あらすじ
第1巻
自転車が大好きな鳴嶋ゆうみは、春から進学のために親元を離れて一人暮らしを始めた。しかし、新しい部屋には駐輪場がないことが発覚。新しい町で、お散歩や通学による輝く自転車ライフを思い描いていたゆうみは、予想外の事態に落ち込んでしまう。そんなある日、電車に乗っていたゆうみは、大きな収納袋を持った女の子、滝沢奈緒に出会う。奈緒と同じ駅で下車したゆうみは、彼女の持ち物が折り畳み自転車だったことを知り、興味津々。さらにあっという間に自転車の完成形へと組み立ててしまったことに感動し、奈緒に声を掛ける。突然のことに驚く奈緒だったが、ゆうみの折り畳み自転車への熱意が伝わり、二人はすぐに打ち解ける。奈緒はそんなゆうみを自宅へと誘い、初心者にも乗りやすい折り畳み自転車を紹介。ゆうみが引っ越してきたばかりであることを知ると、彼女に自転車を貸し、いい場所へ案内すると、ゆうみと共に多摩湖へと向かうのだった。そして二人は折り畳み自転車をきっかけに、どんどんなかよくなっていく。
登場人物・キャラクター
鳴嶋 ゆうみ (なるしま ゆうみ)
進学のために上京したばかりの女の子。この春から親元を離れ、一人暮らしを始めた。自転車と、草花や鳥などの生き物が大好き。絵を描くことも好きなため、かばんにはいつもスケッチブックを持ち歩いており、腕前はかなりのもの。おっちょこちょいなところがあるが、素直で無邪気な明るい性格で、いつもマイペースに振る舞っている。新居に駐輪場がないことに気づいて落ち込んでいたところ、電車の中でいっしょになった滝沢奈緒が折り畳み自転車を持っていたことに興味を持ち、仲よくなった。奈緒の実家である「カフェ輪道」で、自室に持ち込める折り畳み自転車の購入を検討していたところ、店内に飾られていた「OLD DAHON」と呼ばれる30年前の古い型の「DAHONⅢ」に一目惚れし、奈緒の好意でゆずってもらうことになった。新型DAHONの性能のよさを体感してもなお、旧型のDAHONⅢに惚れ込んでいる。自転車に乗っていても、道行くものに目移りしてばかりで少々落ち着きがなくなるが、これは自転車で走ることが好きだからこそである。
滝沢 奈緒 (たきざわ なお)
自転車好きの女の子。実家は多摩湖に続く自転車道沿いで「カフェ輪道」を営んでいる。店内には多くの自転車が飾られており、奈緒の父の影響もあって、自転車に関する知識はプロ級。特に折り畳み自転車に詳しく、種類やブランド、扱い方やメンテナンスに至るまで熟知している。恥ずかしがり屋のために素直じゃないところもあるが、友達思いで面倒見がいい。以前、自転車をきっかけに仲よくなった友達が学校に三人いたが、自転車に対するモチベーションの違いから、その関係は長くは続かなかった。この経験が嫌な思い出として奈緒の中に大きく影を落としており、それを理由に友達に対して一歩踏み込めずに臆病になっている。しかし、電車で偶然知り合った鳴嶋ゆうみと、折り畳み自転車のことで意気投合して仲よくなる。そして実家に飾ってあった自転車「DAHONⅢ」を、メンテナンスを自分に任せてもらうことを条件にゆうみにゆずった。乗る自転車は行動や目的に合わせて変えているが、愛用しているのは「Tartaruga TypeS」。
滝沢 理恵 (たきざわ りえ)
滝沢奈緒の姉。自転車道沿いで「カフェ輪道」を営んでいる。自転車に詳しく、その知識はプロ級。奈緒と共にカフェを訪れた鳴嶋ゆうみが、折り畳み自転車の購入を検討していることを知り、使用目的などから選ぶべき自転車を提案した。タイヤ径や折り畳み方法、完成形の見た目や予算についてを細かくアドバイスし、ゆうみの相談に乗った。妹の奈緒が、友達関係を築くことに臆病になっていることを知っているため、ゆうみとの関係を温かい目で見守っている。
奈緒の父 (なおのちち)
滝沢奈緒と滝沢理恵の父親。自転車道沿いで「カフェ輪道」を営んでいる。自転車に詳しく、その知識はプロ級。ぽっちゃりした体型のおじさんで、子供のようなおちゃめなところがある。古い自転車をきれいに直すのが趣味で、店内に飾ってある「OLD DAHON」こと「DAHONⅢ」は、錆だらけでボロボロだったものをもらい受け、奈緒といっしょにきれいにレストアした思い出の自転車だった。奈緒がDAHONⅢを友達にゆずってしまったことを知り、がっかりするが、鳴嶋ゆうみと実際に会って納得し、彼女に奈緒と自転車の思い出話を聞かせた。
場所
カフェ輪道 (かふぇりんどう)
多摩湖へと続く自転車道沿いにある喫茶店。奈緒の父をはじめとする自転車好きな滝沢一家が営んでおり、店内には折り畳み自転車がたくさんディスプレイしてある。お薦め商品は「輪道スペシャルブレンドコーヒー」で、看板犬であるコーギーのサンダースが愛想よく出迎えてくれる癒しスポット。
書誌情報
おりたたぶ 4巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2019-11-08発行、 978-4065175293)
第2巻
(2020-05-08発行、 978-4065188446)
第3巻
(2020-12-09発行、 978-4065216682)
第4巻
(2021-08-06発行、 978-4065244654)