概要・あらすじ
室町時代に一人の僧がいた。権力に抗い、名ばかりの高僧をあざ笑い、民衆の中に飛び込んで生きた一休宗純。戦乱の世の中で様々な人々と出会い、悩みながら成長していく。同時に、世阿弥、足利将軍家を挟み込みながら、重層的に話を進行させていく。
登場人物・キャラクター
一休宗純 (いっきゅうそうじゅん)
幼名は千菊丸。6歳に安国寺に入門。周建と名付けられる。その後、仏法を修業して自分のものにすべく、禅興庵に座り込みの末、入る。#謙翁宗為の弟子となり、宗純と名付けられる。宗の文字は師の名から。大徳寺の高僧、華叟宗曇に弟子入りし、「洞山三頓の棒」という公案(禅宗で師が弟子に与える問題)に答えを出したことにより一休の道号を受け、一休宗純となる。 闇夜のカラスの鳴き声により大悟し、師より印可証を与えられるものの辞退する。権力や金に集まる世間や寺を批判して、転々し、酒を呑み、女を抱く破戒僧。「風狂の僧」とも呼ばれ、民衆に支持を得ていた。 生きるとは何か、仏とは何かなど苦悩しつつも生きていく。実在の人物一休宗純がモデル。
後小松幹仁天皇 (ごこまつもとひとてんのう)
南北朝合一後、皇位についた第100代天皇。一休の父親。皇位を譲って後、上皇として仙洞御所にて院政を執り行う。年老いてから、一休に会うために呼び寄せた。実在の人物後小松幹仁天皇がモデル。
伊予局 (いよのつぼね)
一休の母。北朝に追われ、一休、玉江とともに嵯峨野で生活していた。足利将軍家は、一休がやがて南朝方の志を継ぐかもしれないと怪しんでいるため、一休を寺へ向かわせた。実在の人物伊予局がモデル。
玉江 (たまえ)
伊予局、一休の身の回りの世話をする。一休のことを気にかける伊予局のため、たびたび一休の様子を伺い、知らせる。
足利 義満 (あしかが よしみつ)
室町幕府第3代将軍。南北朝統一や勘合貿易、後に北山文化と呼ばれた文芸興隆を行った。室町幕府の政治、文化などの一時代を築いた。実在の人物足利義満がモデル。
足利 義持 (あしかが よしもち)
室町幕府第4代将軍。父の義満に反発する政治を行うものの、家臣たちにより合議制が敷かれ政治力を失う。その後、子の義量に譲り、出家。実在の人物足利義持がモデル。
世阿弥 元清 (ぜあみ もときよ)
猿楽能演者。父の観阿弥とともに、足利義満の庇護を受け新しい猿楽能を発展させていった。実在の人物世阿弥元清がモデル。
観世 元雅 (かんぜ もとまさ)
世阿弥元清の息子。父の後を継ぐべく、猿楽能をするが、音阿弥が出てきたことにより脅かされる。実在の人物観世元雅がモデル。
音阿弥 (おんあみ)
世阿弥の養子。華やかな芸風で、民衆の人気を得る。実在の人物音阿弥がモデル。
像外 集鑑 (ぞうがい しゅうかん)
一休の最初の師となる。寄進額の計算ばかりしている。実在の人物像外集鑑がモデル。
謙翁 宗為 (けんおう そうい)
弟子を取らず民衆の中に入り、托鉢する僧。一休の坐禅を禁じ続ける。実在の人物謙翁宗為がモデル。
華叟 宗曇 (かそう そうどん)
一休の師。臨済宗大徳寺の住持だったが、堅田に禅興庵を作る。実在の人物華叟宗曇がモデル。
養叟 宗頤 (ようそう そうい)
華叟の一番弟子。一休に憎しみともいえる感情を持つ。金も名誉も手に入れたが、それでも足りないという、一休の逆の立場として描かれる。実在の人物養叟宗頤がモデル。
春夜叉 (はるやしゃ)
旅芸人。夢見草一座の女性で、一休に食べ物をあげた。その後、一休に押し倒されたことで、離れてしまう。
蜷川 新左エ門 (にながわ しんざえもん)
室町幕府の政所代。一休の巡錫に同行していた。実在の人物蜷川新左エ門がモデル。
森女 (しんにょ)
盲目の女性。鼓と歌の女旅芸人だった。一休と出会い、一度は離れるものの、再会した後には一緒に暮らしていく。一休の最期を看取る。実在の人物森女がモデルとなっている。
南江 宗沅 (なんこう そうげん)
相国寺の僧だったが、腐敗した五山叢林を出て、一休に傾倒する。境では集雲庵を作り、その後も一休に付いていく。実在の人物南江宗沅がモデル。
書誌情報
あっかんべェ一休 2巻 KADOKAWA〈青騎士コミックス〉
第1巻
(2024-01-19発行、 978-4047377677)
第2巻
(2024-01-19発行、 978-4047377684)