彼女はデリケート!

彼女はデリケート!

ボクシングと恋愛に青春をかける星野達郎の姿を描く、スポ根&ドタバタラブコメディ。物語は、スポ根要素の強い第1巻から第5巻までの中学生編と、恋愛描写に比重を置いた第5巻から第12巻までの高校生編の2部構成になっている。「週刊少年マガジン」1989年第3・4合併号から1991年第9号にかけて連載された作品。本作『彼女はデリケート!』は、1988年第39号に読み切りで掲載されたカジワラタケシの『僕の夏 ビーナス物語』の続編であり、コミックス第1巻の巻末には、この読み切り作品も掲載されている。

正式名称
彼女はデリケート!
ふりがな
かのじょはでりけーと
作者
ジャンル
美少女・萌え
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あらすじ

第1巻

いまいち冴えない男子中学生の星野達郎は、ある日、不思議な雰囲気を持つ少女、朝霧夏美と出会う。夏美を意識する達郎は、無理やり大人びた自分を見せようとして玉砕し、それっきり夏美と会う事はなくなった。それからしばらく経ち、友人の中井良介の代わりにボクシング部の試合に出た達郎は、優勝候補の相手をK.O.してしまう。この出来事をきっかけに達郎は新しい自分を発見し、夏美以外の女性を彼女にしようと、神崎まりなに接近するが、夏美の事を忘れられない自分に気づくのだった。その数日後、達郎の通う北中に夏美が転入して来る。同じ学校に通う事で距離が接近する事を期待する達郎だったが、夏美の態度は冷たくなるばかり。バレンタインデーも近づき、達郎が夏美からのチョコレートを気にしてやきもきする中、ボクシング部では新人戦が始まるのだった。

第2巻

ボクシング部の新人戦に朝霧夏美を誘った星野達郎は、強敵の沼田政治を相手に苦戦を強いられるものの、新たに編み出したダブルアッパーでK.O.勝ちをおさめる。しかし、夏美からはバレンタインデーのチョコレートはもらえず、結局誰に渡したのかわからず仕舞いであった。その後、達郎はボクシングの関東選抜大会の代表に選ばれ、新たな部員で、サポーターの橘拓美と共に優勝を目指す。そんな中、クラスには聖アリス学園から早乙女美樹が新たに転入し、さらにドタバタな毎日が始まるのだった。

第3巻

ボクシングの関東選抜大会がいよいよ始まった。星野達郎は順調に勝ち進み、試合を経るごとにその能力を覚醒させていく。そして準々決勝を目前に控えたある日、達郎は朝霧夏美の誕生日が間近に迫っている事を知る。さまざまな妨害にさらされた結果、最終的に達郎が夏美に渡せたのはチューリップ一輪のみだったが、夏美はそれに喜び、準々決勝での勝利をプレゼントにしてほしいと達郎に伝える。夏美の言葉に奮起した達郎は、翌日の準々決勝の試合で見事K.O.勝ちをおさめるのだった。続く準決勝の相手は、大会のダークホースであるマーク・山本に決定。そんな中、マークをマネジメントする森山亨が、早乙女美樹に無理やり婚約を迫っている事を知った達郎は、美樹に望まない結婚をさせないためにも、マークに勝利する事を誓う。

第4巻

星野達郎マーク・山本を倒して関東選抜大会決勝戦に駒を進めたが、決勝の相手である陣内利夫の実力を目の当たりにし、その強さに驚愕する。そこで達郎は、霧山一平から紹介された元ボクサーのサルバドール・ゴメスにコーチを依頼し、自分の弱点を解消。同時に新しい攻撃方法を身につけ、決勝戦に挑む事となった。一方、朝霧夏美は別居していた両親が再び同居する事となり、日本を去る事が決定していたが、達郎が試合に集中できない事を危惧して、その事を内緒にしていた。何も知らない達郎は陣内の事だけを考え、リングへと上がるのだった。

第5巻

ボクシングの関東選抜大会決勝戦で、星野達郎陣内利夫は、ほぼ互角の試合を展開していた。その頃、朝霧夏美は、達郎に内緒で日本を去る準備を進めていた。そして達郎は、夏美が日本を去る事を試合の途中で知り、全力で陣内を倒して見事優勝を果たす。そして喜びもそこそこに、周囲の力を借りて夏美のいる空港へ駆けつけるのだった。

季節は流れ、達郎は夢ヶ丘高校へ、夏美は聖アリス学園の高等部へ進学した。そして達郎は、両親がいない夏美の自宅に下宿を開始する事となった。通う学校は違うものの、夏美との同棲生活を迎えて達郎は息巻く。だが、実は夏美の家にはお手伝いさんの徳川タケもいっしょに住んでいた。こうして達郎のなかなか思うようにはいかない高校生活が幕を開ける。

第6巻

朝霧夏美と同じ家で暮らす生活が始まった星野達郎は、お手伝いさんの徳川タケからの妨害にも負けずに、夏美との距離を詰めようと奮闘していた。そんな中、家の前に置き去りにされていた赤ちゃんの母親を探したり、夏美の16歳の誕生日を祝うためにアルバイトをしたり、文化祭で行うボクシング部の公開試合の準備をしたりと、大忙しな日々を送る事となる。

第7巻

文化祭で女装する事になった星野達郎の写真を見た朝霧夏美は、そのあまりの変身ぶりに、達郎が自分以外の女の子の写真を持っていると勘違いして怒ってしまう。達郎はその誤解を解くために、夏美を自分の通う夢ヶ丘高校の文化祭に誘う。達郎は文化祭ではクラスの出し物のほか、ボクシング部の公開試合にも出場し、夏美の声援を受けて見事試合に勝利。同時に誤解を解く事にも成功するのだった。

文化祭が終わると、夏美の両親がケンカしながら自宅へと帰って来る。夏美と達郎は協力して両親を仲直りさせるが、その後もイギリスからリサもやって来て達郎に一目惚れしたりと、ますます激動の日々が続いていく。

第8巻

朝霧夏美の家に下宿する事になったリサは、星野達郎と同じ夢ヶ丘高校に転入した。達郎に対するリサのアプローチが日に日に過激になっていくのを見かねた夏美は、葉月渚を達郎の恋人だと偽ってリサを諦めさせようと画策する。しかし、噓をつくのが嫌になった夏美はリサに自分の正直な気持ちを伝え、二人は正式にライバルとして付き合っていく事となる。そんな中、夏美の通う聖アリス学園の教師に、夏美と達郎が同居している事を知られてしまう。学校側は達郎に家を出るよう勧告するが、夏美はそれを拒否したうえ、聖アリス学園を退学。さらに渚もいっしょになって退学し、二人そろって達郎の通う夢ヶ丘高校に転入するのだった。

第9巻

夢ヶ丘高校の中で一番の女子を選ぶミスコンテストが始まった。エントリーされた朝霧夏美は、1年生のアイドルと呼ばれている上条えりかと対決する事になった。これに伴い、審査員となった星野達郎に、えりかの激しいアプローチが始まる。一方の達郎は、夏美を選びたい気持ちと、夏美を独占したいというエゴに悩まされる。結局コンテストはえりかが優勝する事となったが、以降も夏美の人気はまったく下がる気配を見せず、不満を覚えたえりかは、夏美に対してさらなる勝負を持ち掛ける。

第10巻

星野達郎朝霧夏美リサの三人は夏美の父の別荘を訪れ、普段とは違う雰囲気の中、のびのびと過ごしていた。しかし、三人でボートに乗った際、夏美とリサが豹変し、何かに取り憑かれたかのように達郎を誘惑し始める。そんな二人に困惑する達郎は、徳川タケからボートと三人の男女にまつわる話を聞かされるのだった。達郎はその話を再現して取り憑いた者の未練を断ち切り、ひと夏の騒動を収束させる事に成功する。

三人が別荘から夏美の家に戻ると、そこにリサの弟、マーシュが訪れる。マーシュは日本に何か目的があるらしく、達郎達は彼に協力して奔走する事となる。

第11巻

2学期を迎え、星野達郎が所属するボクシング部も参加する新人大会が始まった。これは達郎にとって1年ぶりにして、高校入学後初めての公式戦であった。迎えた初戦の日、達郎は緊張に震えていたものの、夏美の激励を受けて見事にK.O.勝ちをおさめる。そして試合後、達郎は中学時代に自身のボクシングをサポートしてくれていた橘拓美と再会する。橘はセコンドではなく選手として出場しており、達郎を倒すと宣言。さらに、夏美は橘から告白されたと達郎に告げ、達郎は不安定な気持ちのまま試合当日の朝を迎える。朝のランニング中、橘に遭遇。橘に直接発破をかけられると、夏美を渡さないためにも彼と戦う事を決意する。

第12巻

新人大会の決勝戦、星野達郎橘拓美の試合が始まった。達郎は朝霧夏美を橘に奪われないために、橘は自分が思いを寄せる神崎まりなの中にある、達郎への未練を断ち切らせるために拳を交える。互いの実力は拮抗し、どちらが勝つかわからない試合展開となるが、紙一重の差で達郎が勝利をおさめるのだった。そして橘が夏美に告白したというのは、達郎を成長させるためのブラフという事を明かされ、達郎はほっと胸をなでおろすのだった。

夢ヶ丘高校のボクシング部では、新人戦に勝利した実績を買われ、達郎が新キャプテンに指名される。これに伴い、達郎は霧山一平と一戦交える事となったが、その練習の最中、夏美が交通事故に遭ってしまい、達郎に関する記憶のみを失ってしまう。彼女の記憶を取り戻すため、達郎は霧山との試合で、全力で戦う自分の姿を夏美に見せようと決意する。

登場人物・キャラクター

星野 達郎 (ほしの たつろう)

北中に通う男子中学生。黒髪の短髪で、身長がやや低い。至って平凡な男子として生活しているが、すべてにおいて平均的かそれ以下であり、さらに彼女ができない事を悩みにしている。運動神経抜群の兄が二人おり、自分が同じように能力を発揮できない事にふがいなさを感じているが、兄達の事をうらやんだ事はない。毎日コンビニで朝霧夏美の事を見かけており、その際には不思議と力が湧き、奇跡のような事が起こる事を自覚している。友人の中井良介が腕を骨折した際に、素人ながら急遽代役としてボクシングの試合に出る事になったが、そこで観客の中に夏美がいるのを見つけて試合に勝利。以後はボクシング部に正式に籍を置き、その才能を徐々に発揮すると同時に、夏美との距離も縮めていく。女性に対しては優しく、守るべきものと考えている。一方で少々だらしない面もあり、迫られると断れない性格。ただしそんな時には毎回、夏美に対して罪悪感を覚えている。 中学卒業後は夢ヶ丘高校へと進学し、夏美の自宅で下宿を始める。容姿は整っており、女装をした際には本物の女性と見間違われるほどだった。なお、幼少の頃に洗濯機に落ちて溺れて以来泳ぎを苦手としていたが、夏美のおかげで克服。高校最初の新人戦が始まると心身ともに成長し、夏美に対しても自信を持って接する事ができるようになった。新人戦に優勝したのち、ボクシング部のキャプテンに指名される。

朝霧 夏美 (あさぎり なつみ)

聖アリス学園に通う女子中学生。星野達郎と同い年。黒髪のロングヘアで、切れ長の眼をした美人。エキゾチックな雰囲気を漂わせており、陰では「聖アリスの裏番」と呼ばれている。両親は別居しており、父親はイギリスに住んでいる。そのため両親が憎み合っていると勘違いしており、男性との付き合いを避け、世間を冷めた目で見ている。しかし、ある日出会った達郎の中に、若者らしい夢や希望、情熱がある事を知り、惹かれるようになっていく。周囲からは男嫌いでクールな性格と思われているが、達郎に対しては、普通の女の子と同様にやきもちを妬いたり、わがままを言う事もある。また、少々思い込みが激しいところがあり、達郎を振り回す事も多い。のちに達郎と同じ北中へ転校し、以降は達郎の事をさらに意識するようになる。中学3年生の時、両親が再び同居を始める事となり、イギリスに引っ越す事が決まったが、達郎への思いが止められず、一人日本に残った。 中学卒業後は聖アリス学園の高等部に進学。高校生活が始まってからは達郎と自宅で同居を始め、途中からリサもいっしょに住む事になった。リサが達郎に積極的なアプローチをする事に対し、最初は我慢して見守っていたが、のちに自らの思いをリサに打ち明け、恋のライバルとして付き合うようになる。以降は、リサが達郎に対してスキンシップをしても比較的寛容に許すようになった。もともと料理の腕はイマイチで、食べられないものばかり作っていたが、練習の末に、オムレツとサラダだけならまともに作れるようになった。のちに達郎との同居を学校に知られた事がきっかけで、葉月渚と共に、聖アリス学園の高等部から夢ヶ丘高校に転校する。

葉月 渚 (はづき なぎさ)

聖アリス学園に通う女子中学生。星野達郎と同い年で、朝霧夏美の親友。ロングヘアで、目元にほくろがある。大人っぽい性格で夏美にも信頼されており、込み入った事を相談される事もある。家は金持ちで、自宅では和服を着ている。また茶道部に所属しており、自宅でも茶道をしている。中学卒業後は聖アリス学園の高等部に進学。 以降はレストランでアルバイトも始め、あとから入って来た星野達郎と交遊を深めていく。のちに夏美と付き合い、聖アリス学園の高等部から夢ヶ丘高校に転校する。

霧山 一平 (きりやま いっぺい)

北中に通う男子中学生。前髪が長く、真ん丸な目をしている。物腰が柔らかく、優しい印象の男性。だが、ボクシング部のキャプテンを務めており、怒らせると相手を瞬殺してしまうと恐れられるほどの実力の持ち主。星野達郎の2年先輩で、彼の能力にいち早く気づき、ボクシング選手として育て上げた。中学卒業後は夢ヶ丘高校へと進学し、のちに入学して来た達郎と共にボクシングに打ち込んだ。

橘 拓美 (たちばな たくみ)

北中に通う男子中学生。星野達郎と同い年。長髪で眼鏡をかけている。アメリカでボクシングの英才教育を受け、帰国後はスポーツ特待生として城南中に転入したが、父親の仕事の関係で北中へと転校した。霧山一平とは知り合いで、橘自身も霧山を尊敬している。当初は達郎を運動音痴だと非難していたが、練習で達郎の才能を認めると、積極的に彼のサポートを行うようになった。 選手としても有能ではあるが、橘拓美自身はほかの選手をマネジメントする方を好んでいる。硬派で相手の性別によって態度を変える事はないが、「お色気」には弱く、女性の裸を見ると狼狽してしまう。中学卒業後は京栄高校に進学。神崎まりなに思いを寄せていたが、まりなの中に残る達郎への思いを断ち切らせるためにボクシング選手として登録し、達郎を倒す事を目標に新人戦を勝ち進んでいった。 また、同時に達郎のボクシングに足りない「闘志」を引き出すため、朝霧夏美に協力を求めて、達郎の本当の力を覚醒させる事にも手を貸した。

神崎 まりな (かんざき まりな)

北中に通う女子中学生。星野達郎のクラスメイトで、ボクシング部のマネージャーも務めている。赤毛をポニーテールにし、結び目にはリボンを付けている。明るい性格だが異性に対しては奥手で、積極的になれないところがある。達郎に思いを寄せていたが、朝霧夏美の登場により、彼との仲が進展する事はなかった。高校生になってからは、橘拓美に好意を寄せられるようになるが、神崎まりな自身は達郎への思いが捨てきれず、橘の思いには応えられずにいた。 しかし、そんな自分のために戦う橘の姿を見て、達郎への思いを断ち切る。

中井 良介 (なかい りょうすけ)

北中に通う男子中学生。星野達郎とは小学校から付き合っている親友。短髪で面長な顔をしている。達郎とは同じクラスで、さまざまな事に達郎を誘っている。ボクシング部に所属しており、廃部の危機になった時に不良に絡まれ、腕を骨折した事から達郎に代役を頼み、達郎がボクシングを始めるきっかけを作った。

沼田 政治 (ぬまた せいじ)

城南中学に通う男子中学生。星野達郎より1歳年上。髪をつんつんとはねさせており、目つきが鋭い。ボクシングの新人戦の初戦で達郎と対決した。ボクシングの実力は確かで、当初は有利に試合を進めていたが、途中で覚醒した達郎によってK.O.負けしてしまう。関東選抜大会が始まると北中を訪れ、試合中に自分が気づいた達郎の弱点を告げ、克服するようアドバイスを送った。

早乙女 美樹 (さおとめ みき)

北中に転入して来た女子中学生。星野達郎が中学3年生になった年に、聖アリス学園から達郎のクラスに入った。ウェーブのかかったロングへアに、きらきらとした瞳の美少女。容姿端麗で頭脳も優秀だが、色々な面で自分を上回る朝霧夏美が気に入らず、ライバル心を抱いている。実家は実業家の大金持ちで、運転手付きの車で登下校している。 当初は夏美から奪ってやろうと達郎に接近したが、達郎がボクシングに打ち込む姿を見て惹かれるようになっていく。その後、森山亨と無理やり婚約させられそうになった時に、達郎に助けてもらい、以後は真剣に思いを寄せるようになった。夏美が日本を離れようとした際、二人のあいだに入り込むスキがない事を悟り、身を引いた。

森山 亨 (もりやま とおる)

早乙女美樹が婚約させられそうになった青年。政財界の大物の一人息子であり、高身長のイケメンで、頭脳も明晰。頭脳と資金を贅沢に使ったスポーツ科学を至高のものと考えており、汗を流して努力するスポーツ選手の事を見下している。その力を使ってマーク・山本を育て上げ、星野達郎と対決させたが、マークは達郎に敗北。その事を受け入れられず、往生際悪く物言いをつけるが、朝霧夏美に一喝され、さらに美樹もあきらめる事となった。

マーク・山本 (まーくやまもと)

ボクシングの関東選抜大会に千葉県代表として参加した男子選手。中学3年生の星野達郎と準決勝で対決した。森山亨による科学的なトレーニングを受けており、大会のダークホースとして勝ち進んでいった。相手の弱点を突いた戦い方を得意とするが、達郎に敗北した。

陣内 利夫 (じんない としお)

西城中学校に通う3年生の男子中学生。星野達郎と同い年。運動能力が高く、エリートボクサーとして知られる存在で、中学3年生の時、ボクシングの関東選抜大会の決勝で達郎と対決した。プロからのスカウトも多い逸材で、大会でも優勝候補だったが、達郎との試合で敗れた。

サルバドール・ゴメス (さるばどーるごめす)

中学3年生になった星野達郎のボクシングのトレーナーを務める老人。ひげを生やしている。小柄だが元プロボクサーで、現役時代は「殺人マシン・ダイナマイト・ゴメス」という異名で、その名の知られた選手だった。ボクシング関東選抜大会の決勝戦に向けて伸び悩んでいた達郎が、霧山一平に紹介された人物。トレーナーを担当する前には相手にテストを課しており、孫娘のみゆきによれば、そのテストに合格したのは達郎が初めてだという。

みゆき

北中に通う女子中学生。サルバドール・ゴメスの孫娘。星野達郎の1年後輩にあたる。ショートカットの髪型で大きな目をしており、中学生にしては発育がよく、胸が大きい。歯に衣着せぬ活発な性格の持ち主。達郎のボクシングを側で見ているうち、彼に惹かれるようになっていく。

徳川 タケ (とくがわ たけ)

朝霧夏美の家で家政婦をしている老女。白髪で、いつも和服を着ている。朝霧家には50年以上仕えて「ばあや」と呼ばれており、夏美の両親からも信頼を得ている。気の強い性格で、夏美の事を守るために尽力している。なぎなたをはじめとする武道にも長けており、さまざまな手段で、達郎と夏美が必要以上に接近するのを妨害している。達郎に対しては当たりは強いものの嫌っているわけではなく、あくまで夏美と達郎が不純異性交遊をしないように見張っているだけである。

リサ

イギリス人の父親と日本人の母親を持つハーフの少女。星野達郎と同い年で、朝霧夏美のいとこ。金髪碧眼でスタイル抜群。イギリスでは学校の寄宿舎で生活していたが、規律が厳しく日本へ逃げて来た。イギリスへ連れ戻そうとしたボディガードから逃れている最中に達郎に助けられ、一目惚れした。夏美の従妹ではあるが、8年ぶりの再会だったため、夏美からはすぐに思い出してもらえなかった。 その後、夏美の自宅で下宿する事となり、達郎と同じ夢ヶ丘高校に転入し、達郎に積極的にアタックするようになった。露出度の高い服を着て達郎を誘惑する事が多い。料理の腕に優れ、軽いものからフルコースまで作る事ができる。

夏美の父 (なつみのちち)

朝霧夏美の父親。若作りな外見をしており、女性にもてる。夏美によれば「優しいけれど優柔不断」との事で、星野達郎に似た性格をしており、達郎とは思考や行動が合致する事が多い。妻の朝霧陽子の事を中心に思ってはいるが、女性に対しては少々だらしない部分もある。達郎に対しては優しく、夏美の事を託している。日本に一時帰国したが、その後イギリスへと帰った。

朝霧 陽子 (あさぎり ようこ)

朝霧夏美の母親。年齢は不明だが外見は非常に若く、星野達郎が初めて会った時には夏美の姉だと勘違いしたほど。夏美によく似ており、体形も近いため、夏美の服を着る事ができる。料理を得意としているが、そそっかしいところもあり、こぼしたり失敗する事も多い。また、夏美に似て思い込みが激しい部分もある。日本に一時帰国したが、その後イギリスへと帰った。 玲子は双子の姉妹である。

相田 翔 (あいだ しょう)

夢ヶ丘高校に通う男子高校生。星野達郎が高校に入学してから知り合ったクラスメイト。軟派な性格で、ガールハントを趣味にしている。テニスのスポーツ推薦で入学したため、勉強は不得意。高校生編に入ってからの中井良介的な立ち位置になっている。

鈴木 早智夫 (すずき さちお)

夢ヶ丘高校に通う男子高校生。星野達郎が高校に入学してから知り合ったクラスメイト。角の生えたような髪型に眼鏡をかけており、達郎より身長が低い。一見勤勉そうだが、実際はあまり成績はよくない。どちらかというと、達郎や相田翔と共にガールハントをしている事が多い。

羽鳥 翔子 (はとり しょうこ)

聖アリス学園に通う女子中学生。セミロングの髪を片側にまとめている。朝霧夏美より年下で、夏美の事を姉のように慕っている。なんでも完璧にこなす夏美に対して憧れを抱いており、夏美の心を射止めた星野達郎に興味を持って誘惑したが、のちに夏美に説き伏せられて改心した。

福山 拳児 (ふくやま けんじ)

夢ヶ丘高校に通う男子高校生。星野達郎が高校に入学してから知り合った。達郎と同じくボクシング部の新入部員ではあるが、ロック研究部にも所属しており、滅多にボクシングの練習には訪れない。試合に出られればどうでもいいという考え方の持ち主で、練習をまったく重要視していない。ボクシングの腕は悪くはないが、練習不足がたたり、手を怪我している達郎にも敗れる。

上条 えりか (かみじょう えりか)

夢ヶ丘高校に通う15歳の女子高校生。小柄な身体で、髪をお団子ヘアにしている。成績優秀で運動神経もよく、家は財閥という事もあり男子達の注目の的。しかし、朝霧夏美、リサ、葉月渚が転入して来たため、影が薄れてしまった事を気にしている。ミスコンテストをきっかけにNo.1の地位を取り戻そうとし、過激な行動にも出た。 ミスコンテストでは優勝をおさめたものの、周囲は夏美に対しての評価を下げていない。結局、何の変化もない事を不服に思い、最終的には夏美を排除しようとした。それも失敗に終わるが、夏美に対してくじけず挑戦していく姿は、男子達から好評を博す事となった。

マーシュ

リサの幼い弟。リサと同じく金髪碧眼である。したたかな性格で、星野達郎を振り回している。イギリスに住んでいるが、めぐみを追いかけて日本へ来た。めぐみの前ではなかなか素直になれず、もじもじとしてしまう。

めぐみ

マーシュの思い人。幼い少女で、かつてイギリスに住んでいた時にマーシュと知り合い、思い合うようになった。マーシュには「メグ」と呼ばれている。はっきりしない性格のマーシュに怒る事もあり、どちらかというとマーシュを引っ張っている。母親同士が憎み合っているせいで、マーシュとの仲が進展しなかったが、仲直りをきっかけにイギリスへと引っ越す事になった。

玲子 (れいこ)

リサとマーシュの母親。朝霧陽子とは双子の姉妹。雰囲気は陽子と似ているが、玲子の方が気の強い顔をしている。イギリスに住んでいるが、マーシュを連れ戻しに日本へ来た。めぐみの母親であるあゆみとは学生時代からの付き合いで、共にイギリスへ留学した際に、抜け駆けしてお互いが好きなった男性を誘惑。 以降、あゆみとは仲が悪くなったが、マーシュとめぐみのおかげで仲直りする事に成功する。ちなみに、当時抜け駆けして誘惑した男性は現在の夫である。

あゆみ

めぐみの母親。玲子とは学生時代からの知り合い。イギリスへ留学した際、玲子に抜け駆けされて、好きだった男性を取られて以来、険悪な仲になっていた。だが、めぐみとマーシュが好き合っている事をきかけに仲直りし、その後、めぐみと共にイギリスへと渡った。

三宮 さゆり (さんのみや さゆり)

葉月渚の後輩の女子中学生。髪を三つ編みにしている。渚が中学の時に所属していた茶道部の後輩で、その頃から渚に憧れを抱いていた。男性恐怖症であり、男性を嫌っている。

場所

聖アリス学園 (せいんとありすがくえん)

日本でも有数のお嬢様学校として知られる、小中高の一貫校。通っている女子生徒も器量のいい女性ばかりで、近隣の学校の男子生徒にとっては憧れの的となっている。規律は厳しく、特に男女交際に関してはかなりの制約がある。女性教師はシスターのような服装をしている。

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