あらすじ
第1巻
とある学校の俳句を中心に活動するわびさび部の部室で、部長の冷泉あいは、お気に入りの松尾芭蕉の句を短冊に書きながら詠もうとしていた。そこに部員の山下おにぎりと桃田うさこが慌ただしくやって来る。大食い娘のおにぎりは、アメリカンドッグを3本も食べながら、うさこはおにぎりに買ってもらったうさぎのぬいぐるみを抱えながら。あいはそんな二人に飲料の「よ~いお茶」で募集している俳句に応募してみようと持ち掛ける。部のアピールになるうえ、入選すればお茶が1ケースもらえると張り切る三人だったが、なかなかいい句が思い浮かばない。部室の縁側で庭を眺めながら一休みしていた三人は、ししおどしの水面が夕焼け色に染まっているのを見て、自然と「水面にそまる夕焼け鼈甲雨」という句を作り出すのだった。(第1句「古池や」。ほか、7エピソード収録)
登場人物・キャラクター
冷泉 あい
わびさび部の部長を務める女子。黒髪ロングストレートの美少女。お気に入りの利休帽をかぶり、あずき色の地味目な着物を着ている。部内では一番俳句に詳しく、有名な句をよく筆で短冊に書いている。おしとやかな性格で、部員たちとも敬語で話す。10年前に家を出ていった父親のことが今でも忘れられず、寂しい思いをしている。
桃田 うさこ
わびさび部に所属する女子。ピンク色の髪を短いツインテールにしている。部活動時はピンクの着物を着ている。冷泉あいと山下おにぎりからは、かわいいものが好きだと誤解されており、部の癒しを担当するマスコット的な存在。しかし、実は極度のむっつりスケベで、「癒し系」ではなく「ヤらしい系」。「入選」と聞けば「乳腺」、「アピール」は「アフターピル」と、すぐにエッチな単語を連想してしまい、顔を赤らめている。むっつりスケベであることはみんなに明かさず、かわいいもの好きの癒し系として振る舞っている。
山下 おにぎり
わびさび部に所属する女子。金髪のショートカットで、部活動時は黄色の着物を着ている。アメリカンドッグを何本も食べる大食い娘で、ホットケーキを模したヘアバンドを付けている。詠む句も、つい食べ物に関するものになってしまう。実は「三浦ななこ」という名前で妹系のグラビアアイドルとして活動しているが、冷泉あいや桃田うさこには内緒にしている。胸が大きいが、食べないとすぐに胸がしぼむ体質のため、胸が小さくなってグラビアの仕事が減ることを恐れ、大食いしている。
立花 凛花
わびさび部に入部してきた女の子。わびさび部のSNSに以前からコメントを寄せていたファン第1号。「凛花」というその雅な名前から、冷泉あいたちは凛とした花のような大和撫子をイメージしていたが、実際はゴスロリファッションで、デスメタルを愛する少女だった。デスボイスながら、与謝蕪村を崇拝しており、俳句を愛する気持ちはあいたちに負けない。
あいの父親 (あいのちちおや)
冷泉あいの父親。俳句が大好き。千利休のような服装で、家では句を詠んでばかりいる。定職に就いていないため、妻にキレられ、ハローワークに連行されそうになるが、旅に出ると言って家を出てしまう。その旅で俳句を詠みまくり、「パパの細道」という本を出版して有名になることを目論んでいたが、家を出て10年間、音沙汰がない。あいが愛用する利休帽は、あいの父親が家を出る時にもらったものである。
店長 (てんちょう)
わびさび部が訪れた焼肉屋の店長を務める男性。禿げ頭で、あごに傷のある強面のいかつい人物。実は極度の人見知りで、俳句を交わした人としかうまく会話できない。俳句が好きで、店名も「焼肉屋とてもおいしゅうございます」と五七五になっている。
集団・組織
わびさび部 (わびさびぶ)
大和撫子たちが美しい句を詠みかわすことを目的とした部活動。冷泉あいが部長を務める。部員は桃田うさこと山下おにぎりで、のちに立花凛花も加わって四人となる。部室は茶室のような立派な建物が用意されており、縁側とししおどしのある小さくて風流な庭まである。和服を着て、俳句を詠むのが主な活動内容で、校内での知名度は極めて低い。