概要・あらすじ
美谷成良はまだ若いながらも、シェフの高井戸衛をはじめとした志を同じくする仲間たちとともにフレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」を経営している。どんな客にも満足してもらいたいというコンセプトのもと、ドレスコードなどもなく、味もサービスも一流のものを安価で提供していた。そして店の奥には、中でも特別に幸せになってもらいたい客のための、特別なテーブルが用意されていた。
しかし採算を無視したサービスを重ね、なおかつ成良と衛の旧友である駒竹から借金を負わされてしまったことで、店は閉店せざるを得なくなってしまう。それでも、客の笑顔を原動力とする成良と衛は、めげずにキャンピングカーを改造し、新たにフランス料理の屋台を出店するのだった。
登場人物・キャラクター
美谷 成良 (みたに せいら)
フレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」のオーナーをしている女性。年齢は26歳。両親も洋食屋を経営していたのだが、喧嘩の果てに離婚しており、このことが心の傷になっている。親の離婚に伴ってフランスの寄宿学校に入れられ、パリのビストロで文句をつけていたところ、そこで働いていた高井戸衛と出会い、その店で働くようになった。 心の中では衛のことを深く愛しているのだが、両親の離婚がトラウマになっているため、愛というものを素直に信じることができない。
高井戸 衛 (たかいど まもる)
フレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」でシェフとして働く青年。美谷成良とは、フランスで修業している時に出会い、それ以来の腐れ縁。口調が厳しく、冷たい印象を与えるが、本当は成良のことを大切に想っている。実は父親は大手化粧品メーカーの社長で、母親はその愛人だったため、母子ともにパリに囲われていたという過去を持つ。 アイデアが豊富で、極限まで客の満足を追求する強いプロ意識の持ち主。
北沢 聖太郎 (きたざわ しょうたろう)
フレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」でソムリエとして働く青年。かつておかまバーで働いていたという変わった経歴の持ち主で、オネエ口調で話す。一方でワインの味がわかる鋭敏な舌を持つ。感情が豊かで、嫌な客に対してはつい顔に感情が出てしまうことがある。
木場 蛍 (こば けい)
フレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」でパティシエとして働く青年。冷静沈着な性格ながら、料理に関しては挑戦的なところがあり、まかないではいつも変わった創作料理を作る。実は東大を中退して料理の世界に入ったという異色な経歴を持つ料理人。美谷成良に想いを寄せていたが、失恋してしまう。
勝見 龍之介 (かつみ りゅうのすけ)
日本フランス料理協会の理事長を務めている中年男性で、自身でも三ツ星レストランを経営している。レストランのマナー本などを出版しており、店の評価にはうるさい。フレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」にやって来た際にも店のことを酷評するが、高井戸衛の料理の腕前にだけは感心していた。実は美谷成良の父親。
美谷 麗子 (みたに れいこ)
美谷成良の母親。中年女性だが年齢不詳の美しさの持ち主。もともとはソムリエを目指していたが、元夫である勝見龍之介と意見がぶつかり、第一線から退かされた過去がある。現在は美容コンサルタントの店を開いており、美容セミナーも開催するなど、かつての食品業界とはまったく違う世界でバリバリ働いている。
東平 (とうへい)
美谷成良のおじで、成良の幼い頃から親交がある。忙しい成良の両親に代わり、よく面倒を見ていた。成良の両親の泥沼離婚劇についてもよく知っており、そのせいで成良が深く傷ついたことに心を痛めている。両親が自分を邪魔者扱いしてパリに留学させたと思い込んでいた成良の誤解を解き、両親と仲直りするきっかけを作った。
鏑川 (てきがわ)
フレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」に食事にやって来た青年。豊子と付き合っており、彼女の前で格好つけようと、レクチャー本に従い店を馬鹿にした。これにより美谷成良と揉め、結果的に食事を台無しにしてしまう。後日、反省した成良に呼び出され、詫びの意味も込めたもてなしを受けることとなる。
豊子 (とよこ)
フレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」に食事にやって来た若い女性。お嬢さま育ちだが、優しくしっかりした性格で、付き合っている鏑川が空回りするたびにフォローして場を和ませている。格好つけた鏑川ではなく、彼のありのままの姿に魅力を感じている。
田辺 (たなべ)
大学生の青年。金持ちの友人たちとともにフレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」にやって来た。父親が事業を失敗したため、奨学金で大学に通っている苦学生。そのため、今は金持ちグループの中でいびられている。高井戸衛の料理や美谷成良のもてなしを受け、自信を取り戻す。
城山 妃佐子 (しろやま きさこ)
フレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」の常連客の若い女性。魚料理が好きだが、骨を取るのが苦手。親に勧められた相手である百竹と婚約しているが、デブでブサイクな彼のことを恥ずかしく思っている。基本的にわがままな性格だが、時に素直なところを見せることもある。
百竹 (ももたけ)
城山妃佐子の婚約者の男性。商社に勤めていて収入が良く、次男で包容力があり、妃佐子に呼ばれればいつでもどこでも駆けつけ、彼女が欲しがるものはなんでも買い与えている。文句なしに条件の良い男性だが、デブでブサイクなのが玉に瑕。
大浦 秀平 (おおうら しゅうへい)
フレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」に訪れた青年。自殺する前に美味しいものが食べたいと美谷成良に訴えてきた。子供の頃から、仕事で忙しい両親にかまってもらえず、デパートの惣菜ばかり食べていたことから味覚障害となっていた。高井戸衛の料理や成良の明るいおもてなしによって、母親の懐かしい料理を思い出す。
駒竹 (こまたけ)
保険の外交をしている若い男性。美谷成良や高井戸衛とは、同じレストランで働いたことがある先輩でもある。保険の勧誘だと嘘をついて成良の保険証を入手し、悪徳消費者金融から500万円を借り入れた。その後は食に関する仕事に就き、必死で働いて成良に借金を返す。
雪絵 (ゆきえ)
富山に住んでいる女性。遠距離恋愛をしている岩田とクリスマスに東京で待ち合わせたが、携帯電話を水没させてしまい、連絡が取れなくて泣いていたところを美谷成良や高井戸衛らに助けられる。ドジで泣き虫で放っておけないタイプ。
岩田 (いわた)
富山から上京し、東京の大学に通っている男性。恋人の雪絵とは遠距離恋愛をしているが、せめてクリスマスには一緒にいたいと考え、東京で会う約束をした。アルバイトで自転車のメッセンジャーをしており、いつも東京中を自転車で駆け巡っている。
笑里 (えみり)
バレンタインチョコレートを求めてフレンチレストラン「ラ・タブール・ドゥ・ボヌール」にやって来た若い女性。片想いの男性が別の女性と結婚することになり、やけを起こしてたくさんの男性に義理チョコを配ろうとしていたが、美谷成良に止められる。成良のアドバイスを受け、失恋覚悟で想い人に告白する。
場所
ラ・タブール・ドゥ・ボヌール (らたぶーるどぅぼぬーる)
美谷成良がオーナーを務めるフレンチレストラン。シェフは高井戸衛、ソムリエは北沢聖太郎、パティシエは木場蛍が担当している。どんな客にも気持ちよく食べてもらいたいというのがコンセプトで、ドレスコードなどはない。経済観念があまりない成良のせいで、借金を抱えて店を手放すことになったが、のちにキャンピングカーを改造した屋台の形で経営を再開。 このような形式ながら、一流のフランス料理を提供するということで話題を呼ぶこととなった。