルオト同様、貴志茉莉絵と妻子ある男性のあいだに生まれ、女の子をほしがっていた茉莉絵に、ルオトよりもかわいがられて育つ。しかし、これによってルオトに敵視され、殺害された。

笹本 加奈 (ささもと かな)

笹本亮介の妹。植台町に住む女性。年齢は22歳。スペインバル「チョリソ」で働いている。前髪を耳の下まで伸ばして真ん中で分けて額を見せ、胸の下まで伸ばしたロングヘアにしている。父親は長期入院中で、このまま父親が亡くなった場合、住んでいる家は自分か亮介のどちらかのものになると考えていた。しかし、亮介のようなさえない人間よりも、自分の恋人に家をプレゼントしたいと考えており、ある日それが理由で亮介と口論になる。 そこで腹を立てた亮介の手によって、自殺に見せかけて殺害された。

笹本 亮介 (ささもと りょうすけ)

笹本加奈の兄。植台町に住む若い男性。「玖保鉄工所」で働いている。前髪を目の上で切った、癖のある短髪。父親は長期入院中で、このまま父親が亡くなった場合、住んでいる家は自分か加奈のどちらかのものになると考えていた。しかしある日、泥酔した加奈と口論になり、衝動的に加奈に睡眠薬を飲ませて殺害。その後、加奈のスマートフォンを操作して、あたかも自殺のように見せかけていた。 しかし今井にすべてを見抜かれ、逃走しようとしたところを倉澤樹に逮捕された。

宇賀神 敏一 (うがじん としかず)

倉澤樹の働く県の県警捜査捜査一課管理官を務める中年男性。前髪を右寄りの位置で分けた、癖のある短髪に眼鏡をかけている。実力者ではあるが、すぐに部下を怒鳴りつけたり、物に当たったりするなど、精神的に不安定で感情の起伏が激しい。

谷部 誠 (たにべ まこと)

貴志ルオトが「パパ活」つまり援助交際をした40代の男性。前髪を額が見えるほど短く切った短髪に眼鏡をかけ、顎ひげを生やしている。穏やかでお人好しな性格の持ち主。以前は教師であったが、親の介護を理由に退職して実家に戻り、以来、介護をしながら職を転々としていた。しかしその親も亡くなり、一人ぼっちになってしまったところで、誰かと話したいと考えるようになる。 そこでパパ活サイトを使って、女性と知り合おうと考えた。しかしそれをルオトに利用され、「藤村詩乃」と名乗ってやって来た女装したルオトに騙されたあげく、絞殺された。

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